『虚構推理短編集 岩永琴子の密室』
城平 京、講談社タイガ、2023年
「あなたはいったい、ここに何が書かれてあるのを恐れていました?」
一代で財をなし、政財界にも多大な影響力を持つようになった飛島 龍子とびしま りゅうこだが、40歳のときに夫が交通事故死、腹心は横領からの失踪という不幸が連続して以来50年も黒いベールで顔を隠したままだという。
しかし、龍子の孫である椿の前に現れた使用人の霊から懇願され、そのベールから解放させるために岩永 琴子の力を頼ることになり。(『飛島家の殺人』)
密室殺人現場の扉を開け放つイタズラが霊たちの間で流行りだし、その対応に追われる琴子。偽装自殺で第一発見者に遺書を隠蔽させるよう仕向けた目的とは。怪談・血まみれパイロンの真実。お好み焼き屋で寝入った琴子を迎えに来た九郎が付き着ける真相。
全5編を収録した短編集。
ほかにも50年前の事件を、そこにいた怪異たちに目撃情報を聞けないか、といったことなど、怪異と人の間に立つ琴子は今日も大忙しですね。