く | Chapter 2,682〜

Chapter 2,682〜

非表示にしたものも含めると2,800話くらい?
これ8章。

間違えはすぐに認める言い訳しない誤魔化さない隠さない。

間違いに気が付いたらすぐに申告して指示を仰ぐ「聞くはいっときの恥、聞かぬは皆んなに迷惑掛ける」

だって俺みたいな事務仕事したことないやつがちゃんと出来るわけないんだから。

だとしてもだ。

 

隣席の係長がさっきから溜息吐いてる。

小声でぶつぶつ言ってる。

 

ありゃあぁー俺またなんかやっちゃったんだろか?

 

こないだもさ、2ヶ月掛けて入れたデータの一行が間違っててさ、もう目も当てらんない。

係長、突っ伏したかったと思う。俺だったら「何やってんだよ」「つっかえねぇなこのおっさん」て言いたいもん。

でもさ、苦笑しながら「kenさんこれ修正して貰っていいですか?」て。ハラスメントに日本一厳しい組織だとしてもだよ、言葉も態度も全く荒げずに。

これ子供だったら情けなくてベソかくレベル。はぁ・・ほんとに情けない何やってんだ俺・・

やりましたとも。2ヶ月分を3日で。この作業やってる間は生産性0の給料泥棒だもん。

 

(あれ?・・これ・・って、うーん、どっしよっかなぁ知らんぷりしちゃおっかな黙ってた方がいいかなぁ)

 

係長、今ちょっとよろしいですか?

 

「ん?はい。どうしました?」(ちょっとだけ怖い)

 

これ・・なんですけど、ご覧頂きたいのですが。

更新の日付けが自分がここでお世話になる以前なのですが、

同じ間違いを。

 

「えっ」

「あ。」

「ほんとだ・・」

「kenさん申し訳ない」

「これも全部修正して貰っていいですか」

 

(いいですとも)

覚えてないけど多分俺、この作業を始める時に前任者のデータを開けて「ふむふむこう入れるのか」参考にしたんだと。だって俺、判断出来るほどの知識無いもん(←だったら聞け)

7ヶ月分も3日で直した。

て大失敗があったからナーバスになってる最近怖くてしょうがない。

怖かろうが疎まし(うとまし)がられようが毎日愚直に出勤すること。筋トレやギターと同じ、それが今の俺のやる事。

 

 

人事の偉い人と長いこと会議室に篭ってた、うちの偉い人が戻って来るなり俺の肩をポンと叩いて、

 

「kenさんちょっといい?」

 

すたすたと歩いてく。

あ。はい。慌ててマスク付けて(うちはマスクは自由だけど会話時のマスクはマナー)追い掛ける。

 

(あっちゃあー 係長超えて上行っちゃったのかー クビにはならないだろけど指導が入るか。そうだよなぁほんと申し訳ない)

 

会議室。

 

「座って。」

 

はい。

 

向かいに座る上司、ぐっと上体を乗り出して、

「4月からのことなんだけどね」

 

(お。)はい。

 

「ここでは求人がないのよ」

 

そうですか(そりゃ仕方ないなしばらく休むか)

 

「でね。」

「○○○あるじゃん?」

 

はい。

 

「そこなら出るって」

 

(おー)

 

「ちょっと遠いけど交通費ちゃんと出るし条件も同じ」

「俺も4月からそっちなんだよね」

 

是非行かせてください。

 

「同じ部署ではないけど、俺のとこじゃないけど」

「建物は一緒だから」

 

お願いします。

 

「いい?」

「じゃ人事に話ししちゃうね」

「kenさんに向いてる所、決めちゃうね」

 

よろしくお願いします。

ありがとうございます。

いつもありがとうございますっ

 

「kenさん?」

 

はい。

 

「一番最初」

「面接したの俺だって覚えてる?」

「人柄だよ」

 

 

ありがたい。

俺はほんとに人に恵まれる(除く女の人。だからさーごめんよーそろそろ許してくれよー)

またこの上司に引っ張って頂いた。

人柄。

今でも夜中に目が覚めて、あの頃の自分を思い出していたたまれなくなる。今の俺が最も嫌うタイプ、見下げるべき男だ。なんであんなだったんだろう?どうしてあんなになっちゃったんだろう? 後悔は本当に、本当に先に立たない。

だいぶまともになったのか。

 

 

 

今までで一番遠い勤務地。とは言っても調べたら1時間5分。

決まるといーなー

だってさ、

前全面海っ

 

 

出勤してエレベーターを降りると「ぼわん。」と暖かい。

まだ誰も出勤してない真っ暗な廊下、俺の歩調に合わせて「ぽ。ぽ。」と電気が点く。

SF映画の宇宙船の中みたい。

ノストロモ号?リプリーはどこだ?