悪い人ではない良くもない | Chapter 2,682〜

Chapter 2,682〜

非表示にしたものも含めると2,800話くらい?
これ8章。

「あきゃきゃわーがもももも」

 

遠い声が近づいて来る。

(あれ俺寝てるよね山の疲れが抜けなくて今日の仕事でくたびれて佐川さんの不在票ほったらかして寝たよねでもシャワー浴びたから臭くない)

 

「うぎゃきゃーうごうごおまーひゃひゃ」

 

来た。

痴話喧嘩。

 

(わっざわざ人ん家の前の駐車場入って喧嘩してんじゃねえよ酔っ払いカップル。そのままバス通り歩いて通過しろ。他所でやってくんないかなっ)

(男の方が感情的になってんな。お姉さん負けてないな)

 

こないださ、

うちの庭に『しようずみこんどーむ』放り込んだのお前らだったりする?

今度やったらホースで水かけっからなっ

 

 

 

 

「どうもありがとうございました」ペコん。頭を下げて茄子さん。

 

いえ。

自分何もしてないですから。

つっ立ってただけですし。

 

「何かされるかと思って」

「男の人が居てくれると安心でした」

 

 

と言って、REDの更衣室から戻って行った。

・・・俺、

置き去り?

(をーい。)

 

 

うんまぁ、この国のそれの見本じゃないか?ってくらい、とにかくコンプライアンスにうるさい職場だ。

ついこないだも職員が一人、突然異動になった。挨拶程度のセクハラ発言で、だそうだ。

だので俺も、一切余計なこと言わない。ただでさえ看護師さん派遣会社さんと会話しないけど。

 

終業前の引き継ぎミーティングで管理職が、

 

「1234の○○○さん、落ち着いたそうです」

「さっき看護師さんから報告がありました」

「きっとkenさんが行ってくれたからでしょう」

「kenさんが後ろに立ってたら」

 

(ん?)

 

「怖かったんだと思います」

 

(え。)

 

 

冗談を言う場ではない。大真面目なミーティング。

確かに不安定になっていて問題行動が多く、他の迷惑になるので俺が付き添ってフロアを移動させた。俺が車イスに座らせて(おっと、座って頂いて)押した。多分ひと言ふた言しか喋ってないよ。

 

え。

抑止力的な。ってこと?

 

 

俺って、

俺が考えてるよりもずっと、威圧感あるのかな。

ほんとに怖いのかな。

 

えー

 

最近特に、ワンオペになってから、好かれるタイプではないんだろうなとは思ってた。周りを愉快にする人ではないと自覚してる。そうでありたいなんて思ってないもん。

けど、

立ってて固い。じゃない、怖い。・・・うーん。

 

ダメージデニム履いて会社行くからかな。

自席で靴脱いで胡座かいて仕事してるからかな。

難しい顔してディスプレイ見てるからかな(仕事してるふり)。

弁当試食毎回の「まっず。」て独り言かな。

 

だって身長と体格はしょうがないじゃん。