『おんみょう紅茶屋らぷさん〜陰陽師のいるお店で、あなただけの一杯を〜』
古野 まほろ、メディアワークス文庫、2016年
「君がこの世界をどうみているかーその物語が紡がれて、そこに命が運ばれる。そう初めて事実は運命になる。事はひとりでに実ってしまうけど、そのに命を運ぶのは、君だけだから」
東京・吉祥寺。魂が体から浮遊してしまうほどの心の問題を抱えている人間だけが辿り着ける紅茶屋『らぷさん』。そこは現代に生きる陰陽師がとびきりの紅茶を淹れてくれる店。
父親とのすれ違いと進路に悩む女子大生・佐々木 英子は、吉祥寺駅で奇妙な牛を見かける。その牛を追いかけていく内に彼女は深い霧を抜けて『らぷさん』に辿り着いた。
(『生き残ったダージリン』)
呪いによって命を狙われ続ける少女、謎の黒い本によって恋人との結婚が破断になりかけている女性。様々な悩みを抱えた人々の運命を平成の陰陽師兼紅茶屋の店主・本多 正朝(まさとも)が開いていく。
全3編を収録した連作集。
その店に辿り着けるのは、店主自身が招くか、魂が体からズレてしまうほどの悩みを抱えた人物のみ。ヒロイン(?)の佐々木 英子もその店に辿り着き、自らの運命を開いていきます。
見ただけでその人のホロスコープが分かってしまうチート陰陽師・本多。彼の淹れる紅茶は超絶なのに、紅茶以外の味覚が壊滅的なため、お茶請け担当兼指導役として英子もこの店でバイトのようなものを始めます。
ほかのシリーズとは違い殺人事件などは起きませんが、それぞれが抱えているミステリーを解決していく物語となっています。
あとは紅茶の話題満載なので、古野氏の趣味もあるのでしょうか。