ブラック・デーモン 絶体絶命 | m-memo

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ネタバレだらけの映画メモ。

忘れ易いので自分用にメモしてます。
ネタバレ部分は詳細を記載することもあれば、
二言三言のこともあります。

 

■あらすじ

海底油田の視察とバカンスを兼ねて家族とメキシコを訪れたポール。だがかつては活気があった街はすたれ、「悪魔」から守ってくれると言われる、アステカの彫刻だけが光っている。たどり着いた油田にも人気はなく、見知らぬ男が怯えた顔で海を見つめている。すると突然油田が突き動かされ、大きく揺れる。海面に現れたのは、大きく黒々としたヒレ。その怪物は、アステカに語り継がれる伝説の超巨大ザメ“BLACK DEMON”(ブラック・デーモン)だった。ポールの家族が油田に現れる中、通信手段はなく、ボートは損壊。さらに海底には何者かが仕掛けた大型爆弾が見つかる。爆発までのタイムリミットは59分。海には執拗に襲ってくる超巨大ザメ。さあ、どうする!?(公式サイトより)

 

■ネタバレ
*メキシコ北西の海岸には、古くより伝わるサメの伝説がある。神のように巨大で、死の幻覚で人々を狂気に陥れる。その名は[黒い悪魔]。召喚されると姿を現すと言う。
*海底油田[ディアマンテ]でナチョという男が海底で爆弾を発見した後、黒い影に遭遇する。そして突如、色鮮やかな魚やクラゲに取り囲まれる。現実味のない光景だ。一方、海上に居る相棒は煙草に火を点けた後のマッチを海へと放り投げる。すると海面に炎が上がる。オイルが漏れているようだ。ナチョが連絡を絶ち、相棒は不安を抱く。やがて相棒も何かに襲われる。
*ポール・スタージェスは、家族4人でメキシコのバイーア・アズールへ向かう。妻のイネスはメキシコ出身、娘(姉)オードリーと息子(弟)トミーも一緒だ。そこは夫婦が初めてのバカンスで訪れた場所で、ポールが15年前に初めて担当したニクソン石油の海底油田[ディアマンテ]がある。ディアマンテは、検査の結果次第で閉鎖の可能性がある。安全対策・動作確認・製油量といった内容が検査される予定だ。今回は仕事とバカンスを兼ねている。
*ポールはホテルを予約していなかった。当日でも問題ないだろうと考えていたが、何故か町はすっかり寂れた様子。町一番のホテルだったコスタ・アズールも営業していない。近くに居た男に状況を訊こうと話し掛けると、相手はエル・レイ(王)と名乗る。不穏な空気になるが妻が取りなしてくれ、休憩出来る店を紹介してもらう。途中、守り神[トラロック]を見付ける息子。ヒトを悪魔[デモニオ]から守っているという。
*一息吐く間もなく会社から電話があり、検査を急かされ直ぐに石油リグへ行くことに。妻に宿探しを任せて、ポールは1人で沖合へ。ボートを出してもらうが、仲介人は何故か油田へ連絡しない。操船者チョコは町の様子(船も漁師も住人も激減している)について「ディアマンテが悪魔を目覚めさせた」と話す。チョコは怯えておりディアマンテまで行ってくれず、途中でボートを乗り換えることに。「向こうにはぺぺという男が居る」と言われ、ポールは単身ディアマンテへ。
*残された妻と子。息子はネットでトラロックについて調べている。「トラロックは雨の神、意味は大地の雫。最古且つ最強のアステカ神の1人。生命と水をもたらすが、時に日照りと飢えを与え、雷を落とし壊滅的な嵐を起こす」妻は周囲の様子に違和感を覚える。鳥が居ないせいかもしれない。
*やがて現地の男に絡まれ、娘の腕を掴まれたため酒瓶で殴って撃退。車で逃げようとするが、タイヤがパンクしている。男が追って来て、3人は浜へと走りボートの持ち主(チョコとは別)に金を渡して石油リグへ運んでもらう。
*ポールがディアマンテへ近付くと、周囲の海面には壊れた機器や血で汚れたゴーグルが浮かんでいる。人の気配もなく、訝かりながら足を踏み入れると、壁にはトラロックの絵が描かれている。そこには男2人しか居らず、警戒し殺気立っている。無線は死んでおり、当然ポールが来ることも知らなかった。
*やがて別のボートが近付く気配がする。妻と子がやって来たのだ。男達は必死で叫び音を出す。困惑していると、妻と子が到着。船主が慌てたせいで娘が海へ転落すると、水中で無数の死体を見る。実際にはそんなものはなく、父が娘を宥める。娘は油塗れだ。妻子を乗せてきたボートは急いで逃げ帰るが、双眼鏡で見守っていると巨大なサメに破壊されてしまう。
*油田に居たのはチャトとジュニア。ペペはもう居なくなっている。サメは巨大なメガロドンで[ブラックデーモン]と呼ばれている。他の従業員は逃げたか、黒い悪魔の餌食になった。2人は敢えて残ったと言う。犬も居る。名前は闘牛(トロ)。
*ディアマンテでは何ヶ月も石油が漏れ続けており、採掘量はゼロ。会社はそれを知りながら放置している。そんな中、サメは施設に体当たりを繰り返しており、長くは保ちそうにない。「カテゴリー5の嵐にも耐えられる設計だ」とポールは言うが、電源も壊れてしまったようだ。無線も携帯電話も繋がらず、不安げな妻。
*ポールは海へ潜って修理をし、電力を回復させることにする。電力が回復すれば、無線も復旧出来る筈だ。「70トンもありそうなサメが居るのに?」と言う妻。しかし他に脱出の手段はない。「潜水鐘(ダイビングベル)は分厚い鋼で出来ていて頑丈だから」と妻を宥める。
*「ニクソン石油は雇用を生んだが、時間が経つにつれて規制は守られなくなった。人間は欲張り過ぎ、川や湖も全て支配出来ると考えた。神が激怒し、ブラックデーモンが目覚めた。トラロックが絶滅種を解放したのだ。あれは単なる生物じゃない、幻覚を見せて追い詰める」と主張するチャト。ポールは嗤うが「娘が何を見たのか訊いてみろ」と言う。チャトは続けて「人間がトラロックの世界を破壊している。世界を守ろうとして、神の復讐の化身である悪魔が現れた。殺すしかないが、悪魔を殺してもトラロックは止まらない。究極の犠牲を得るまで復讐し続ける」と話す。息子は、トラロックが怒ったせいで雨が降らず、町が埃だらけなのだと考える。ポールは反発して怒声を上げ「あいつはイカれてる」と言うが、家族の反応は冷たい。
*修理作業が始まるとサメが一層暴れる。「随分好かれてるな、お前が来ると奴が暴れる」とチャトは言う。「吸気バルブは60m下にある」とポールが言うと「75m下だ」と訂正される。海中には爆弾があり、ジュニアは千切れた手足や眼球、肉片が無数に浮かぶ光景を見る。ジュニアは幻覚だと分かっており、一旦潜水鐘に戻る。そこをサメに襲われ、潜水鐘ごと咥えられる。チャトは自力で浮上するが、ジュニアは意識がない状態で浮かび上がる。どうにか引き上げると、その下半身は食い千切られていた。
*悲鳴・絶叫・嗚咽。それでも相変わらずトラロックのことを嘲笑する態度のポール。それを発端に夫婦は口論になるが、どうにか落ち着きを取り戻す。
*チャトとジュニアは10年の付き合いだった。(出会ったときには20歳。)爆弾の話をするポールとチャト。その最中、遠方に数隻の船を見付けて照明弾を撃つポール。「何もない」と叫んでそれを止めるチャト。「まだ分からないのか?幻覚で追い詰めるんだ」とチャトが言う。「原油の流出をトラロックが怒っている」とも言うが、人ごとのような態度のポール。ディアマンテでの仕事によって、裕福な生活をしているポールをチャトが詰る。「アステカの迷信なんてクソ食らえだ」と言い返すポール。「このリグは出来損ないだ、過失だらけで管理も杜撰。それだけのことだ。サメはただの突然変異さ」と言い捨てる。妻は夫の態度に困惑しつつも、子供達に協力し合おうと促す。
*冷却器のルートを変えれば発電機が動く筈だと考えるポール。呆れつつチャトも手助けしてくれる。一方脱出に役立つ物を探すように頼まれた子供達。娘はロッカーを探り、妻は書類を見付ける。「危険:運用停止」と書かれている資料がある。しかし「運用に問題なし」として夫のサインが記されている。
*息子は玩具の船に、家族とチャト、トラロックを模した木彫りの人形を乗せて海へ浮かべる。「海の神よ、荒れ狂う海での航海をお守りください。赦し給え、トラロック」と祈りを捧げる。するとサメが施設に体当たりをし、支柱が折れて息子が海へ転落する。悲鳴を聞いて駆け付けた夫婦が相次いで海へ飛び込む。妻は息子を抱え、娘が投げた浮き輪に掴まる。ポールは大きな音を立ててサメの気を引こうとする。サメに噛みつかれそうになる寸前に、チャトに引っ張り上げられるポール。息子も夫婦も無事で安堵する。
*その後、妻は先刻見付けた書類について「安全報告書の署名を見たわ、警告を無視したのね」と夫に詰め寄る。「この危険な石油リグを放置した。怪物はサメじゃなくて貴方だわ」と。娘からも冷ややかな視線を浴びる。
*チャトに吐露するポール。自分が初めて担当したのがこのディアマンテだった。国外の施設で規制が緩く、独自の安全基準を設けられた。ディアマンテは問題点だらけ。ありのままを記載した報告書を提出したが、遠回しにではあるが「問題点を隠蔽しろ」と圧力を掛けられた。従わなければ解雇。已む無く書類を改竄し、あらゆる書類にサインした。裕福な暮らしのために。
*モニターで海中の様子を確認してみると、爆弾はニクソン石油が水中爆破で使う物と同一だった。「尽くした会社に殺されるとは」と自嘲気味に笑うポール。会社は責任をポールに押し付けて、リグ諸共爆破するつもりなのだ。チャトは「人の価値は、不確かな現実を前に何をするかだ。お前は家族を失いかけてる。何が正しいか自分で考えるんだ」とポールを諭す。ポールは自分の背後にある噴出防止装置を操作し、工具類を掴む。
*チャトは無線の修理を試みている。今までは故郷を救うため、自分が心中することになってもリグを沈めるつもりで、修理を呼びたくなかったのだろう。妻と子は脱出用の古いボートの穴を塞ぐ作業に取り組んでいる。
*ポールの作戦は、先ず石油漏れを止めること。海中にある手動バルブを塞ぐ必要がある。圧力が解放されれば防噴装置が作動する。上手くいけば坑井を塞ぐことが出来る。次に、爆弾を化け物にくわせるのだ。懐疑的なチャトは「その後はどうする」と問い掛ける。「潜水鐘に逃げ込む」と答えるが「駄目だ、一緒に沈むぞ」と否定される。ポールは「このリグのことは俺の責任だ、奴は俺の犠牲を望んでる。お前等は皆知ってるだろ?俺が潜ったら家族をボートに乗せて逃げてくれ。鞄も頼む」とチャトを説き伏せる。
*ボートを完成させた家族と合流、チャトを交えた5人でトラロックへ祈りを捧げて赦しを請う。チャトに家族を託してポールは海に入る。支柱から爆弾を剥ぎ取り、次にバルブを捻る。油の漏れはひとまず止まったようだ。するとサメが姿を現す。鉄柵に潜り込んでサメを躱すポール。酸素は残り少ない。妻に無線を繋いで「チャトや町の人達に、悪いことをしたと伝えてくれ。もうすぐ悪夢は終わる」と伝える。チャトには「鞄の中に贈り物がある、然るべき人に渡してくれ」と頼む。鞄の中には安全報告書の束が入っている。子供達にもそれぞれ語り掛け、別れを告げる。爆発する時間が近付いて、ポールはサメの前に姿を見せる。サメはポールを丸呑みにし、直後にサメは爆発する。
*間もなくエル・レイがボートでやって来て、4人と1匹を救助してくれる。爆発の影響で石油リグは崩壊し、やがて海中へと沈んでしまう。息子はジュニアから貰ったお守りを海へ返す。トミーが海に流した小舟からは、ポールの人形だけが海へ落ちてしまっていた。雨が振り出し、他の人形も小舟ごと海へ沈む。
 

■雑感・メモ等

*映画『ブラック・デーモン 絶体絶命』

*レンタルにて鑑賞
*ジョシュ・ルーカス主演の海洋サバイバルスリラー

*舞台に変化がなく絵的に些か単調。展開も生真面目で硬い印象。
*この映画における鮫が[神の復讐の化身]であるので(幻覚を見せてきたりはするけど)娯楽性低め。非を認めない主人公 vs. 周囲の人達の会話が無闇に多い。

*主人公は問題だらけの海底油田について、警告を無視して安全報告書に署名した。(裕福な暮らしのため。)結果石油が漏れ、海を汚している。守り神[トラロック]の復讐の化身として、危険な鮫メガロドンが出現。サメは繰り返し油田基地を攻撃。黒い悪魔は巨大なだけではなく幻覚を見せる厄介な相手で、ポールの犠牲を望んでいる…というのが大筋。ヒト全般に怒りを向けるのではなく、正確にピンポイントな生贄を要求してくるのはちょっと面白い。
*最後が不穏でどういうことなの。犬は無事であって欲しい。
*恋人を奪われたエピソードについて、娘が「ロスとレイチェルみたい」と言うと息子は「ロスとレイチェルは仲直りするもん絶対」と言う。(『フレンズ』の話らしい。)