『エコール・ド・パリ殺人事件 レザルディスト・モウディ』
深水 黎一郎、講談社文庫、2011年
「そうです。今回の事件は、エコール・ド・パリの名画の数々が凶器なのです。この屋敷の中に飾られていたのが、エコール・ド・パリの絵でなかったならば、今回の事件は初めから起こらなかったことでしょう」
エコール・ド・パリー、第二次大戦前のパリで、悲劇的な生涯を送った画家たち。
彼らの名画を多く自宅に所蔵している銀座の一流画廊・暁画廊の社長が、鍵のかかった自室でナイフが刺さった状態で死亡しているのが発見される。
現場で警視庁捜査一課の海埜(うんの)らが捜査を行っている最中、エコール・ド・パリの絵画を見せてもらう約束をしていたという男・神泉寺 瞬一郎が現れた。それは長らく海外を放浪していた海埜の甥だった。
窓の閂に塗り付けられた血、窓の下の足跡、さらには黄色の服を着ている女性のみを狙う連続殺人鬼も跋扈していて。事件の鍵は呪われた芸術家たちの絵画にあった。
芸術とミステリーを融合させたシリーズ第1弾。
洋画家の父とオペラ歌手の母の間に生まれ、自身も絵やバイオリンなどの才能をもつ風来坊・神泉寺 瞬一郎の初登場作品。
ヨーロッパや中東などを放浪し日本に帰ってきた矢先にこの事件に遭遇することとなります。
今回はエコール・ド・パリという呪われた芸術家たちの絵が事件と鍵となってきます。芸術作品に触れてみたくなるミステリーですね。