子宮頸がん検診を定期的に受けている方には、
「パートナーが変わってから、がん検診で引っかかるようになった」
「昨年まで(または、前回まで)大丈夫だったのに…今のパートナーから感染したに違いない」」
という方がいらっしゃいます。
ついそう思ってしまう気持ちもわかりますが、実際のところ、そうとも言えません
もちろん、そのパートナーがあなたにとって“初めてのセックスパートナー”であればまた話は別ですが、
がん検診を受ける女性の年齢を考えると、そうじゃないケースの方が多いでしょう。
この「そうとも言えません」というところが、
性感染症であるクラミジアや淋菌、梅毒とは大きく異なるところです。
今現在、子宮頸がんの検診は、細胞診といって、子宮の入り口の細胞を専用のブラシで採取したのものを細胞検査士さんが顕微鏡で細胞の形を見て、怪しい細胞がないかどうかを判断してくれています。
ここでみているのは、「細胞」であって、「ウイルス」ではありません。
今まで異常がなかった=HPV感染がないということではないのです。
子宮頸がんの発がんの原因となりうる
HPV16,18,31,33,35,39,45,51,52,56,58,59,68型を合わせてハイリスクHPVと呼ばれます。
特に太字にした16、18型は発がんリスクの高い型で、がん化する進行が早いと報告されていますが、
多くの型は数年から十数年を要して進行します。
ウイルスがDNAに組み込まれて、細胞診に変化が出るまでの期間は、
そのウイルス進行度によって変わってきますし、検査するタイミングもあるでしょう。
というのも、昨年は異常なかったのに、今回初めて細胞診に少し異常があったとして、ですよ。
医師と相談した結果、
今回は、ウイルス検査ではなく、3か月後に細胞診の再検査をすることになりました。
3か月後の細胞診では異常ありませんでした。
という場合もありますから。
HPV感染がなくても、細胞診の結果がASC-US(意義不明な異型扁平上皮細胞)のこともよくあります。そうなると、
頸がん検診で引っかかった=HPV感染かどうかは、調べてみないとわかりませんし、
HPV感染があったとして、今のパートナーなのか、元パートナーなのか、数年前のパートナーなのか...
特定することはできません。
これが“クラミジア”であれば、感染後3週間以降で検査を受けると、
症状の有無に関わらず、自分が陰性なのか陽性なのかわかります。
①昨年の検査ではクラミジア陰性だった。
②半年前から今のパートナーと付き合い始めた。
③今回の検査でクラミジア陽性だった。
④そのほかにセックスをした人は1人もいない。
となれば、今のパートナーから感染したんだな、となります。
その時は、パートナーも一緒に治療しましょう
パートナーが複数であれば、誰から感染したかは不明です
パートナーが変わっていず、自分はパートナー以外にセックスはしていない、となると...
今までクラミジアの検査を受けたことがない方が、初めて検査を受けて陽性だった場合は、「過去にセックスしたパートナーは1人しかいない」というケース以外は、いつから感染しているか、誰から感染したかは不明です。
今のあなたは、クラミジア陰性ですか
(クラミジアに感染していても6-7割は、無症状です)
HPVは過去のセックスパートナーのどなたかから感染したことは間違いありませんが、
直近のパートナーとは限りません。
そして、セックスの経験がある女性であれば、誰がなってもおかしくないのが子宮頸がんです。
だからこそ、子宮頸がん検診を受けましょう
検診でできるのは早期発見
検診で子宮頸がんの予防はできませんよ