『掟上今日子の備忘録』
西尾 維新、講談社文庫、2018年
今日子さんには、今日しかない。
究極の巻き込まれ体質にして、いつも容疑をかけられてしまう男・隠館 厄介(かくしだて やくすけ)が新たにかけられた容疑は、最先端の映像研究所で発生した機密データのバックアップ盗難事件。
密室の研究所で身体検査や徹底的な捜索でも見つからず、毎度のように容疑をかけられた隠館 厄介は、最速の忘却探偵・掟上 今日子に助けを求める。
100万円を返してほしければ1億円を用意しろという脅迫電話。急死したミステリー作家の自宅に隠された遺作の探索。そして、その死にまつわる真相。
例によって隠館 厄介が巻き込まれた、忘却探偵ならではの奇妙な事件、全5篇を収録。
掟上 今日子、25歳。総白髪。
前向性健忘の一種と思われるが、1日ごとに記憶がリセットされてしまう。正確に言うと寝るとリセットがかかるようですが、その体質故に一般的な探偵業務が行えず、基本的には起きてから寝るまでの間に解決させなければなりません(そのため3徹までしたことがあるとか)。
隠館 厄介、25歳。身長190cm。
巻き込まれた事件で常に容疑者となり、それ故に職を転々としている。その体質(?)のために数多くの名探偵とのホットラインが構築され、その事件に応じて様々な名探偵に依頼をしているようですが、本作では忘却探偵に依頼をかけます。
事件の奇妙さもさることながら、キャラがとてもいいですね。
1日で記憶がリセットされる今日子さん。性格がとてもキュートです。そして彼女が探偵を続けることには、とある謎が関わっているようで、それが今後どうなっていくのか楽しみですね。
そんな今日子さんを憎からず思っている隠館くんですが、依頼をする度に初めましてから始まるという、けっこう辛い役どころですね。さらには一般人なのにかなりの巻き込まれ体質という。名探偵からすればいつも新しい謎を供給してくれる常連客。お近付きにはなりたくないが笑