つい最近のこと。
「○○(本名)さん、これ一晩だけ預かってもらえますか~?」
隣の部署(縁茶的訳語)のお姉さんが持ってきたのは、鎧姿もりりしい五月人形。
もちろん私が家に持ち帰るのではなく、私の仕事部屋の隣りにある倉庫に置かせてくれということですので、「いいですよ~」と頷いたのです。
とは言うものの。
時は既に夕暮れ時。
うす暗い倉庫にひっそりと置かれたその人形の姿は――
「……何というか……不気味ですね。」
「ですね。」
私とお姉さん、意見一致。
そして。
夜。
ガシャーンガシャーンという音が、闇の中から聞こえてくる。
懐中電灯を向けると、床に小さな赤い染みが点々とついていた。
その先に照らし出されたのは、一体の五月人形。
手にしたまさかりからは、真っ赤な血がしたたり落ちている。
気配を感じたのか、それはゆっくりとこちらをふり返った。
頬に受けた返り血を拭い、あどけない顔に凄絶な笑みを浮かべ、それが言う。
「見たな……?」
「――って感じじゃないですかこれ!?」
「わかりますわかります!!」
オレは無実だ。
そしてオレの武器は、まさかりではなく刀だ。
五月人形さんがそう思ったかどうかは、永遠の謎です。