●おかえり・・・
冷たくなった父の処置が終わり、いったん自宅へ。
何より好きだった海を眺めながら
父は自分の家に帰ってきました。
おかえり、じさん。
今夜は村の人たちから念仏を頂きます。
3時ごろに実家に到着した時には
私たち4姉妹の他にも、久しく会っていない
親戚のおじさん、おばさん、いとこたちが集まっていて
大勢の親戚と弔問に来て下さった村人たちで
ごった返していました。
夕食も子どもたちと大人たちと別れ
手の空いた者からチャッチャと食べることに・・・。

こんなふうにみんなが集まるのは、正月以来です。

そりゃ、話にも花が咲きますね。めっちゃ楽しそうw

オオォォ━ヽ(*゚Д゚)ノ━ォォオオィ 笑い過ぎやぞ。
念仏の合間に、水をかえるのが私たちの役目でした。
孫が1人1人交代で、水をかえ
手を合わせ、父を見守りました。
今夜から線香やろうそくが消えないよう
いつまでも父の傍らで、談笑しつつ夜を明かしました。
とはいえ、今朝は5時前から起きていたせいもあって
ひとり、またひとりとリタイヤする者が続出し
結局、最後まで起きていたのは
私といとこのさっちゃんの2人だけ。
途中で交代するものと思っていたのですが
他の者たちは、ぐっすりお休みしていて
交代しましょうか・・・少し休んで下さい・・・
そんな心優しい言葉をかける者が
誰ひとりとして、おらんかったというのは遺憾でした(笑)
4月11日(木)
●一夜明け・・・
午前中にも念仏があって、水をかえたり
お茶を出したりと、実家はとても忙しく
これから通夜、葬儀とセレモニーホールへ場所をかえるため
さまざまな取り決めや段取りで、姉が一番大変そうでした。
悲しんでる場合じゃない様子でした。
昼頃に私たちも家に戻り、今夜の通夜に備え
支度をすることになりました。
とはいえ・・・
一睡もせず、31時間ぶっ通しで起きてたので
この辺りで少しでも寝たほうがいいだろうと思い
1時間ほどベッドに横になり、身体を休めることにしました。
夕方には次女のお婿さん(通称:骨折君)も
わざわざ大阪から来てくれたので、今夜泊るホテルの予約をし
チェックインさせ、会場に向かいました。
●控室にて
骨折君を親戚縁者に紹介しました。
こんな形で顔合わせすることになるとは・・・。
父が元気な頃に、遥の旦那さんや!と紹介したかった・・・。
そんな思いでいっぱいでした・・・。
●30数年ぶり
・・・に会ういとことの再会に
誰やった?名前も思い出せん・・・。
時の流れを感じます。
私が高校生の頃、祖母が亡くなって葬儀をしたおり
会った以来ですから、当然のことでしょう。
あ~んなにちっちゃくて、可愛かったのに
こ~んなおっさんになっちゃって(笑)
遠い和歌山から来て下さいました。
●在りし日の父
受付会場前には、父の面影を忍ぶコーナーが設けられ
孫を抱き、満面の笑顔の父の姿がそこにありました。

海を愛し、漁に出る日が多かった父。
亭主関白のくせに、寂しがり屋で
いつも母の行くところに、ついて行った父。
8人の孫を抱いたその腕が、力なく冷たくなっていったのは
ほんの昨日のことなのに、ずいぶん時間が経ったような・・・
在りし日の父の姿に、懐かしさと悔しさと愛おしさと
いろんな思いに溢れ、やっぱり涙、涙、涙でした。
昭和9年生まれの伊達男。
父は間違いなく男前でした。

●通夜

たくさんの方が、父の通夜の席に足を運んでくれました。
自分が死んだ時に、こんなにたくさんの方が来てくれるだろうか?
こんな形で父の偉大さを知るなんて・・・。
日頃から人とのお付き合いは重視すべきだと
身にしみた通夜でした。
●極度の緊張
焼香は4つ用意され、順番に焼香をあげました。
長女はチビを引き連れ、次女は骨折君と並んで行ったのですが
祭壇の前で、順番がずれてしまい
チビはひとりで後から焼香になってしまいました。
その後、極度の緊張のせいで
チビが泣きだし、冷たくなった手のひらと
激しい動悸に襲われ、自分の体であって
自分の意思と反した身体の変化に
チビは恐怖を感じたようでした。
これはパニック症候群ってやつなんでしょうか?
●最後に・・・
また在りし日の父の姿を、DVDにまとめたものが
スクリーンに映し出され、会場は涙に包まれました。
父からのメッセージのようなDVDに
アスピカのスタッフに、やられたぁ~・・・
そんな感じでした。泣かせやがって・・・。
「しあわせだった?」なんて 聞かないでくれ 愛しき人
腕に抱きしめて 僕が聞きたいよ 君がしあわせだったか?
終わらない道は きっとある 見送る人 涙 拭いて
背中 見届けて・・・
僕は1人きり この川を 今 渡る
何も悔いはない 生まれてよかった
心から ありがとう
最期の川とリンクしてしまって
DVDを見ている間、ずっとこのフレーズが
耳元で聞こえるような気がして
ここでもやっぱり、涙、涙、涙・・・でした。
●礼服のまま・・・
通夜の後、次女夫婦を誘い食事に出かけました。
見知らぬ親戚に囲まれ、いきなり紹介され
初めて会う義父は息がなくて・・・。
骨折君の気疲れは相当だったと思います。
だけど、来てくれて本当に嬉しかったので
食事は丸亀でもなく、ガストでもなく、きらくっ!
ちょっと奮発してご馳走することにしました。
●ネクタイ
キュッと締めたネクタイを緩め、形を崩さないよう
あまりにも慎重にネクタイを首から外すので
なんで解かないのか聞いたら・・・
ネクタイが結べないからと、意外な答えが返ってきました。
なるほど・・・。
そう言えば、骨折君もまだ未成年です。
ネクタイくらい結べなくたって、許せる歳ごろです。
●代行
会計を済ませ、代行を1台お願いしたところ
待ち時間が1時間くらいあったので、カウンター前の席で
再び飲み直しました。


お疲れのようでした。
入学したばかりで、慣れない学校に通い始め
それこそ慣れない通夜を経験し、チビの緊張と不安も
多々あったかと思います。
が、チビには精神的な面で、もっともっと強くなって欲しいと
つくづく感じた夜でした。
4月12日(金)
●告別式
この日の為に、孫一同より父へ寄せ書きをしたのですが
てっきり棺に入れるんだろうと思っていたのに
なんとこの式の中で、すべて読み上げられたのには驚きました。
読むのなら読むと言ってくれればよかったのに・・・。
いとこのさっちゃんは、いつも呼んでた呼び方で
じさんへ
と、書いてしまい
それを進行役の方が、さも悲しげに
じさんへ・・・
と、しんみりと読み上げるので
ここは泣くところのはずが、吹き出しそうになったのでした(笑)
今日も式の終わりにはDVDが流れました。
DVDは通夜の時と同じものでしたが
ナレーションが違っていました。
残された私たちから、父へ向けたメッセージになっていて
ここでも会場は、涙、涙、涙に包まれたのでした。
●安らかに・・・
父の寝顔は安らかそのものでした。
私たちには突然、逝ってしまったように思われましたが
父には迫り来る死期が、分っていたのかもしれません。
船で使う網や救命衣などを、近所の方に分け処分していたとか
すでに亡くなった祖母(父の母)や、兄の夢を見たとか
体調不良で最近は外にも出なかったのに
亡くなる前日に、ふと浜に出て海の様子を見に行ったとか。
どんな思いで1日、1日を過ごしてきたのかと思うと
胸が張り裂けそうな気がします。
自分の死期を感じる恐怖はいかほどだったのか・・・。
歯医者さんで口を開けるのも、怖がる父が
1人、その恐怖と向き合っていたのかと思うと
悲しくてなりませんでした。
●火葬
父の体中の骨をひとつひとつ拾い上げ
丁寧に説明をしてくれました。
さすが海で産まれ海で育っただけあって
骨がとても丈夫だったそうです。
頭蓋骨も鼻のラインもきれいに残っているのは稀だと
お褒めの言葉を頂きました。
鼻のお高い方だったんですね・・・と言われ
あぁ、その鼻に私は瓜ふたつなんだと少し嬉しく感じました。
ちっちゃな骨壷に入った父を連れ、セレモニーホールへ戻りました。
●初七日
最近では、火葬の後に初七日を済ませてしまうそうです。
なんにせよ、全てセレモニーホールの方の進行あってこそ。
昔は全て自宅でやっていたので
とても大変だったそうですね。
時代の流れでしょうか。
便利になった代償は、支払いに跳ね返るのでした。
●会食
親戚縁者とお世話になったお坊さんとが席を合わせ
会食したのですが、それはそれは美味しい食事でした。
全てがとても美味しく、ちょっと張りこんだと姉が言うだけあって
最後のデザートからコーヒーまで
とても満足できる会食でした。
ご馳走様でした。
●戒名
父の戒名がどんな意味を持ってつけられたのか
どうしても知りたい私たち4姉妹は
お坊さんに父の戒名の呼び方、意味合いなどを尋ねました。
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥ですから。
その意味を知り、感心し、拍手をした私たちに・・・
お坊さんの言葉に、時折ウケ、笑い飛ばした私たちに・・・
初七日の席で、笑いを取って、拍手まで頂いたのは
今日が初めてですと申しておりました。合掌!
●お疲れ・・・
連日の疲れをとるために、次女夫婦と一緒に
越のゆに出かけました。
次女たちにはもう1泊ホテルに泊まってもらって
ゆっくりしてもらおうと思ったのです。
7ヶ月の大きなお腹を抱え、次女が転ばないかと
ヒヤヒヤでした。
父はあっけなく死んでしまったけれど
ここにもうひとつの新しい命が、育まれています。
命の尊さを感じずにはおれません。
まだ若い夫婦ですが、この授かった命を
大切に大切に、深い愛情で包みこみ
これからの人生を豊かなものにしていってくれればと
そう願うばかりです。
●父へ
真昼の太陽に・・・
深夜のお月様に・・・
あなたの存在を思うでしょう。
いつも、空高くから
私たちを見守ってくれてると信じています。
おつかれさまでした。
どうか、安らかにお眠りください。
●最後に・・・
長々と書いてしまいました・・・。
お付き合いいただき、ここまで読んでくれてありがとうございます。
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