■あらすじ
妻の治療費を稼ごうと必死な元軍人のウィルと、カリスマ的犯罪者であるダニーの兄弟はLA史上最大規模となる3200万ドルの銀行強盗に挑む。しかし予期せぬ事態が次々と発生、激しい銃撃戦が巻き起こり窮地に追い込まれた兄弟が逃走車としてジャックしたのは、まさかの"救急車(アンビュランス)"。さらにそこには若き救急救命士キャムと、ウィルの銃弾を受けた瀕死の警官も乗っていた。絶体絶命の状況に追い込まれた兄弟はド派手な救急車で街中を激走する!(メーカーサイトより)
■ネタバレ
*退役軍人のウィル・シャープは、妻の病気治療のため大金が必要だった。しかし仕事はなく、医療保険も給付対象外。困窮し義理の兄ダニーを頼ることに。ダニーは17歳から銀行強盗をしている犯罪者で(この10年間で襲った銀行は37箇所)、訪ねた際にも銀行強盗を企てているところだった。抗い切れず、計画に加担するウィル。
*銀行での強奪は難なく成功。しかし強盗の情報は、ロス市警に掴まれていた。一味は忽ち追い詰められて射殺されていく。最後に残った兄弟は、偶然居合わせた新米警官ザックを連れて逃走。
*辿り着いた駐車場は包囲され、更にザックが抵抗し揉み合いになる。咄嗟にザックを撃つウィル。ザックの相棒マークの通報により駆け付けた救急車を、逃走車両として奪う兄弟。運転手スコットは降ろしたが、ザックと救急隊員キャム(カミーユ)・トンプソンは同乗させたままだ。
*現場を包囲していた警官も、同じ警官の搬送となると態度が軟化、兄弟は脱出に成功。キャムが救急処置をして、ザックの状態も幾らか落ち着く。そんな中キャムは、兄弟へ消化器を噴射して隙を突き逃げ出す。しかし直ぐに銃口を向けられ、ザックの容体も悪化。已む無く救急車へ戻るキャム。ウィルからザックに輸血しながら、処置を継続する。
*逃走を続けるが、救急車に乗る兄弟の所在は当局に把握されている。警察車両やヘリを引き連れて逃げ続ける中、ウィルとの会話から作戦を思い付くダニー。父の代からの犯罪者仲間であるパピに連絡し、別の救急車の強奪を依頼する。報酬はダニーの取り分の半分である800万ドル。
*捜査陣ではモンロー警部が指揮を執る。FBIのアンソン・クラークも合流。クラークは犯罪学の博士号を持ち、一時期ダニーの友人だった。ダニーは彼の父親LT(クラーク曰く「6人の支店長と2人の窓口係を殺害した、完全なサイコ」)の発案で、警察組織について学んでいたのだ。モンローは「奴はあんたとなら話しそうだ」と、クラークを自分の車に同乗させる。
*一方、ザックの容体は次第に悪化。1発ではなく2発被弾していたことに気付くキャム。ダニーは資格のないキャムに手術を強要。警官が死ねば、追跡はより苛烈になるからだ。彼女の携帯電話の連絡先から、元恋人のコリン・ウォーターズを選んで助けを求めさせる。
*人質になっていること・腹部銃創の手術の手順が知りたいことを伝えると、ニュースを見ていたコリンは即座に状況を理解、外傷外科医に繋いでくれる。ウィルも補助をするが、途中でザックが目を覚ます。開腹され腕を突っ込まれている状況に混乱するザックを、ウィルが殴って気絶させる。ゴルフ場に居た2人の外科医がリモートで協力してくれて、どうにか手術を遣り遂げるキャム。
*手術の最後に通信が切れてしまい、ザックの生死は医師達には伝わらない。コリンからの通報で、ザックが死亡した可能性が高いとモンローは判断。警官が死んだことで、モンローは強引な手段に出ようとする。狙撃の準備が進む中、クラークはザックが携帯電話を持っているであろうことに思い当たる。
*キャムは「元々は実習医として3年務めたが、薬物依存症になって医師になるのを断念した」とウィルに話す。ウィルは「必ず君を助ける」と約束する。そこへザックの携帯に、クラークから着信がある。キャムが密かに通話し、クラークからは狙撃手が狙っていること、キャムからはザックが生きていることが伝わる。
*キャムが狙撃手に狙われていることをダニーに教え、何とか危機を回避する。しかし発砲されたことにダニーが激怒、車内で乱射してウィルと喧嘩になる。繋がったままの携帯とキャムからのメッセージで、ダニーが義弟と共に居ること・パピとの合流地点を本部が把握。クラークはウィルと話して投降を促すも、説得に失敗。
*ザックの携帯でキャムへ連絡し、ウィルの良心を突くよう促すクラーク。妻からの電話を受けたウィルの姿を見て、彼はダニーのような生粋の悪人ではないと感じ、兄を裏切るようキャムが諭す。しかしウィルは、恩義のある義兄を見捨てない。
*追跡を躱しつつ、やがて救急車は約束の場所に到着。ダニーは呼び付けておいた手下に、救急車を(希望は青色だったが)緑色に塗装させる。用意した3台のダミーの救急車には爆弾を搭載。
*警察が別の救急車を追う中、パピのアジトへ向かう兄弟。パピの息子ロベルトが救急車の1台を警察隊付近で爆発させる。ガトリング銃での奇襲もあり、モンロー他多数の警官が死亡。そんな中、マークがロベルトを追跡し射殺する。その様子は、中継番組でも放送される。
*兄弟がパピと対面すると、彼は息子の死を嘆き、約束の金以外にキャムとザックの身柄も要求する。パピの要求を受け容れようとするダニーと、拒絶するウィル。兄弟を揶揄するパピの発言でダニーがパピを射殺、激しい銃撃戦となる。
*救急車では意識を取り戻したザックが、相棒の銃をキャムに渡す。そこに戻ってきたウィルを、意図せず撃ってしまうキャム。怒り狂うダニーに、キャムは「発砲したのが誰かは分からない」と誤魔化す。
*自分の容体が悪化する中、奪った金をキャムに託すウィル。決して諦めずに逃走を続けてきたが、弟のため病院へ向かうダニー。やがて車内で拳銃を見付け、ウィルを撃ったのがキャムだと気付いたダニーは激高し「お前を撃ち殺すところを生中継させる。仲良く死のうぜ」と言う。
*クラークの必死の説得も効果がない。キャムを連れて救急車から外へ出ようとするダニーを、ウィルが背後から撃つ。兄は弟に謝罪して息絶える。
*保護されるキャムとザック。ウィルは手当もされずに逮捕されそうだ。駆け付けているウィルの妻が「彼を助けて」と泣き叫んでいる。「ウィルがザックを救った」と訴え、マークと共にウィルを院内へ運ぶキャム。その後、ウィルから預かった金を密かに乳母車に入れる。
*回復後、クラークから事情聴取を受けるザック。ウィルに撃たれたことは伏せて「命の恩人だ」と語る。キャムは今まで搬送後の患者については興味を示さなかったが、強盗事件の前に搬送した少女を見舞う。
■雑感・メモ等
*映画『アンビュランス』
*レンタルにて鑑賞
*マイケル・ベイ監督の救急車爆走クライムアクション
*簡単まとめ:銀行強盗の実行犯は次々射殺されて兄弟のみ残る。居合わせた新米警官を連れて逃げようとするが、警官が抵抗して弟が発砲。警官の相棒が通報、駆け付けた救急車を逃走のためにジャックする兄弟。運転手は降ろして、警官と救急隊員は乗せたまま逃走開始。弟から警官に輸血・救急隊員が手術・救急車を塗り替えての作戦・協力者との銃撃戦等が発生。救急隊員が意図せず弟を撃ち、激怒した兄が救急隊員を脅した結果、弟が兄を撃つ。兄は死亡、弟は生き残る。警官は弟について「命の恩人」と庇い、救急隊員は弟から託された金を彼の重病の妻へ渡す。
*題材に対して盛り込み過ぎで、個々のパートも長めで全体の尺も長い印象。ベイ監督も映画の中の救急車も好きなんだけど、点数はちょっと辛くなる。
*ギレンホールも好きなんだけど、この映画では捜査陣も良かった。ニトロという名の犬を飼っていて『ドギー・ハウザー』等古めのネタを織り込むモンロー警部とか。同性のパートナーとカップルセラピーを受けつつ登場して、銀行強盗犯とは元友人のFBIのクラーク捜査官とか。リモート手術の医師達も良い。
*「S・コネリーは言った、『ザ・ロック』で…」「ザ・ロックは俳優ですね、元レスラーの」とか「降りろ、『バッドボーイズ』っぽく2人で」とかいう台詞があるので、ベイ作品が存在する世界線らしいよ。
*デンマーク映画『25ミニッツ』のリメイクとのこと。