ダン・タイ・ソン ピアノリサイタル:ショパン、リスト、シューベルト | Wunderbar ! なまいにち

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まだまだひよっこですがクラシック大好きです。知識は浅いがいいたか放題・・・!?

2017. 6. 20 (火)  19 : 00 ~      福岡シンフォニーホールにて

 

ショパン:前奏曲 嬰ハ短調 Op.45

 

             マズルカ 変ロ長調 Op.17-1

            へ短調 Op.7-3

                          嬰ハ短調 Op.50-3

 

             スケルツォ 第3番 嬰ハ短調 Op.39

 

リスト:巡礼の年 第1年 「スイス」から ジュネーヴの鐘

 

         ベッリーニ 「ノルマ」の回想

 

シューベルト:ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D.960

 

(アンコール)

ショパン:ノクターン 第20番 嬰ハ短調 「遺作」

 

 

ピアノ:ダン・タイ・ソン

 

 

私はダン・タイ・ソンのピアノを聴くのは初めて。シューベルトのピアノソナタという演目に魅かれてチケットを購入したが、結果的にはそれ以外の曲も大満足のリサイタルとなった。

 

ダン・タイ・ソンは1958年生まれの58歳。なんと明日7月2日がお誕生日!ケーキHAPPY BIRTH DAY!! 59歳になられる。ベトナムのハノイ出身で、ご存知のように1980年のショパン国際ピアノコンクールにアジア人として初の優勝者となった。ベトナム戦争の渦中に育った彼は疎開も経験し、防空壕の中で紙鍵盤をこしらえて練習にいそしんだという。モスクワ音楽院に留学するもショパン・コンクール時にはステージ衣装にも困ったそうだ(ツアーパンフより)。

 

伊熊よし子さんのブログ(6月15日の記事)にインタビューが掲載されている。その一部を引用させていただくと、

 

「私がショパン・コンクールを受けたころは、まだやせていてからだができていませんでした。上半身を大きく動かして演奏していたものです。あとでビデオを見てすごく恥ずかしかった。ゆらゆら揺れてばかりで音がまったく安定しない、消してしまいたいくらいでした(笑)。その後、先生に指摘されてピアノに向かう姿勢を直し、筋肉もつくようになり、ようやくスケールが大きくエネルギッシュなロシア作品が弾けるようになりました。ショパンに関しても自然な姿勢で自由に鍵盤をうたわせることができ、リズムもテンポも自在に奏でることができるようになりました」
 
「モスクワ時代はお金がなくて食べ物に不自由していたため、太るどころではありませんでした。ピアノは体力を要します。ですからコンクール後にとにかく体重を増やそうと努力し、いまのように太ったわけです(笑)」

 

今や演奏活動だけでなく国際コンクールの審査や世界各地でのマスタークラスや大学での指導活動など超ご多忙のダン・タイ・ソン。

 

 

この日の演奏の前半はショパンとリスト、後半はシューベルトというプログラムだった。

個人的に特によかったと思ったのが、ショパンの3番目に弾いたマズルカ(嬰ハ短調 Op.50-3)、リストの「ノルマの回想」、そしてシューベルトだった。

 

この日の3曲のマズルカはどれも情熱的な力強いマズルカだが、Op.50-3は特に"マズルカ"のイメージを覆すかのような力強くて雄大な曲。多彩な感情や情熱がとてもよく表現されていて感動した。

 

リストの「ノルマの回想」は、ベッリーニのオペラ「ノルマ」の主題に基づいたピアノ曲で、めちゃくちゃすごい曲! どんな風にすごいかというと、you tubeに楽譜付きでアップしてあるものを見たらわかるが、これでもか~!というくらいの音符のすごさ!聴く分にはいいが、とても自分で弾いてみようとは思えない・・・汗(弾いてみようとしても私には一生かかっても無理汗)そのくらい難易度が超高い曲なのに、ダン・タイ・ソンの手にかかるといともやすやすと弾いているように思えた。 この曲実演を聴いたのは初めてだったが、視覚的にもすごかった!もぉ~右手が左手の上や下を(交叉して)いったりきたり! そしてなんと力強い打鍵ビックリマーク 曲によって全然音色が違うのがほんとにすごい泣く

昨年ちょうどオペラ「ノルマ」を観ていたので、"ここはこの場面かな"と思い出しながら聴けたのも親しみがわいてよかったかも。

 

 

そして後半はシューベルトの生涯最後のピアノ・ソナタ第21番。

ダン・タイ・ソンはこの曲を含めた初のシューベルト・アルバムを7年ぶりにレコーディング、リリースされたばかりだ。

 

 

ツアーパンフの中のインタビューによると、

「やっとシューベルトの音楽を表現すべき時が来たと感じた」のだそうだ。

「若いころからシューベルトに取り組んできたが、今の年齢になってようやく彼が抱えていた悲しみを理解し表現できると思えるようになった」という。

 

そしてこのピアノ・ソナタ第21番については、

「シューベルトが最後に書いたこのソナタに、私は涙を超えた悲しみ、痛みを感じます。」

「(たとえば)第14番のソナタには涙があふれている。病という運命を嘆き、必死に抗っているようです。しかし、このソナタでは、もはや涙も枯れ果て、穏やかに運命を受け入れ、微笑みさえ浮かべています。清らかで静かな世界です。」

 

この彼の言葉どおりのシューベルトだったと思う。

特に私にとって白眉だったのが第2楽章。 静かにゆっくりと生み出される一音、一音・・・

ダン・タイ・ソンはそのひとつひとつの音をとても慈しんで弾いているように思えた。

深遠な中にも心地よい緊張感があり、ただただ私たちはその音たちをかみしめるように心の中に受け入れていく・・・そんな境地だった。

 

 

アンコールのショパンのノクターンの「遺作」がこれまた本当に!素晴らしかった!!

この曲は今まで幾度となく聴いているが、私の中では間違いなく今までのベスト1だ泣く

(この曲アンコールなどでも頻繁に弾かれるので、始まったら"あぁ、またこの曲か"と思わないでもないのだけど、この日は最初の音からそんなことを思う隙もないほどす~っと引き込まれた。あのマジックはなんなんでしょう!?)

 

 

同じピアノでも弾くひとによってどうしてこんなに音色が違うのでしょう。

どうしてこんなに多彩な音色が出せるのでしょう。

やっぱりピアノは大好きだなぁ・・・

 

 

終演後サイン会があり、感動を伝えると "シューベルトのこの曲は本当に最高傑作だと思うんだよね~"みたいなまるで友人にでも話すようなしゃべり方でびっくりした。 本当に気さくな方なんだなぁ照れちゅん

 

(ところでアクロスのスタッフの方にいいたい。 いつもそうだけど、写真は絶対にダメ!(この日は)話すのもダメ!と並んでいるときに何度もしつこく言われた(それでもどうしても一言感謝を伝えたくてしゃべったんですけどね)。他の公演先では写真もOKだったようだけど、なぜ福岡だけいつもダメなんだろう。それに感想や感謝を伝えるのもダメだなんて、なんてナンセンス!何も一緒に写真撮って~とか、流れをとめてずっとしゃべりたいと要求してるわけじゃない。もちろん、疲れている演奏家の方の負担をへらすためという気遣いは分かるのですが・・・

こないだシャルル・リシャール=アムランさんのときもご本人は「(自分の)写真撮ってもいいよ~」って言ってくれてたのに、スタッフは「ダメ!」「サインもらったらすぐ帰る!」と怒鳴るだけ。アムランさんも「いいって言ってるんだけどねぇ」と苦笑していた・・・  頭かたいっ!)

 

 

  

 

最後に文句をしこたま書いてしまいすみませんayaスミマセン

 

とにかく、

 

 じゃなかった、

 でも でもなかった~

 

ダン・タイ・ソン 聴けてよかった~~!! きゃは  ←お前が一番失礼では?笑う