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マッチングアプリで出会った彼氏が、同棲を前向きに考えてくれない、戸籍謄本もなかなか見せてくれない。いろんな違和感がありながらも、交際を続けていた。(結局、戸籍謄本は偽造したものを見せられたけど)
その違和感が一本の線で繋がったのは、彼からの間違い電話がきっかけだった。

 

マッチングアプリで出会った彼との修羅場。裏切られていたことを知った瞬間

この間の7月の土曜日の夜中。彼から間違い電話がかかってきた。
電話に出ると、聞こえたのは不機嫌な女性の声と、彼が「ごめん」と謝る声。

・・・・・ほかに女がいたんだ!!!!!

頭を大きな何かで殴られたような衝撃が走った。

生きている世界が一瞬にして変わった感覚。

今までに感じたことのない怒りがこみ上げてきて、彼からもらったプレゼントと、一緒に使っていた物たちを衝動的に手に取り、家を飛び出した。

感情が爆発した状態で突撃しない選択肢はなかったけど、彼にこれ以上はぐらかされて嘘をつかれないように現場をおさえて認めさせたい、と思った故の行動だった。

外は年に1回あるかないかの強い土砂降りで、まるで私の心を映したかのようだった。
足は一目見ればわかるほどガクガクしていて、動悸が激しい。歩くのもしんどいくらい、怒りで全身が震えていた。

そんな状態でも、一刻も早く彼の家に行きたくて駅に向かったけど、電車は人身事故で動いていない。歩いて彼の住む隣駅へ向かった。

住所は前に教えてもらっていたから(住所の末尾は嘘をつかれて間違っていたことが後に判明)Googleマップで調べながら彼の家を見つけて、呼び鈴を2回鳴らした。

家から彼が出てきた。彼が放った言葉は

「妻は知らないんだ」

「だから何回も別れようって言ったじゃないか」

嘘をついて騙していたのは彼だったのに、よくもそんな言葉が口にできるものか。

彼は私を家から遠ざけようと肩をつかんで、力強く引っ張ってきた。私は必死に抵抗した。

抵抗していたら、妻が家から出てきた。

彼は妻に「ごめん、浮気してた」と反射的に口にした。そして膝から崩れ落ちて頭を抱え、地面にうずくまった。

私は怒り心頭でかなりの興奮状態だった。

私は妻に、2年間交際して騙されていたことを伝えた。
すると、妻はそれ以上の私の話を聞く前に、まず私にフルネームと電話番号を聞いてきた。名前の漢字まで。そして、「追って連絡します」と言った。

かなりの意表を突いた反応だったが、とりあえずこちらも連絡先を聞いておいた。

そしていきなり質問をしてきたから「こちらからまず言いたいことを伝えますから」と言い、これまでの彼との関係をひと通り説明し、「慰謝料はもらいます」と言い放った。

そして「何か聞きたいことがあれば答えますよ」と言うと、私が住んでいる場所、旅行はしたか、私以外にも付き合っている人がいるのか、といったことを聞いてきた。
一通り答えた後、妻は「だから頑なに携帯電話を見せなかったのか」と呟いた。

「まだ事態が呑み込めてないのですが…」と髪をかき上げながら言っていたが、言葉とは裏腹に動転している様子がまったくない。
肝が据わった人だという印象が強かった。

一方、彼は一度も顔をあげなかった。説明すべきは彼なのに。
妻との会話が一通り終わって少しの沈黙の後、彼は頭を抱えたまま「俺がすべて悪いんだ」と言っていた。

そして私はその場を後にした。

修羅場の数日後に彼からメッセージ、2人で会うことに

修羅場の夜から数日後。
彼からSMSで「会ってくれるのであれば謝罪したい」と連絡が入った。

なぜLINEではなくSMSなのか。向こうの状況がわからなかったから、翌日の仕事中の時間帯に電話をした。
聞いてみると、彼は単に謝罪をしたいと思っていること、私との関係を続けるような話をするつもりはないと言った。

私よりも家庭を選ばれた………

まさかの展開だった。気持ちが追い付かなかった。奈落の底に突き落とされたと思った。

それであれば会う意味はなかったが、私は今後の関係について話したかった。顔を見れば気持ちは変わるかもと思って、ひとまず彼と会うことにした。

彼と会うまでの間、気が気じゃなかった。寝ても覚めても、居ても立っても居られない。1人で彼と過ごした自分の家にいることが耐えられず、電話占いにハマってしまった。数週間でゆうに100万円は飛んだ。

そして、彼との約束の日。

話し合いは5時間にも及んだ。私がまともに話せる状態じゃなかったから時間がかかったというのもあったかもしれない。
そして案の定、彼は私との今後の話はしてこなかった。

ただ、私が話し合いの目的としていたのは単に謝罪を受けることでもなく、私との関係について話し合うことでもなかった。
戸籍謄本を偽造したことを罪に問える可能性を信じていたが証拠がほぼなかったため、その言質を取ることに集中した。

そして別れ際、これまで撮った私との思い出の写真を消すよう彼に伝えた。

それから数日後、彼から「ごめん、やっぱり写真は消したくない」とLINEが届いた。
私はそのメッセージを見た瞬間、思わずスクショをとった。
しかし、次の瞬間、彼が送信取り消しをしたのだ。

何の間違いなのかと目を疑ったが、妻の監視の目をかいくぐって、私への気持ちがまだ残っていることを伝えたかったに違いないと思った。
思わせぶりな態度によって、(慰謝料請求が終わったら、元の関係に戻れるんじゃないか、やっぱり彼の気持ちは本物だ)と思った。
いずれにしても、瞬時にスクショを取ったのは間違いなく正解だと思った。

既婚を隠してたことは当然許されざることだけど、何よりもその後長きに渡って私を奈落の底に突き落としたのは、不倫が発覚したときに私を選ばなかったこと。

それでも、彼への気持ちがすぐに消えることはなかった。
思い出の写真を消したくないと彼に惑わされたのも、彼への未練がその後しばらく断ち切れなくさせた出来事になった。

弁護士に相談、彼と最後にもう一度だけ会う

彼と会った後すぐに、彼に対する慰謝料請求を進めた。
慰謝料請求の目的としては、社会的にまっとうなかたちで彼に制裁を加えること。
ただ、当時、慰謝料請求は彼との関係を終わりにするものと思ってなくて、関係を続けるにしても何事もなかったかのようにはできないから、私が今後彼といることになっても許せるように、というためでもあった。
それに、妻が私を訴えないようにするための、制約をかける必要があった。

それから、この件を前もって頭出ししていた弁護士に慰謝料請求を正式に依頼した。過去にも離婚の件で慰謝料請求をすることになった経験があったから、相談のハードルは低かった。

弁護士とのやり取りを続けながら、毎日のように電話占いもやっていた。夜が堪えられないから。

ふと、自分が考えていることや感情を相手に伝えられないことは、私にとって一番苦しいことなんじゃないかと思った。
私は怒りすら彼にぶつけられていない。

でも、内容証明が彼に届いてからだと、もう2人で会うことはできない。というのも、彼と2人で会うとトラブルになるリスクもあるし、交渉の支障になるから弁護士に止められる。だから、内容証明が届く前に、もう一度だけ彼と会う約束をした。

彼はすぐに応じてくれた。

2回目に彼と会った時、抱えていたいろんな想いをぶつけた。
「気持ちは私にあるのに、なんで家庭をとるの!?」何度も聞いた。最後まで納得のいく回答が得られなかった。

そして「私といたいのか、本当は誰といたいのか、自分の人生をどうしたいのか、人生の選択を数週間で決められるような精神状態ではないから、時間をかけてももう少し考えたほうがいいんじゃない」と伝えた。
すると、彼は私を引き寄せて何度も抱きしめてきた。
「すぐには決められない、考えたい。」


振り返れば、これは彼の本心なのか、慰謝料請求をすると言っている私に少しでも許して欲しいという卑怯な考えからなのか。本人すら理解できていないかもしれない。
5時間も彼と過ごし、別れたのは真夜中の1時。

彼が帰宅すると、内容証明の不在通知書が届いていたという。
ここから、彼に対する気持ちの葛藤と、慰謝料交渉を通して本当の彼の姿を知っていくという、苦しい日々が始まった。