2017. 7. 7 (金) 19 : 00 ~ 福岡シンフォニーホールにて
モーツァルト:歌劇 「フィガロの結婚」序曲
R. シュトラウス:ホルン協奏曲 第1番 変ホ長調 Op.11
(ソリストアンコール)
メシアン:「峡谷から星たちへ」より 第6曲 「恒星の呼び声」
ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調 Op.68
(アンコール)
ベートーヴェン:「エグモント」序曲 Op.84
ホルン:シュテファン・ドール
指揮:シュテファン・ザンデルリンク
ハンブルク交響楽団
6月29日から7月9日までハンブルク交響楽団が来日ツアーを行った(全9公演)。
ハンブルクといえば、ドイツでベルリンについで第2の都市、ブラームスの出生地、そしてちょっと前にはG20も開催されてました。常設のオーケストラも3つあるそう。
指揮者のシュテファン・ザンデルリンクは父親が指揮者のクルト・ザンデルリンク、そしてシュテファンを含む3人の息子たちはいずれも指揮者として活躍している。今回ちょうど同じ時期に弟のミヒャエル・ザンデルリンクがドレスデン・フィルを率いて来日公演を行っていた。
今回ハンブルク響のソリストとして、フジコ・ヘミング、三浦文彰、シュテファン・ドールが共演していて、福岡公演はホルン奏者のシュテファン・ドールさんだった。
シュテファン・ドールさんの演奏は、ベルリン・フィルの首席奏者として、そして「12人の金管奏者たち」の一員として聴いたことがあるだけなので今回ソリストとして聴くのは初めてだった。
今回はその曲のことから書きます。
R. シュトラウスのホルン協奏曲第1番は、作曲家が18歳のときの作品で、ホルン奏者であった父親の還暦を祝うために書いた作品だそうだ(海外でも還暦ってめでたいんですね)。
シュテファン・ドールさんいわく、「奏者の持つスキルを限界点まで要求するとてつもなく難しい曲」。だが、「奏者の弱点をすべてさらけ出すこの曲だからこそ、覚悟をもってこの曲に挑戦すれば、ヒーローになれるはずです。ですから、どんな困難が待ち構えているかを分かっていても、吹き終えた者にしか味わうことのできない達成感を知ってしまった私は、この曲にずっと夢中なんです。」と言う。
冒頭からドールさんのホルンの神々しい音がホールいっぱいに響き渡って、思わず背筋がぴんとなった。確かにこの曲すごく難しそう。15分くらいと短い曲ならがもその中に技術的、芸術的な要素がギュッと凝縮されたような曲だと思った。しかもとても美しい・・
超高速のフレーズの粒立ちのクリアさでいうと、バボラークさんにはかなわない感じはしたもののそれは超ハイレベルでの話であって、ドールさんのホルンの音色は本当に素晴らしかった。
アンコールは自ら曲紹介。このメシアンのアンコール、私は初めて聴いたがほんとに変わった曲で・・・ でもホルンってなんて色々な音が出るんだ~!とびっくり。途中の蚊の鳴くような超弱音が、ほんとに蚊がぶんぶん飛んでるみたいで笑いそうになってしまった
後半はブラームスの交響曲第1番。
この演奏が私的にはとてもよかった~ 他公演を聴かれたブロ友さんも書いていらしたが、まさに「素朴な」「味わい深い」演奏だった。料理でいうと肉じゃがのような・・・
私はこの曲を聴いたのはこの日でまだ2回目。1回目は北九州音楽祭でのパーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィルの演奏だった。この時の演奏も鮮烈な印象だったが、この日の演奏はタイプは違えど同じようにとても感動した。
どちらかというとオーソドックスな演奏だと思うが、チェロやコントラバスの低弦の音がとても効いていてとても心地よい。第1楽章の最後、コントラバスの響きがなんともおどろおどろしくてゾクゾクしてしまった。
第2楽章のオーボエのソロがもぉ~~めちゃめちゃうまいっ Marc Rennerさんというお名前らしいが、こんなにうまいオーボエ聴いたの久しぶり!というくらいうっとりしました
この方何者なんでしょ・・・気になる・・
↑この方がMarc Rennerさん。遠目にみたらお茶の水博士みたいに見えた
それからコンマスのソロがまたこれがぁ~~なんてうまいんだぁ~
この日は後ろの方の席だったのにものすごく響いてくる。しかもすごく美しい音色・・
あとで調べたらAderian Iliescuさんというお名前らしい。
↑ この方がAdrian Iliescuさん。小柄な方なのに音のスケールはでかい!
第4楽章のホルンも素晴らしく美しい温かい音で、このオケは個々の奏者のレベルがすごく高いんじゃないだろうかと思った。
久々に聴いた1番だったがしみじみと感動させてもらってとてもよかった。
そういえば、ティンパニ奏者が女性で、しかも日本人? あとで調べたらやっぱり日本人だった。野村文子さんという方でした。(写真は残念ながら見つからず)
今回のツアーパンフには第2ヴァイオリンの首席奏者の小池智子(さとこ)さんがエッセイを寄稿されていた。
「ドイツは外国人であっても技術さえあれば、認めてくれる素晴らしい国」「外国人を心から受け入れてくれる国として、ドイツ以上の国はあるのだろうかと思う程」と書いていらっしゃった。
ドイツ語が全くわからない状態で留学した頃の苦労話や、現在ハンブルクという街がどんなに好きかというお話にほっこりした。
↑ 第2ヴァイオリン首席奏者の小池智子さん。
海外のオケでも日本人女性の活躍はめざましくて、同じ女性としてがんばれ~~とエールを送りたい。