仁を修める「仁徳の商い」   

 

商いに仁徳の心が欠けると、商いは長続きしない。それは商いの原点である「つくる人、売る人、買う人」の利を無視し、自利だけを貪るからである。

 

つくる人たちを大事に思い、利益を十分に与え、さらに良いものをつくっていただく「仁」の心が必要。

 

買う人が適正価格で買えて、満足出来るようにし、さらに次の購入をいただく「仁」の心が必要。

 

売る人はそのつくる人、買う人の利を考え、社会に貢献出来る商いを継続し、商いに携わる人たちにも給与を十分に与える「徳」の心が必要。

 

今では「仁徳の商い」など死語に近い言葉になったが、歴史を振り返れば商いで成功した人間は、この仁徳をいつも心掛けていた。

 

特に江戸時代日本の経済が著しく伸び、各地に販売網が出来、多くの商人や工人、農民が増えた。商いの基本は武士道の影響を受けた「儒学」であった。

 

その基本が商人としての「徳・仁・義・礼・智・信」であり、奉公に来た少年たちはそれらを先輩や主人から学んだ。

 

上記以外に「忠・孝・謙・敬」なども教わった。かつての精神を理想論と批判する人にこそ、「徳・仁・義・礼・智・信」が必要であろう。