心学「実力」

 

実力のある人はその力は「才能」ではなく、心に決めたことを耕し、栽培し、手入れをして思いを実らせたのです。初めから才能があった訳ではない。

 

この実力は徳の高低に差がなく、徳の低い人間でも力を付けることができる。ただ、大きな違いは実力がついた時点で、それを自慢するのか、謙虚であるのか、そこに差が出る。徳の低い人はその力を自慢し、人を見下す。

 

徳を積んだ人は自慢をせず、いつも控え目にして余計な言動を取らない。これが謙虚である。

 

故事に「実るほど頭が垂れる稲穂かな」はまさにこの実力と謙虚さを意味している。実力がついて傲慢、生意気、威張るなどは徳の欠けた行為。

 

徳とは人間として「心を円やかに保ち」「余計な言動を慎み」「言葉を大事にして人の嫌がるような話をしない」「悪口・誹謗中傷を言わない」「意地悪をしない」など、「仁」と「恕じょ」の心。

 

実力をつけたいと思う人は心に徳を積むことを併せて行うこと。実力をつけるには時間を要し、徳を積むのも時間を要する。階段の如く一歩一歩上りましょう。