タナ 「いえ…山門の邸が火に包まれてからは、もう…」
タナ 「豊姫や武が退却できたのかどうかも分かりません。ただ…火から逃げるだけで精一杯で…」
タナ 「森の中を何日もさまよって…気が付いたらここの方々に保護されていました。近くの川辺で倒れていたそうですが、私はよく覚えていません」
タナ 「すみません、お力になれず…」
佐紀 「あっ、いいえ! タナさんも辛いのに思い出させてごめんなさい」
雨夜 「今回、この国への口利きをしてくれたのは彼なのですよ」
佐紀 「そうだったの…」
隼人 「…」
タナ 「条件はひとつ。この国から退避したい人を一緒に乗せて、紀の国まで行くこと。それだけです」

佐紀 「じゃあ、タナさんも一緒に来てくれるのね」
タナ 「…」
隼人 「!」