「あそこで弾けたら、超気持ちいいだろうね〜。」
「いつか二人で立とうよ、俺が連れてってやるから。」
中学生の頃、先輩が立っていた舞台への憧れを語りながら歩いた友人との帰り道。
その時は、「デカい口叩きやがって
」と内心思っていましたが…笑
5月1日、その夢の舞台に2人で立ちました。
「大ホールで弾きたい!」と中学時代から語ってはいたものの、思うように結果が出ずに落ち込んでいた日々をずっと側で見てきたので、選ばれたと聞いた時はこちらまで涙が出そうなくらい嬉しかったです🥹
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1000席を超える座席を全校生徒、先生方、保護者の方、そして一般のお客様が埋め尽くし、映像としても残される大舞台に当日は勿論、数日前からド・緊張。
本番直前の舞台袖では2人とも落ち着かず、宙を見上げながらウロウロし続けていました笑
しかし、どんなに緊張していようが出演する時間は容赦なく迫って来ます。
1つ前の同級生の演奏が終わり、いよいよ僕たちの出番。
ステージマネージャーの先生の「準備はよろしいですか?」と言う声に二人同時に返事をし、その後でステージドアがゆっくりと開いていきます。
楽しもう、と二人で固い握手をし、緊張や不安と少しのワクワクを感じながら、いざスポットライトの元へ。
あまりの強い光と拍手の大きさに一瞬立ち止まりそうになりながらステージ中央へと歩いて行き、2人だけに注がれた約1000人の視線の重さを感じながらお辞儀をしました。
今回演奏した曲は、クライスラー編曲、パガニーニ ヴァイオリン協奏曲 第2番 ロ短調 Op.7より第3楽章「ラ・カンパネラ」。
ヴァイオリンは勿論ですが、伴奏であるピアニストにも技術力やアンサンブル力が求められる難曲です。
ヴァイオリンのアウフタクトから始まるこの曲。
「調弦をしたあと、少しだけ時間頂戴。」と舞台袖で言われていたので僕も上がった心拍を落ち着けながら待とうと思っていたのですが、ヴァイオリンの子が調弦を終えてから5秒くらいで、そして合図もなしに突然弾き始めたので、冒頭から肝を冷やしました…
これは舞台に出た事のある方なら分かって頂けるかもしれないのですが、緊張には「良い緊張」と「悪い緊張」の大きく2種類があると僕は思っています。
良い緊張と言うのは、緊張を受け入れる事で自信をなくしたり、過度な不安に襲われる事はないものの、普段の練習や合わせでは絶対に引き出す事の出来ない集中力が「緊張によって」高められている状態。
→練習の時よりも良いパフォーマンスが発揮できる可能性が高い
反対に悪い緊張と言うのは、緊張を必要以上に感じて拒否してしようとしてしまい、自信をなくしたり、過度な不安に襲われてどんどんパニックに陥ってしまう状態。
→想定以上にパフォーマンスの質を下げてしまう可能性が高い
だと思っています。
僕自身、試験などの本番では大体後者に挙げた「悪い緊張」に陥ってしまう事が多いのですが、今回は当日に会場リハがあった事もあり、控室や舞台袖、そして演奏中も「良い緊張」を感じつつ本番に挑めました。
その為、本番での演奏を一番良い演奏にする事が出来たのですが、ヴァイオリンの子は控室ではあまり緊張している様子はなかったものの、舞台袖に来た途端にとてつもない緊張に襲われたようで、本番での演奏では前半でミスが重なってしまいました。
それでも難所が重なる後半では立て直し、なんとか最後まで弾き切るその姿には、こちらも演奏しながら勇気を貰いました。
演奏後、出てきたよりも大きく感じた拍手を浴びながら舞台袖に戻ってくると、今まで緊張を感じていたのを隠していたように足がガクガクと震え出してその場にしゃがみ込んでしまいました。
そして舞台袖の椅子に座って聴いた、同級生の弾くショパンの即興曲3番が心に沁み、安堵と終わってしまった事による寂寥感が混じり合って涙が溢れました。
その後で友人と、
「最初、めっちゃ早く始めるじゃん笑」
「え?俺、結構時間取ったつもりだったんだけど…」
「全然取ってないし、合図くらい出しなさいよ!」
「ごめんごめん、緊張しすぎて。」
「でも、なんとか最後まで行ったね。」
などと話しあったのも良い思い出。
ずっと立ちたいと思っていた舞台。
でも、いざ「一緒に立たない?」と言われると急に怖くなってしまい、本当に立つのか、立っても良いのか、すごく迷いました。
成功すれば今後の自分にとっての自信になるけど、反対に失敗すれば自信をなくす要因になる。
引き受けてからも失敗する夢を見てうなされて起きたりと、不安でこの舞台の事が常に頭から離れませんでした。
でも全てが終わった今、「あの舞台に立てて幸せだった。」と言う言葉が真っ先に浮かんできます。
この演奏会を演者として舞台に立つのと、客席で観てるのとでは、この先の僕の音楽人生は変わったんじゃないか、と思ってしまう程に大きな経験でした。
出演させてくれた友人は勿論、友人のヴァイオリンの先生、出演するかどうかのご相談をさせて頂いた際に背中を押してくれ、レッスンやレッスン以外の時間帯にも無償で個人的なレッスンやホームレッスンにて合わせを聴いて下さった僕の先生、演奏会の運営に携わって頂いた先生や生徒の皆様、そして演奏会に足を運んで下さったお客様。
全ての方々に心から感謝の思いを伝えたいです。
おめでとう。
またステージで競演出来ることを祈っています。
