退勤時間近くに仕事を終えた職員さんに「もう風呂入る時間ないじゃん」と同僚さん。
「うん。」
「給湯室で頭だけ洗ってく」
「そんでさっき女房に、風呂沸かしといてってLINEした」
「ら」
(ら?)
「一緒に入ろ。て返事来た」
「あははは。」
『嫉妬と自己憐憫は人の持つ最も下等な感情』
ずっとそう戒めて生きて来た。
だから俺は、
他人がどれだけお金待ちでも、
誰かのフェラーリ流れるタンゴ♪〜(←知らないだろね)にも、
他人の綺麗な彼女にも、
羨ましいと思った事がない。
が、
こんな羨ましいことがあるだろか。
いい奥さんなんだろなぁ。
ノリだとしてもセンスいい返しだよなぁ。
上下(変な言い方だが本当)左右とレントゲンを撮ってくれて、
「加齢による膝関節変形症だね」とお医者さん(これもまた知らないだろうけど『クーロンズゲート-九龍風水傳-』に出て来そうな太っちょの胡散臭い中国人の先生)
人間は歳を取ると段々膝が変形してO脚になるんだと。
「でもね、」
「そぉうの歳で骨の間に隙間アル。軟骨もまだダイジョブ。これ膝のお皿ね、お皿ちゃんとくぼみにはいてる。立派なもんよ」
「ひざかんせつへんけしょの初期も初期も初期」
びぃゆーっ。とレントゲン画像を拡大して、
「ここにあるっちゃー、ちさなトゲある」
「左にもある」
「これ痛いのね」
こんな小さな棘(=骨の変形)でこの痛みなら大きな棘なら歩けないだろな。
マニュアル車のクラッチなんか踏めないんじゃない?スキーでウェーデルンとかボードとか無理じゃない?←だーいじょーぶだどれも今更やんないから。
膝が痛いと駅弁出来ないかなぁ?・・それはちっと困るな。
投薬と生活習慣(膝を冷やさない。下り坂、階段降りるの注意。正座禁止とか)とマッサージで進行を遅らせましょうと。整形のマッサージ、リハビリって言うの?あれ通うのめんどくさいんだよなー『家でびびび。』で良くない?
インフルのせいで病院に居た時間より長い待ち時間の調剤薬局。処方箋預けて買い物して一旦帰って着替えてから取りに行く。
もらった痛み止めの説明。
『連用中に薬の量を減らしたり急に薬を辞めたりすると、不安、不眠、興奮、震え、パニック発作、幻覚などが現れることがあるため・・』
をい。
これ飲んで大丈夫なのか?
「カロナールもロキソニンも効かないみたいです」と言ったから強いの出してくれたんだろけど。
何年か前、健康診断相談で『デパス(向精神薬)』処方されたの思い出す。俺はメンヘラじゃねえ処方箋すぐ破って捨てた。
効かないです。
(膝を触りながら)「水溜まってないからいい感じね」言いながら「ぶすり。」と打たれた注射も効いてる気がしません。
身体でかいからかな。
痛みの量も質も変わりません。
相変わらず会社では「すごいっす」「良く動くねぇ」「年齢考えたらありえない体力」と言って頂いてるけれど、
おっさん歯を食いしばって必死に着いていってるんだよ。親子ほど違う若者のダッシュに並べるわけないじゃん。離されるもんか置いて行かれてたまるか。一生懸命なんだよ。膝の痛みなんぞ二の次だ。
それでも仕事はとても楽しい。ぐっすり昼寝出来るし帰るの早いし。
俺の人生最後の女(ひと)だったのだなぁ。
それにふさわしい人だった。
けれど俺は、
大切に出来なかった。
そういう精神状態や環境じゃなかった。
もったいないことをしたとか後悔じゃなくて、
あの頃、俺がその程度だったんだよな。
大好きだったのになぁ。