名古屋旅日記 ~鯱見守る城下町で、永久の縁を確かめる~ その2 | 縁茶亭茶話

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地味に地道に生活している一般人が綴る、ごくごくありふれた日常

【1月21日(金)】

5.つるかめつるかめ

 すせりんとは、栄の出口で待ち合わせた。

 風邪を引いているらしく、すせりんはマスク着用で登場。

 とりあえず式前日なんでほどほどにしようね、と言いながら店に入る。


 すせりんと会うのは1年ぶりくらいだが、ゆっくりじっくり話すのは、それ以上ぶりだったように思う。

 と言っても、今日はあくまでも前日なので、じっくり度合いは少々低めだ。

 そして、「めでたい日に水を差すのも、なんだかな……」と思い、私は支店長からの電話の内容については語らないことにした。

 だから、彼女が私の状況を知ったのは、その後1月31日に日帰りで遊びに行った時のことである。


 ちなみに、年に一度会うか会わないかの私たちが、なぜ1月31日に再び会うことになったかと言えば。


「実はさぁ、……」と、新幹線の切符にまつわる失敗を説明した私は、彼女に切符をあげようとしたのだ。

 が、彼女の返事は「いらない」。

 いつも過労寸前で働いている彼女には、のんきに遊び呆けている私とちがい、東京まで遊びに来る余裕も気力も目的もないらしい。

「名古屋だったら日帰り遠征OKよね♪」と、中日劇場まで宝塚月組公演を観に行ってしまう私とは、根本的な発想がちがう。

 ――で、なんだかんだと話し合いの結果、結局1月31日に私が再び日帰りで遊びに行くことになった……というわけである。


 さて、「少し早いから、場所を変えてお茶でも飲むか」と話していた帰り道。


 栄の地下街に降りる階段のところで、なにげなく首元に触れた私は、つい「あああっ!」と叫んですせりんを驚かせた。


「いきなり何!?」

「ネックレスがない!!」


 そう、出かける時にはたいてい着けていたお気に入りのネックレスが、なかったのだ。

 店では、確かに着けていた。

 留め具が前に来てしまうので、直したことを覚えている。

 落としたとしたら、その後……。


 心優しいすせりんは、店まで引き返すのにつきあってくれたが、見つからない。

 店に電話をしても、やっぱりない。

 お洒落に興味のない私が初めて買った誕生石のアクセサリーで、数々の思い出を共にしていたお気に入りだっただけに、ショックだ。


 しかし、気を取り直してお茶でも、と店に入った私は、最後の望みをかけてトイレに行った。

 運が良ければ、まだどこかに引っかかっているはず。

 運が良ければ。

 良ければ――!


 そして。


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 発見!!

 切れたチェーンとペンダントトップは、落ちずに服の中に入っていた。

 これはものすごく幸運なことではないだろうか。


 ――が、金のチェーンがぷっつり切れるのって……と思った小心者の私は、ついつい家に電話をかけ、家族の無事を確かめてしまったのだった。




【1月22日(土)】

6.今日だけは解禁ということにする

 結婚式当日。

 月並みな表現だが、まるで二人の門出を祝福するかのごとき青空が広がっている。

『エンジェルティアーが聴こえる』(折原みと著)などの天使シリーズを読んだ世代としては、雪は雪で素敵だと思うが、やっぱり晴れるに越したことはない。


 式は13時からなので、久しぶりにのんびり起きることにした。

 のんびり身支度を調え、バイキング形式の朝食は、もちろんたらふく食べる。

 この日のためにダイエットに励んでいた私だが、当日――と、前日くらいは大丈夫だろう。

 そう思って、すせりんとの夕飯もけっこう食べた。

 実際、その後式用の服に着替えた時も、それほどきつくなっていたということはない。

 散歩に行こうかな、とも思ったが、たまにはのんびりしようと思い、結局ずっと部屋で本を読んでいた。


 大量に食べておきながら、動かない。


 それがどのような結末を招くのか、もちろん何となく予想はつかないでもなかったが、この日の私は「ま、何とかなるだろ。」と完全になめてかかっていた。




6.光ある世界で

 ホテルのロビーに、式の15分前に集合。

 もちろんホテルに引き籠もっていた私が遅れるはずもなく、早めにやってきたすせりんとも合流し、花嫁花婿の登場を待つ。

 やがて、白いウエディングドレス姿のゆーとー嬢が、白タキシード着用の旦那様と共に登場。

 一斉にカメラのフラッシュが瞬く中、新郎新婦は式場へと移動する。


 二人の式は、人前式だった。

 私の姉その2も人前式だったが、いくつかバリエーションがあるのか、姉の時とは少しちがっていたように思う。

 少なくとも、誓いの言葉で笑いを取るのは初めてなんじゃなかろうか。

 ゆーとー嬢の旦那様を見たのはこの日が初めてだったが、いい人そうで安心した。

 きっと二人で幸せになるだろう。


 ちなみに姉その1は教会式だったので、万一私がまかり間違って結婚するようなことがあるなら神前式がいいな……というのは、密かな希望だ。

 結婚願望というよりは、「和風好きだし、姉妹で3パターンそろって面白いじゃん」というのが理由だが。

 もちろん、実現する予定は全くない。


 式が終わった後は外に出て、フラワーシャワーで新郎新婦を見送った。

 青い空に白いチャペルが映えて、とてもきれいだった。


縁茶亭茶話-幸せの鐘


 ――が、ものすごく寒い。

 私はフォーマル用のジャケットで参列していたが、若い女性はたいてい袖無しのワンピースにストールを羽織っているだけなので、寒さもひとしおだ。

 この寒さが、元々風邪気味だったすせりんを、さらに悪化させることになる。(続く)