2019. 4. 18 (木) 19 : 00 ~ 福岡サンパレスホールにて
シューベルト:交響曲 第5番 変ロ長調 D485
ブルッフ:クラリネットとヴィオラのための協奏曲 ホ短調 Op.88
J.シュトラウスII世:喜歌劇「ヴェネツィアの一夜」序曲 Op.416
ランナー:ワルツ「ロマンティックな人々」 Op.167
ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ・マズルカ「遠方から」 Op.270
J.シュトラウスII世:宝石のワルツ Op.418
ポルカ・シュネル「急行列車」 Op.311
入江のワルツ Op.411
(アンコール)
E. シュトラウス:ポルカ・シュネル「テープは切られた」 Op.45
クラリネット:ゲラルド・パッヒンガー
ヴィオラ:エルマー・ランダラー
トヨタ・マスター・プレイヤーズ, ウィーン
先週木曜のコンサートの話です。
今年もこの季節がやってきた 毎年楽しみにしているトヨタ・マスター・プレイヤーズ, ウィーンの公演。今年からは名称が「ウィーン・プレミアム・コンサート」に変わった。
2000年より始まって今回でツアー17回目を迎えた。私は2013年の公演以来毎年聴きに行っていて、今回で7回目。
このトヨタ・マスター・プレイヤーズ, ウィーンはウィーン国立歌劇場、ウィーン・フィルのメンバーを中心にベルリン・フィル、ウィーン響などなどヨーロッパで活躍する演奏家も加わった、この公演のために編成された約30名の室内オーケストラで指揮者はたてない。そしてこのオケのコンサートマスター&芸術監督を務めるのが、ウィーン・フィルのコンマスのフォルクハルト・シュトイデ氏。 今年は全7公演を各地で行う予定で、福岡は16日の札幌に次いで2公演目だった。
4-5月にかけてアクロス福岡シンフォニーホールが改修工事のため、今回は福岡サンパレスホールでの公演となった。
ここは昨年シュツットガルトバレエ団で「白鳥の湖」を観た際に来て2回目だが、クラシックコンサート用に作られたホールではないので、はっきり言って音響が悪い
今回25列目という後方最前列のA席で見晴らしはよかったものの、音が遠くで鳴ってるな~という感じだった。とはいえ、だんだんと耳が馴染んできたんですけどね。
前半最初はシューベルトの交響曲第5番。
トヨタ・マスター・プレイヤーズ, ウィーンはしばらくベートーヴェンの交響曲(9番以外)を毎年代わる代わる演奏していたが、一昨年はシューベルトの交響曲6番を(昨年は再びベートーヴェンの交響曲7番)、今年はシューベルトの5番だった。
シューベルトいいっすよね~ この5日前に聴いたショスタコーヴィチに比べてなんとゆったりとした気持ちで聴けることか! 心地よい旋律にただ身を任せればいいという安心感。心がほっこり溶けていくようだった。この曲はシューベルトが19歳のときに書いたそうだが、当時の憂いもない若さあふれる彼の姿が清々しい音楽からあふれているようだ
来年もシューベルトの交響曲をぜひ希望!
2曲目はブルッフのクラリネットとヴィオラのための協奏曲。
クラリネット奏者はゲラルド・パッヒンガーさん。1967年生まれのリード(オーストリア)出身で、シュミードルさんに師事したそうだ。87年からウィーン響の首席を務めている。
ヴィオラ奏者はエルマー・ランダラーさん。1974年ザルツブルク生まれで、現在ウィーン・フィルのメンバー。
ゲラルド・パッヒンガー氏(Cl) エルマー・ランダラー氏(Vla)
ブルッフは、ヴァイオリン協奏曲第1番以外の曲を聴くのは初めてだった。
ヴァイオリン協奏曲1番も大好きだけど、この曲もすごくいい~
クラリネットとヴィオラの取り合わせって意外な気がしていたが、とんでもない!
ふたりの掛け合いや二重奏が絶妙なハーモニーでとても心地よかった
第1楽章からして故郷に帰ったような懐かしさ、広い大地に立ったような壮大さをおぼえる。
クラリネットのパッヒンガーさんもさることながら、ヴィオラのランダラーさんの巧いこと!!
ランダラーさんはシュトイデカルテットの一員でもあり、カルテットでの演奏は私も聴いたことがあったが、こうしてソリストとしての演奏を聴くとそのうまさをあらためて再認識した。
こんなにうまいランダラーさんでもウィーン・フィルでは何番目かのプルトで演奏してらっしゃると思う。う~ん、ウィーン・フィルはやっぱり層が厚いんだなぁ。
それから、この曲の予習のためにyou tubeで聴いていたところ楽譜入りのものがあった(伴奏はオケではなくピアノ版になっているようです)。
楽譜を見ながら聴いていると、簡単そうに演奏しているソリスト&オケがパズルのピースのように組み合わさって全体のメロディーを弾いて(吹いて)いるかがよく分かった。そしてこういう絶妙なハーモニーに聴こえるメロディーを作った作曲家もすごい!音楽家ってやっぱりすごいな~!
ところでこの日のお客さんたち・・・変?
1曲目のシューベルトのとき第2楽章が終わったときにパラパラと拍手が起こり始めそれが広がって後ろの方の人たちがしばらく拍手していた。シュトイデさんはじめ、オケの方々もビクっとなって苦笑していた(ように見えた)。2曲目のブルッフのときもなぜか第2楽章が終わったときに同じように一部の人たちが拍手・・・ 大半はしてないんだから空気を察してさっさとやめてほしかったがダラダラと拍手していた。
さらに2曲目が終わってソリストのおふたりへのカーテンコールが・・・なし
で、拍手が止んだので、オケの面々が(仕方なく?)立ち上がり、舞台からの去り際に、そこで拍手・・!?
これはなんざましょ? オケの人たちも完全に苦笑いしてました
前半後半を通じて、自分の近くで終始鈴の音が聴こえてたし(何しとんねん?)、ちょっと離れた小学生くらいの男の子は途中から暴れだして前の座席は蹴る、床を踏みならす、終始「ドカッ!、ガコッ!」という音が私のところまで聞こえていた。親は注意せんし、周囲の人たちはたまらんかったやろう。このクソガキめー!
アクロスのときと客層が違うのかわかんないけど、なんだかな~
後半はシュトラウス一家やヨーゼフ・ランナーなど、ニューイヤーコンサートのような雰囲気となった。
こういう曲を聴くと、あらためてこのオケの巧さが際立つ気がした。
ウィーン・フィル、ウィーン響、ウィーン・フォルクス・オーパーなどウィーンのオケの方々にとってはこれらの曲はお手の物なのだろうが、それにしても指揮者がいないのに、常設オケでもないのに、この一糸乱れぬアンサンブルは何なんでしょう。
ウィーンのワルツの拍のとり方は独特で、基本は1,2が詰まって「タタッッ、タン」みたいになると思うんだけど、ただその詰まり方も様々で緩いときもあればきっちりしてるときもある。
その拍のとり方の緩急もそうだし、曲の流れのテンポの揺れもビシッと揃っていて音がうねっているようだ。
相当なリハはやってるんだろうけど、それにしてもこの人たちうまい!
4曲目の「宝石のワルツ」のときのチェロのノーチさんの高速ピチカートがすごかった。長い指がまるでタコの足(←例え悪すぎw)のように芸術的な動きをしていた。ほんとにすごい
アンコールはいつものように、コントラバスのニーダーハマーさんが日本語で紹介。
「ヨハン・シュトラウスの早い○○(聞き取れず)の早いポルカです。」
通常は大体、ニーダーハマーさんがアンコールの2曲目の曲紹介のあとに「これで終わりです。」と言って笑いが起こるのだが、この日はアンコールは1曲だけで、皆さん手を振りながら帰っていった。
翌日の大阪公演ではアンコール2曲あったようなので、やっぱり今日のお客さんに呆れたのかしら・・と心配になってしまった。
ところで、この日はオットも一緒だったのだが、帰りは「さっ、混むからすぐ出るよ!」と促されてホールをあとに・・・するときに、ふと見ると、なんとロビーにシュトイデさんの等身大パネルが立っているじゃあ~りませんか!(昨年まではそんなのなかった)
「シュトイデさんと写真撮りたい!お願い!」と何度も懇願したのに、「どうせあんたダラダラするやろ!すぐ帰らないとだめっ!!」と引きずられるように連れていかれた・・・
2月のすみだトリフォニーホールの再来か・・・
シュトイデさんと肩組んでツーショット撮りたかったのにィ!!
恨~み~ます~~ ←中島みゆき風に
・・・というわけで、名古屋公演に行かれたブロ友さまの翡翠さまの記事(コチラです)の中のお写真をお許しをいただきお借りしたので、載せさせていただきます。
翡翠さま、本当にありがとうございました!
ううう、シュトイデさんカッコいい~
ところで余談ですが、こないだアクロス福岡のトイレの話題を書きました(コチラ)。
福岡サンパレスホールは38年前に開館したので、アクロス福岡よりもっと古いのですが、トイレは改修したことがあるのかアクロスよりもとてもきれい。
1階の女性用お手洗いは合計30個ありました。上の写真の20個あるトイレの隣に10個あるトイレの部屋があります。で、和式トイレは30個ある中の2個のみ! やっぱりアクロスの和式は多すぎると思います。
そして、ちゃんと空いてるトイレがわかるようになっています。赤いパネルが立っているところが空室。
誰か入っているところは赤いパネルが見えなくなります。しかも親切なことに「和式」「洋式」の表示まで。
アクロスが改修後にどうなるか分かりませんが、ちっとはサンパレスを見習ってほしいです。