『すべてがFになる』 | えにーの読書感想文

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読んだ本の説明や感想なんかを書いていきます。主にミステリーや歴史・皇室関係についてが多いと思います。
未読の本の内容を確認する際にも参考になれば幸いです。


『すべてがFになる』
森 博嗣、講談社文庫、1998年



「私、自分が死ぬ日をカレンダに書きたいわ…。こんな贅沢なスケジュールって、他にあるかしら?」


妃真加島という孤島にある真賀田研究所。そこは有能な研究者たちと、両親を殺害し少女時代から隔離されて生活と研究をしている天才博士・真賀田 四季がいる島だった。
N大学助教授・犀川 創平(さいかわ そうへい)、学生・西之園 萌絵(にしのその もえ)らが研究所を訪れていた最中、四季の部屋から両手足を切断されウエディングドレスを着せられた死体が出現した。

唯一の出入口には監視カメラが設置されていたが侵入者の映像はなく、扉が開閉された記録も残されていない。そして彼女の部屋のパソコンには“すべてがFになる”という文字が入力されていた。

その後、謎のコンピュータートラブルで外部との連絡手段、交通手段は断たれさらに殺人は続く。
ハイテクノロジーに守られた鉄壁の密室を破るため、犀川と萌絵は事件の謎に挑む。


   




第1回メフィスト賞受賞作にして、氏のデビュー作品。

S&Mシリーズと呼ばれる、N大助教授でテンション低めのヘビースモーカーで本作の探偵役を務める犀川 創平と、N大学生で愛知県警本部長の叔父と愛知県知事夫人の叔母をもち3桁同士の掛け算程度なら一瞬で解いてしまうお嬢様、西之園 萌絵が活躍するお馴染みのシリーズ。

本シリーズは天才がとても描けているなという感じです。小説の設定上の言葉だけの“天才”ではなく、掛け値なしの“天才”が描かれているのかなと。
事件の謎も最上級の密室殺人。ハイテクの研究所での事件は不可能性が際立っていて、ハイテク密室には初読当時も新しいミステリーが始まったんだなと感じたなぁ。