「善行は無臭」

 

善行は無臭、悪行は悪臭が漂う。これは心の臭いに比例する。心に悪事の思いが生まれ、それが育ち、やがて悪臭を放つようになる。小さい悪事の内はそれほど臭わないが、悪事の発生元が腐った心なので、大きい悪事の状態ではかなり心も腐っている。

 

腐った心は悪臭を放ち、周囲に撒き散らし、周囲の人間はその悪臭から逃れようとする。悪事の人間に人は近寄らない理由である。その点、善行は心が腐っていない為に、悪臭を放つことはない。

 

善行は無臭の為に周囲の人間に気づかれない。自分が言わない限り、善行が知れることはない。これが陰徳になる。善行は無臭、悪行は悪臭がする。全ては自分自身の心から始まる。

 

匂いや臭いは無形の為に姿形は見えないが、心で敏感に感じ、人を判別する。普段、自分の心から発する「匂いや臭い」を確かめる必要がある。しかし、自分の匂いや臭いは自分自身が一番感じ難い。それを教えてくれるのが他人の反応である。他人の忠告や助言を無視することなく、素直に聴いて、自分の心から嫌な臭いを出さないようにすれば良い。まずは如何なる辛苦があっても心を腐らせないようにしなければならない。

 

心が腐れば、それが心の悪臭になって人から嫌われるようになる。常に無臭の心が良い。