本日はお休みです。
昼下がりのお茶の間では、両親がせっせと畑から掘り起こしてきた百合の根の皮を向き、私が半分眠りこけながら狂言の先生から頼まれている調べ物をしておりました。
そんな状況だと、息抜きのお茶を用意するのは当然娘の役割となります。
両親と自分のお茶を入れ、ついでにお菓子も用意。
本日の話題は、そのお菓子をめぐる親子の心温まる物語です。
【マドレーヌ編】
我が家には一昨日あたりから、母方の伯母が作ったというマドレーヌがありました。
2個あったはずのそれは、時の流れとともに1個に減っていました。
この場合、食べた犯人は疑いの余地がありません。
私は迷わず母に尋ねました。
「お母さん、半分こしよー♪」
お父さんは一人で1個食べたんでしょ、とは副音声。
ところが。
「あ、お母さんもう1個食べたわー。それアンタの分だから」
「うそっ!?」
オマエのものはオレのもの、オレのものはオレのもの。
分かち合いの精神など欠片も持ち合わせていない、お菓子はたいてい一人で食べてしまうあの父が、今回に限って自分は我慢して、私の分として残しておいたと!?
そんな父を反面教師として育った私は、父に言いました。
「お父さん、半分こしようよ。2個しかなかったんでしょ、これ」
その瞬間。
「あ、それ最初は5個あったよ。」
――――マドレーヌは、めでたく1個まるごと私のものとなりました。
【紅白饅頭編】
昨日の職場のイベントで、私は紅白饅頭をいただきました。
紅白ですから、当然赤と白が1個ずつです。
この場合、甘いもの好きな父は1個、さほど菓子に興味がない母とダイエット中の私が半分ずつ、というのが暗黙の了解となっています。
というわけで、私は父に尋ねました。
「お父さーん、赤と白どっちがいい?」
「白と赤。」
「はいはい、白ね」
「白と赤。」
「じゃあお母さん、赤いのを私と半分こね」
「白と赤。」
「あ、お茶のお代わりいる?」
「白と赤。」
…………………………………………。
「お父さんしつこいっ!」
「白と赤。」
「あーもーわかったよっ、じゃあ私の分を半分あげるっ!」
まったく、いい年こいてこのクソ親父がっ……!!
父と娘の間に、食べ物の恨みによる亀裂が生じようとしたまさにその時。
「3等分にしたら?」
母の冷静なつっこみに、家庭崩壊の危機はあっさり解消されたのでした。
とある冬の日の、家族だんらんの一コマです。