仁学「恩義」

 

「恩義に報いる」、今では古い言葉に成りつつある。若い世代には理解し難い言葉かもしれない。人から恩義を受ける、そして、それに応える努力をする。

 

恩を掛けた相手は見返りを期待しない、しかし、そこには人間関係の「義」が発生するので、受けた恩を返そうとする。

 

とても大事な徳行である。報いるとは見返りを期待しない相手に恩を返す「義」の心である。この義は人間関係の基本であり、後々「信」の基になる。

 

義は「仁・義・礼・智・信」の二番目に当たる徳目であり、仁と礼の要にもなる。徳目の上から順に「仁義」となり、日本人が好きな人間関係の良い特徴とも言える。

 

人生には多くの人間と出会い、恩を受けたり、恩を掛けたりするが、自分が掛けた恩は忘れても良い。

 

しかし、受けた恩を忘れずに時間を掛けてでも、それに報いるよう修養と実践をしなければならない。その相が自分自身の人格を人徳になっていく。