『トスカの接吻 オペラ・ミステリオーザ』
深水 黎一郎、講談社文庫、2012年
「Questo e il bacio di Tosca!(これがトスカの接吻よ!)」
東京・上野に落成したばかりのニュー・トーキョー・オペラハウスで行われていたプッチーニ作曲の歌劇『トスカ』の公演の最中、トスカ役のプリマドンナが相手役に突き刺した小道具のナイフがいつの間にか本物にすり替えられており、相手役のバリトン歌手が死亡してしまう。
オペラの舞台上という「開かれた密室」で起こった事件に警視庁の海埜らが現場に急行するが、海埜の甥の瞬一郎もたまたま舞台を見にきていて事件に巻き込まれることとなる。
捜査を進める内に小道具と本物のナイフのすり替えは不可能に近いことが判明していく。いつどのタイミングで、どうやって犯人は罠を仕掛けたのか。
海埜刑事と甥の瞬一郎が事件の真相を追う。
シリーズ第2弾。
今回はオペラの公演中に起こった殺人事件です。小道具のナイフがいつの間にか本物とすり替えられていたというもの。
前作もそうでしたが、今回もとてもやるせない結末がまっています。ちゃんとした(?)悪人なんてどこにもおらず、ちょっとした悪意や出来心、不幸な偶然などが重なって悲劇が引き起こされてしまいます。
今回は事件以外のも、オペラについてとても掘り下げられていて少し興味が湧いてくる内容になっております。