『眼球堂の殺人〜The Book〜』
周木 律、講談社文庫、2016年
謎を提示しているのは、誰なのか?
この世に存在する無限の定理のすべての証明が書かれた本〝ザ・ブック〟を探し求める放浪の数学者・十和田 只人とわだ ただひとと、彼につきまとうルポライター・陸奥 藍子むつ あいこは、天才建築学者・驫木 煬とどろき ようの巨大な邸宅〝眼球堂〟への招待を受ける。
十和田、藍子のほかに心理学、政治学、物理学、芸術の各天才たちも招待されていたが、眼球堂の扉は閉ざされ、奇怪な事件の幕が開けられた。
ハヤニエ、対になる2組の射殺体と転落死。次々と殺されていく天才たち。そしてその不可解な状況は何を物語るのか。放浪の数学者・十和田は天才の目論見を看破できるのか。
第47回メフィスト賞受賞作。
であると共に〝堂シリーズ〟の第1弾ともなります。
十和田 只人、38歳。数学者。背は高くなく痩せ型。ぼさぼさ頭に無精髭、そして眼鏡。今後の日本を背負う数学者とまで呼ばれていたが28歳のときに失踪。
その後は世界各地を転々として行く先々の数学者たちと共同研究をしている人呼んで「放浪の数学者」。
まるで綾辻氏の館シリーズのように奇妙な建物が登場します。その名も〝眼球堂〟。本当に目玉を模したような形で、これがトリックの鍵になっていたりもするのですが、それは読んでのお楽しみ。
十和田が数学者ということもあり、数学ネタがよく出てきます。専門的な数式や数学界のお話など。正直、あざといというか強引に盛り込んでる印象もなくはないですが、さすがに数の世界は神秘的なものです。