『忘れ物が届きます』
大崎 梢、光文社文庫、2016年
不動産会社の営業で訪れた家には、自分の小学校時代の元教師がいた。携帯電話につけた椿の実のストラップを見た元教師は、20年前に自分が巻き込まれた拉致事件の真相についての推理を話し始める。(『沙羅(さら)の実』)
企画会社へ回想録の作成を依頼をしてきた鎌倉に住む老婦人。やがて彼女の口から語られたのは、かつて自分の兄と結婚することになっていた女性が忽然と姿を消した出来事。そしてその裏で仕掛けられていた一世一代の復讐とは。(『野バラの庭へ』)
長い日々を経ることで分かる、その時の出来事の意味と真実。記憶を紡ぐ全5編を収録。
遠い日の出来事の意味が、時を経ることでようやく分かる。それはミステリーの醍醐味みたいなものですが、そんな5つのお話です。
過去の出来事が語られ、そしてその真相が見えてくる。
そんな悲惨とかひどいものではなく、暖かさや感動も味わえるような作品になっていて、大崎氏ならではの、ほんわかさが味わえる一冊になっていました。