『股旅探偵 上州呪い村』 | えにーの読書感想文

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読んだ本の説明や感想なんかを書いていきます。主にミステリーや歴史・皇室関係についてが多いと思います。
未読の本の内容を確認する際にも参考になれば幸いです。


『股旅探偵 上州呪い村』

幡 大介、講談社文庫、2014年



「あっしには関わりのねえことでござんす」


は徳川幕府の世。三度笠を被った渡世とせい人・三次郎はひょんなことから倉賀野宿で重い病に臥せっていた青年の死を看取ることになった。
その青年が死の間際に言った言葉は、自分の姉と二人の妹たちの死と故郷の村に災厄が訪れるという予言であった。

自分の死を村の者に伝えてほしいと懇願された三次郎は上州は火嘗かなめ村へと向かう。
そこで青年の葬式が行われている最中、とうとう予告通りに災厄が火嘗村を襲う。

滝壺に逆さに吊るされた女、モウリョウとなる死者たち、別の何者かに入れ替わった夫婦、山に潜む異形の集団、謎の地下迷宮…。
三次郎はすべての怪異を解き明かすことができるのか。時代劇本格ミステリー。


   



時代劇+本格ものという良作。
探偵役を務めるのは、年齢は三十歳ほどで痩せぎす、右頬に刀傷があり世の中のすべてに無関心のような目をもつ放浪者・三次郎。

登場人物の口を借りて飛び出すミステリー論から、名探偵、因習のある村、妖怪、SF、謎の地下施設などなど探偵小説のあらゆるエキスを詰め込んだ贅沢な一作となっています。

前作同様ときどきメタ要素がありそれも楽しく、しかしその裏では伏線が張り巡らされた壮大な本格ミステリーです。