心学「持て成す」

 

人を持て成すことは仁の心から始まり、礼を尽くし、敬の心を持つことである。決して贅沢や派手な持て成しをすることではない。「持て成す」言葉に丁寧語の御を付けて「おもてなし」として使われる。

 

最近、世間で云うことの「表なし」のことではない。自分自身が誠意を以って敬の心を持ち、相手に快い気分を与えること。

 

暑い時の冷たい水でも十分な「お持て成し」である。

 

しかも、分相応を超えた「持て成し」ではなく、自分ができる範囲の「持て成し」で良い。基本は相手に「仁」と「礼」の心を持つこと。

 

それに因って信を得る必要はない。見返りを期待しない誠意が「持て成し」である。

 

この心は日本人だけではなく、世界中どの国に行っても「持て成し」の心はある。逆に言えば、今、日本の方が偽善的な行為に近いかもしれない。

 

「持て成す」心は一人一人の心に育つもので、それは家庭の教育から始まる。国挙げて「お持て成し」の運動をせずとも普段の教育にこそ、この始まりと実践がある。