心学「天運」

 

運に任す、それを任運と云う。天に任す、それを任天と云う。自分自身の心で思う以上に天地自然の万法が作用し、自分の天運を決める。世の中には自分の力で動かせない事象や、嫌でも訪れて来る事象もある。それぞれは自分に必要な事象と思えば、気も楽になる。

 

朝日が昇るが如く、天の動きは止むことのない任天であり、心に蒔いた種が現実を創る任運でもある。その中で人間は生きて、人生に起きた喜怒哀楽をそれぞれに熟している。

 

自分の力では逆らえない道理があり、天地自然の万法に則して、道理が徳を導く。道理は人間の作為的なものではなく、自然な心、純粋な心である。その道理こそが徳の相である。

 

道徳とは「日常の当たり前」の言動であり、天地自然の万法である。人間の悪欲が世の中や人間に迷惑を掛け、揉め事を創っている。

 

生きる為に必要な善欲なら争うことはないが、天運から外れた悪欲は、人間の心身を傷つけ、不幸や迷惑を掛け、誰からも喜ばれることはない。

 

喜ぶのは同じ悪欲を持った不徳の人間たちである。

 

*心学道場「恕庵」 人間として道理の徳を学ぶ