ご利用者と一対一になるという事 | こらそん(の中の人)のぼやき部屋

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介護保険事業を行なっている株式会社えんカウンターのマスコットキャラクターである『こらそん』が色々な事を『ぼやき』ます。
その時、そのタイミングで思った事を、ここに残しておきたいなと思います。

先日、ニュースに『認知症女性2人に性的暴行疑い 容疑の施設職員「介護の一環で」』という記事が掲載されていた。

 

こういう事件が起こる度に気分が悪くなる。

ここには『施設職員』とかかれているが、厳密にはグループホーム職員だ。

高齢者グループホームにご入居されているご利用者という事は、認知症を患っている方である。

短期記憶の消失があり、もしかすると身体的な介助も必要な方だったのかも知れない。

 

抵抗できずご自身で訴える事もできない人に対して暴行を行なったという事なのだ。

そして、その最悪な記憶は認知症によって消し去られる。

悪質極まりない事件だと思う。

別に正義ぶるつもりもないし、犯罪行為に綺麗も汚いもない。

だが、あまり使いたくない言葉ではあるが『弱者』に対するこのような行為は情状酌量の余地もないと思う。

 

恋愛感情やその対象は人それぞれと思うし、54歳の男性が80代の女性を好きになる事自体はあり得る事なのだろうと思う。

だが今回の事件は悪質極まりないし、恋愛感情とかの話でもないだろう。

 

高齢者のグループホームは小規模の環境にて馴染みの関係を作り、大規模施設よりも密な関りが持てる。

顔なじみの人達が個々の残存機能を活かし、生活する中で家事などを職員と一緒に行なう事で、認知症をいう恐ろしい病気を患っている方でも安心感をもって生活が営めるという利点がある。

当然そこで働く職員も認知症専門のケアを提供できるよう研修などで学んでおり、ご本人の物忘れに対して不安を与えず穏やかに過ごしてもらえるよう毎日関わっている場所なのだ。

みんなで助け合い、自信をもって生活を続けられる場所と言っても良いと思う。

 

しかし、その中にこんな犯罪を犯す奴が混ざっていたとなると、ご利用者のみならず、そこで働く職員もたまったものではない。

真面目に働いている人だって沢山いるはずなのに。

 

介護の一環として行なう性的暴行なんてあるはずもない。

被害者である女性達とそのご家族には深い傷が残ってしまっただろう。

 

このような夜勤帯に行なわれる犯罪行為には『他者の目に入らない』という環境を悪用したものが挙げられる。

これは施設やグループホーム等に限った話ではない。

我々介護支援専門員を含める訪問系サービスだって、ご利用者宅訪問時、一対一の面談になる事も多いのだ。

 

20年ほど前、新人介護支援専門員だった俺に色々と関わってくれていた先輩が、ご利用者のキャッシュカードを勝手に持ち去り、ATMから50万円を引き出していた事が発覚し、逮捕された。

現金を引き出した数か月後に、別居していたご家族が請求書に気付き警察に連絡。

ATMの監視カメラを確認すると担当の介護支援専門員がお金を引き出していた映像が残っていたらしい。

ご利用者は認知症を患っており、お一人暮らしだった。

 

今も昔も変わらず、このような悪質な犯罪が無くならないと言う事だ。

ご利用者と一対一になる『危険性』を組織としてどのように注視していくか。

個人のプロ意識に委ねるだけではダメなのはわかっているのに、未だにベストな対策が見つからない…。

 

ここのグループホームだって、まさかこんな事をするなんて思わないで面接をして採用をしたんだと思う。

面接で人の内面を見透かす事は難しいのだ。

 

職員の質の向上。

今も昔もこのテーマを突き詰める事はとても大切だと強く感じる日となった。