『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』
奥泉 光、文春文庫、2013年
ええっと、先生の給料はそれだけですけど、なにか?
クワコーこと、桑潟 幸一くわがた こういち准教授は、千葉県権田市にある「たらちね国際大学」に赴任した。そこは定員割れのジリ貧大学で、レータンという沈みかけの泥舟から逃げた先もまた泥舟という有様だった。
さらに文芸部の顧問となり、リクルートスーツのようなダサい格好の部長、黒ずくめのホームレス探偵、ミニスカギャル、ナースコスプレ、女子プロレスラーなど、個性的すぎる学生たちに巻き込まれる日々を送る。
研究室を襲う数多の幽霊騒動。50万円の謝礼が掛かった盗まれた手紙。教授と夜な夜な密会しているという森ガール。クワコーを襲う薄給問題。
部員たちからはクワコー呼びでイジられ、さらには学校で起こる様々な怪事件に巻き込まれていくクワコーの運命や如何に。
麗華女子短期大学から千葉県にある「たらちね国際大学」に赴任したクワコー。
個性的過ぎる文芸部の部員たちイジられながらも、ヤル気も志も低く怪事件に巻き込まれていきます。というか、前回からの作風のギャップがスゴい笑
本作の探偵役はホームレス女子大生のジンジン。これはなかなかの名探偵っぷりです。何故か段ボールハウスに住んでいるという。
そしてクワコーも、「愛すべきクズ人間」といった感じでいいです笑
被害妄想や人生の諦めなどもあったり、自分は高尚な人間だと自惚れたり底辺の人間だと自虐したり薄給のため超貧乏生活をしたりと忙しい限りですが、ユーモアあふれる日常系のミステリーですね。