最近、退職代行会社の社長が逮捕されたというニュースが流れた。
この『退職代行』という概念がシックリこない年代で生きて来た俺としては、このニュース自体あまりピンと来なかった。
しかし、これも時代の変化だと思うし、新しいビジネスが出てくる事によってそこに新しい問題が生じるのも時代の流れなのかもしれない。
なんて考えながらこの事件の事を少し調べてみた。
簡単に言うと『退職代行』自体は別に逮捕されるまでの行為ではないが、それに伴う『交渉』等が必要な場合は弁護士の力が必要になるらしい。
今回はその代行会社のみの力では『交渉』が出来ないから、弁護士を紹介するにあたり、紹介先の弁護士との金銭授受があったのではないかという事。
また、弁護士しか認められていない『交渉』等の行為を代行会社が行なっていたのではないかという疑いもあるらしい。
『らしい』という文字が沢山出てくるのは、俺がこの事件にかかわる『弁護士法』を全て把握していない為である。
このような代行会社と弁護士間で行なわれる金銭のやり取りを『非弁提携(周旋)』、弁護士以外が『交渉』等を行なう事を『非弁行為』という。
今回はこの2点で法に反した行為があったのではないかという疑いなのだ。
『非弁行為』については言うまでもなく、無資格者が勝手に行なってはいけないという事だからわかるとして、『非弁提携(周旋)』については正直「そうなんだ…」という感想だった。
物凄く簡単に言うと、弁護士は代行会社などからキックバックを貰ってはいけないという事らしい。
でもこれって、弁護士以外の職種では良くある事なのだ。
例えば賃貸住宅の仲介等では、よく見る『敷金・礼金・前家賃・仲介料』があるが、この中で仲介業者に入る金額は『仲介料』のみ。
敷金・礼金・前家賃は大家さんの取り分(厳密にいえば敷金は家賃が滞ったり退去時に部屋の状態が著しく悪化していた場合に使われる金額で、基本的に退去時に利用者に返却される金額)となる。
『仲介料』は利用者から仲介業者が『直接』受け取る金額。
しかし、利用者には見えていない金銭のやり取りも実は存在していて、それが所謂『キックバック』と言われる金額なのだ。
利用者は一切支払う事の無い金額で、これは大家さんが仲介業者に支払う金額。
バック1なら家賃1ヶ月分、バック2なら2ヶ月分という感じになる。
仲介業者としては、この『キックバック』と『仲介料』で事務所の運営を行なう事になる。
期間限定とかで『仲介料無料』としている期間もあるが、それでも仲介業者は『キックバック』で収入を得ている形となる。
詳しく言うなら、なかなか決まらない部屋があるとして、大家さんは長期間家賃が入らないのは困るので『バック』を2ヶ月に変更する。仲介業者は売り上げを上げるために『バック』の多い部屋から優先的に紹介していく。
こんな流れで賃貸仲介業者は成り立っている。
では、弁護士は何故、それが禁止されているのか。
簡単な解釈をすると『弁護士は誰の為に動くのですか?』という事。
Aさんの為の弁護士なのに、キックバックを優先してしまうと、Aさんの希望とズレてしまうのではないですか?という事らしい。
例として今回の退職代行に当てはめると、Aさんは『退職したいだけ』で退職する会社から金銭は受け取らなくても良いという希望なのに、それだと退職代行業者には一銭も入らなくなるので、弁護士を介入させて金銭の交渉等を行ないAさんに入るようにして、代行料を得る。
代行業者はそのように動いてくれる弁護士を紹介して紹介料を渡す。
これは、だれの為の弁護士ですか?
という事になるので、弁護士法で禁止されているらしい。
※上記はあくまでも例であり、この事実があったという事ではないのでご注意を。
このニュースを見て内容を調べていた時、俺は昔あった出来事を思い出した。
とあるご利用者がサ高住を探していた時の話。
直接その住宅に空きの確認をしようと出向いたら、そこの責任者さんが対応してくれた。
空き状況を確認すると、相手はしかめっ面で「ん~…空いてはいますけど、おたくはいくら取るの?」と返答があった。
こちらは住宅紹介所ではなく居宅介護支援事業所ですよと伝えても、向こうは居宅介護支援事業所にも支払っていると言ったのだ。
結局はそこの住宅にご利用者はご入居したのだが、俺はもう一度聞いてみた。
支払った相手は本当に居宅介護支援事業所だったのか…と。
先方は「ケアマネさんでしたよ」と。
しかも「結構ありますよ、お金取る所」とも言っていた。
全部が正しい訳ではないとしても、そうしている事業所もあるのかと疑問だけが残った。
それから数年が経ち、今やケアマネのシャドーワークを懸念するが故に、ケアマネも自費でサービスを行なえば良い、という流れになっている。
これも、自費サービスのうちに入るのか?
そうであれば、あの時の金銭のやり取りは、居宅介護支援事業所の自費サービスという事になるのか…?
『誰の為の弁護士なのか』という言葉を、そのまま介護支援専門員に置き換えて考えてみる。
弁護士はダメで介護支援専門員はダメではない。
これは弁護士法があるからだが、なんかモヤモヤするなぁ。
所謂『キックバック』は他業種では良くある話だけど、それをやる事でクライアントの意向とズレてしまうから弁護士は『非弁提携(周旋)』に該当してしまう。
弁護士法が厳しいのか、他職種が緩いのか。
そんな事を考えながら、ご利用者中心という概念を忘れないでいようと思う、今日この頃だった。




