それから数年後。
河内
宗祇 「――――え?」
宗祇 「高市皇子が亡くなられたってどういうことですか?私、つい先日手紙をいただいたばかりですし…持病もお持ちでないでしょう!?」
石上 「…」
宗祇 「殺された…?」
石上 「私が直接見たわけではないが…そうとしか考えられない…」
石上 「高市皇子は武命と同じ格好で会合を行い、自らの意思と立場を訴え続けておいででした」
石上 「それを…危険視されたのではないかと…」
石上 「そして、それを促していたのは…私だ」
宗祇 「―――!」
宗祇 「石上様…」
石上 「君は『葛城』を、そして蘇我の血脈を守りなさい」
宗祇 (石上様は…)
石上 「決して…名を消すことのないように」
宗祇 (戦って… 死ぬ気だ…)
宗祇 (私も…戦いたい…)
宗祇 (でも…)
宗祇 「かしこまり…ました…」
宗祇 (言えるはず なかった)