2017. 4. 18 (火) 19 : 00 ~ 福岡シンフォニーホールにて
ベートーヴェン:「コリオラン」序曲 ハ短調 Op.62
ハイドン:チェロ協奏曲 第2番 ニ長調 Hob.VIIb:2
モーツァルト:交響曲 第35番 ニ長調 「ハフナー」 K.385
シューベルト:交響曲 第6番 ハ長調 D.589
(アンコール)
J.シュトラウス II:チック・タック・ポルカ Op.365
チェロ:ロベルト・ノージュ
トヨタ・マスター・プレイヤーズ, ウィーン
今年もこの季節がやってきたー!
毎年楽しみにしているトヨタ・マスター・プレイヤーズ, ウィーンの公演。2013年の公演以来毎年聴きに行っていて今回で5回目の参加となった。
(ちなみに 2015年の記事はコチラ、2016年の記事はコチラ)
まず・・・「トヨタ・マスター・プレイヤーズ, ウィーン」はウィーン国立歌劇場、ウィーン・フィルのメンバーを中心にヨーロッパで活躍しているアーティストたちを含め30名で編成された室内オーケストラで(指揮者はたてない)、2000年以来毎年来日して各地でコンサートを開いている。
日本の様々なアーティストたちとの共演や、ミニ・ウィーンフィルのようなものなのにチケット代もとてもリーズナブルなのも魅力で毎回人気のコンサートなのだ。
(ただ、昨年までよりチケット代が200~500円値上がりしてるのを私は見逃しませんわよ)
今年大きく変わったのは、昨年までずっと芸術監督を務めていたウィーン・フィルOBのペーター・シュミードルさんがお辞めになられたようで、今年からこのオケのコンサートマスターを務めているフォルクハルト・シュトイデさんが芸術監督に就任されたということ。
シュミードルさんは昨年、一昨年とクラリネット協奏曲でソロを披露してくださるなど毎年そのお姿を拝見するのを楽しみにしていたので、とても残念だ・・・
ホルンのトムベックさんも毎回ご夫婦で演奏してらしたのに、昨年からメンバーから外れたようでこれも残念・・
それから毎年メインの曲にベートーヴェンの交響曲を据えていた(自分が聴き始めた2013年以降も7番→3番→2番→6番となっていた。それ以前のプログラムも調べてみたら、2004年以降も3番、8番、6番、5番、1番を演奏している(ただし、2010年はモーツァルトの交響曲第40番、2011年は全公演中止)のだが、今年はモーツァルトとシューベルトの交響曲となっている。 これも芸術監督がシュトイデさんに変わったからなのかな?
ちなみに新しく芸術監督に就任したシュトイデさんのインタビューが「ぶらあぼ」に掲載されていた。
→ http://ebravo.jp/archives/32563
それともうひとつ、毎回楽団員がステージに登場して最初に立ったまま演奏していた、”トヨタ・マスター・プレイヤーズ、ウィーンのための前奏曲 「イントラーダ」”が今年からなくなっていた。
このイントラーダ、短いんだけどその年に演奏する曲目を絶妙にアレンジしていて私は大好きだったんですけど・・これもちょっと残念でした。
そして肝心の演奏についてだが、ひとことで言うならすべての曲がとてもよかった
毎年素晴らしいと思うのだけど、今年は例年よりもさらにグレードアップしてたような気がした。
練習の鬼(?)のシュトイデさんだけに、芸術監督に就任してさらにビシバシやったのかなぁ(私の勝手な妄想です)
「コリオラン」序曲は冒頭から何度も全休止があるので合わせるのが難しいと思うのだが(指揮者がいないので)、そこはシュトイデさんの見事な鼻息指揮(←ひどい。) でばっちりと合わせていた。コリオラン久しぶりに聴いたけどやっぱりベートーヴェンはすごいな・・・
2曲目はハイドンのチェロ協奏曲第2番。実はチェロ協奏曲なるものを聴くこと自体が初めてだった。
なのでロベルト・ノージュさん(お名前の表記がナジさんとかノーチさんとかよく変わるけどどの読み方が正確なんだ?)のチェロをソロで聴くのも初めて。
ノージュさんのチェロは深みのあるとても伸びやかな音色で私も大好きなのだが、その特徴が最も出ていたのは第2楽章ではないかと思った。ハイドンのチェロ協奏曲って第1番の方が難易度高いのかもしれないが、この第2番も十分難しそう。普段時折微笑も浮かべながら涼しい顔で演奏しているノージュさんのイメージがあったが、こんなに険しい顔で弾いているのは初めて見た気がする。しかも荒い息遣いが遠方の私の席まで聴こえてきて、その演奏姿にじいっと見入ってしまった。
後半はモーツァルトとシューベルトの交響曲。
モーツァルトのハフナーなんてウィーンの方々は目をつぶっても演奏できるんじゃなかろうか、というくらいの堂に入った見事な演奏だった オケのメンバーは皆がウィーン・フィルというわけではないけど弦の音色がやっぱり違う気がする。第4楽章 プレストの疾走感がもぉ~快感だった
シューベルトの交響曲第6番もハフナーと同じくとてもよかった! シューベルトの交響曲の中では未完成とグレイトが他よりも演奏頻度が高いのかなと思うが、他の第1~第6番もとても美しい曲だと思う。 日ごろ聴く機会の少ないこれらの交響曲を来年以降もまたやってくれないかな~ (来年は2番希望)
毎年思うのがこの人たちは指揮者がいなくても自分たちの音作りをしっかり持っているということ。むしろ指揮者がいない方がいいのでは?と思うほどなのだ。
お互いの音をすごく聴き合っているのがわかるし、それは普段から室内楽活動などを同時に行っているから自然にやっていることなのだと思う。
こないだの小澤征爾さんの番組でも「室内楽の延長がオーケストラなのだ」という話があったのを思い出した。
そしてたった30人くらいの編成なのにまるでフルオケのような迫力がある。一方小編成なので内声部の音が非常によく聴こえるので、聴いている側としては見通しがよくて本当に面白い。同じ曲でもいつも新たな発見があるのも楽しみのひとつなのだ。
アンコールはJ.シュトラウス II世のチック・タック・ポルカ。 この曲は今年のウィーンフィルのニューイヤーコンサートでも演奏されたと思うが、最後に楽団員たちが 「ティック・タック、ティック・タック」と声を合わせていたのが面白かった。
カーテンコールの最後にはオケの面々がステージの前に一列にならんで拍手に応えていた。
真ん中にはシュトイデさんが立ったが、他の楽団員がさりげな~くシュトイデさんの奥様(オレアダ・シュトイデさん。第2ヴァイオリン)をその横に立たせてあげていたのがなんとも微笑ましかった。
来年の公演が今から楽しみだなぁ