仁学「自分の所為」

 

自分に起きた喜怒哀楽は全て自分自身の心から発したこと。決して人の所為ではない。たとえ、他人が起こした事象を自分が感じたとしても、それは自分自身の感情である。

 

目の前にある料理を食べる、食べないは自分の心一つ。しかし、その料理を出した人間を責めて、食べたことの責任をその人間に求める。

 

食べて美味しければ自己満足、もし美味しくなければ人の所為にする。料理を出した人間の責任より、それを選んだ人間にも責任はある。

 

それに関して自分を責めずに人を責めること自体が道理に反している。自分の所為にしない人間はいつも自分の落ち度や失態を人に求めて、自己逃避する悪習がある。

 

それではいつまで経っても心の器は大きくならず、自分を庇うことで精一杯になっている。人間、多くのことを為すが、悪意を以って行う人間は少ない。それぞれの事情や都合があって、意見や感情が異なるだけ。

 

仁の心を以って相手を慈しみ、自分の欠点も自省して、いつも謙虚な態度であれば、心の中に迷いや悩みが起こり難い。

 

自分ばかり可愛がると他人が僻みや妬みを起こし易く、人間関係上あまり良くない。とにかく、何があろうとも人の所為にはしないこと。