『ザビエルの首』
柳 広司、講談社文庫、2008年「首もまたオレを見ていた」
しかし、その首と目を合わせた修平の意識は1549年、日本を訪れていたザビエルの側近・アンジローに憑依させられてしまう。そこでザビエルとアンジロー(=修平)らは、ダイイング・メッセージが絡む殺人事件に遭遇。
この事件を契機に、その後も度々ザビエルの首に“呼ばれる”ようになった修平は、ザビエルの周囲の人物に憑依させられその度に事件に巻き込まれることになる。
そして事件が起こる中ザビエルが“修平”を凝視するとき、修平は憑依した人物の口を借りて事件の謎を解き明かす。
現代と過去を行き来する異色ミステリー。
フランシスコ・ザビエル(1505~52)、知らない人はそうそういないであろう人物。そのザビエルの首が鹿児島で発見されたということで、オカルト雑誌のライター・片瀬 修平は出版社の原稿依頼を受けて取材に行く。
でも謎の方はダイイング・メッセージものであったり、どこからともなくグラスに毒物が出てきたりと中々おもしろいもので、当時の時代背景やキリスト教という枠の中での感覚などが事件のヒントになったりもします。
修平が“呼ばれる”理由とは何なのか、なぜ彼なのか。そんな謎も含むミステリー。