『ハイブリッド戦争 揺れる国際秩序』 | えにーの読書感想文

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読んだ本の説明や感想なんかを書いていきます。主にミステリーや歴史・皇室関係についてが多いと思います。
未読の本の内容を確認する際にも参考になれば幸いです。


​『ハイブリッド戦争 揺れる国際秩序』
志田 淳二郎、並木書房、2024年




前著では扱いきれなかったハイブリッド戦争の事例や、2024年初頭までの世界情勢を解説した一冊。



2022年12月16日に政府が閣議決定した、いわゆる『安保三文書』。その中に登場する用語「ハイブリッド戦」。『国家安全保障戦略』にも『国家防衛戦略』にも。

西側の専門家がハイブリッド戦の用語を頻繁に語るようになったのは2014年以降、ロシアがウクライナのクリミア半島を併合したことによるみたいですね。



そして世界情勢の解説。ロシアがしかけるハイブリッド戦争ということで、ソ連崩壊からの流れが語られています。2016年のアメリカ大統領選挙にも介入したとされているし、2020年の選挙にも尾を引いていた。議事堂襲撃にまで発展しましたからね。



てまあ、当然のように日本にも情報戦が仕掛けられていて、特にロシアの侵略戦争開始後にロシア寄りと評価されるナラティブを政治家や大学教授、言論人などが発信していて、本書では実名で書かれています。

2023年6月9日に在日ロシア大使館で行なわれたレセプションで乾杯の音頭をとっていたルーピー。クレムリンから定期的に「テーマ集(テムニク)」を受け取っていると公言している「知の巨人」。秋篠宮皇嗣殿下の御一家への誹謗中傷にも熱心な元共産党員さん。トランプやプーチン、中国共産党を「光の戦士」と言う元大使。ロシアに止められてるのに行っちゃった国会議員。ほかにも多数。



そこから、中華人民共和国のハイブリッド戦争体制やハマスとイスラエルの戦争、移民・難民の「武器化」、そして我が国の安全保障体制や防衛省・自衛隊の情報戦対策などもしっかり書かれています。

全体を通して、私のような素人には難解ではありましたが、タメになる一冊。