心学「積み上げ」

 

人生の多くは積み上げによって形成されている。無形の状態から積み上げる。それはまるで城廓の石垣に似ている。平地から城郭を造るには土台と石が必要である。

 

一気に多くの石垣は積み上げられない。石を組み合わせ、強度を保ち、見た目も綺麗に仕上げていく。時間と計算を要する仕事。それを行なって来たのは人間の心を知恵と技術。

 

人生も同じ、自分の城郭を造るには時間と計算を要する。人生の積み上げも安易なものではない。途中、石が組み合わさらない、崩れる、足りないなどの問題も生じる。

 

しかし、石垣を積まなければ自然に崩れることが多い。隙間に雨水が染み込み、地盤が緩むからである。

 

人生も同じ、仁徳を積むからこそ、人間に円みが出て、悩みや迷いが軽減される。放置すれば、心に隙間ができ、心が崩れていく。

 

自分は人生の設計士、また工事の人夫でもある。日々、自分自身で積み上げる石垣を確認して、頑丈な人生の城を築き上げよう。

 

*心学道場「恕庵」人間に円みが出る仁徳の修養