ブラッド・インフェルノ | m-memo

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ネタバレだらけの映画メモ。

忘れ易いので自分用にメモしてます。
ネタバレ部分は詳細を記載することもあれば、
二言三言のこともあります。

 

■あらすじ
大洪水により廃墟となった町エピクエン。映画の撮影のために車でやって来たカーラたち6人の若者だが、途中で立ち往生してしまう。その後、ヴァスコがガソリンスタンドへ助けを呼びに行っているあいだ、カーラ、ディエゴ、エリカの3人は撮影のために墓地へと向かうことに。辺りがすっかり暗くなった頃、3人は車に戻ってくるが、他の3人の姿はない。仲間を捜しに行くも、待っていたのは人の顔の皮で作った仮面をかぶった何者かだった…。(メーカーサイトより)

■ネタバレ
*アルゼンチン、湖畔の観光地エペクエンは1985年の洪水によって堤防が決壊。その後、約25年に渡って町は水没した。やがて水位が下がり、町が再び姿を現したのは2009年の事だ。6人の男女がそのエペクエンへ向けて車を走らせている。彼等はエペクエンでドキュメンタリー映画の撮影を計画している。メンバーは監督であるヴァスコとその恋人ヴィッキー、主に撮影を担当するディエゴとエリカ。運転手のナチョはバンの持ち主だ。協力者のカーラは水没する前のエペクエンに住んでいた女性で、彼女がこの企画の中心になる。
*恐らくエペクエンに最も近いと思われるガソリンスタンドに立ち寄る一行。トイレを借りようとすると、店主の老女が虫の集るミートパイを勧めてくる。断ると老女は「何も買わないなんて許さないよ、私はあんた等観光客のトイレ掃除係じゃないんだ」と詰る。
*一方ヴァスコは店のガレージに入り込み、錆だらけの古い車を眺める。汚れているが、中でもバンパーの赤い染みが気に掛かる。やがて店の男チマンゴが現れて「こんな場所で何をしてる?何を盗んだのか言え」と凄む。ヴァスコが戸惑っていると「冗談だ」と笑うが、笑顔でもチマンゴは不穏な空気を醸し出している。
*酷く不潔なトイレを恐々使ったヴィッキーは、店の奥で人の気配を感じる。薄暗い部屋を覗くと、エアロビクスの映像が流れるテレビの前で男が自慰をしているようだ。店を出ると、その男が厭な目付きで一行を見送る。相場よりも遥かに高いガソリン代を請求された上に、結局ミートパイを人数分買わされてしまった。店から走り去る際に「ミートパイでも喰いな、クソじじい」と言い捨てて、窓からパイを放り投げる。
*やがて彼等はエペクエンに到着。自身の旧家で体験談を語るカーラ。廃墟となった町の風景も相俟って、臨場感のある映像になりそうだ。ヴァスコはご機嫌だったが、ヴィッキーが彼女に気のある素振りのナチョと姿を消したため一転不機嫌に。更に車が止まってしまい、険悪な雰囲気になる。調べてみると燃料ホースが切れてガソリンが漏れている。
*立ち往生していると、車が1台やって来る。男が車を確認して「ホースが故意に切られているようだ」と話す。単なる故障ではないようだ。ガソリンスタンドでホースを調達すると申し出てくれる男。ヴァスコがこれに同行する事になり「俺の恋人に指一本触れるなよ」とナチョに念押ししてからその場を離れる。
*ナチョは車を見張ると言い、ヴィッキーも車の傍でヴァスコを待つと言う。ディエゴとエリカがカメラを担ぎ、カーラと共に墓地跡へ。ナチョとヴィッキーは動かない車の中でセックスする。ディエゴ達の撮影は順調だったが、カーラが蛇に咬まれてしまい、2人で彼女を支えて車へ戻る事にする。
*男の車の後部座席には、行方不明者のチラシが置かれている。例のガソリンスタンドにも同じものが貼られていた。やがてヴァスコと男の前に、獣の骨の仮面を被った人影が現れる。ライフルを手に人影に接近する男。ヴァスコが車内で待っていると別の獣の仮面が出現し、フレイルのような武器でガラスを粉砕する。逃げ出そうとしたヴァスコに襲い掛かり、頭部を執拗に殴打する獣の仮面。
*ナチョとヴィッキーにも鉈を手にした獣の仮面が迫る。ナチョが襲われヴィッキーは物陰に身を潜めるが、結局2人共捕まり食肉処理場跡に連れ去られる。ディエゴ達は日が暮れた頃に漸く車に帰り着くが、ヴァスコは戻っておらずナチョやヴィッキーの姿もない。車内で途方に暮れていると何者かにライトで照らされ、車を揺すられる。困惑しつつディエゴが外を確認すると杭の先に防毒マスクがあり、それを取り外すとヴィッキーの飼犬キキの無残な死体が現れる。
*危険を察知して車外へと駆け出すエリカ。暫く走るとトラバサミに掛かってしまう。ディエゴが駆け付け救い出そうとするが上手くいかない。獣の仮面が接近しエリカが泣き叫ぶが、カーラも気掛かりなディエゴは已む無くその場を離れる。しかし車に戻るとカーラが消えている。連中に捕まってしまったのか。車から離れて隠れていると、背後から口を塞がれる。敵かと思ったが、獣の仮面から逃げ果せた男だった。獣の仮面がディエゴを探しているが、やがて諦めて走り去る。残されたディエゴと男、そして斬られて膝下だけのエリカの足。ディエゴは足の傍に放置されていた斧を手に取る。
*食肉処理場ではチマンゴが「ドキュメンタリーを撮影してるのか?俺の家族を紹介しよう」と奪ったカメラに向かって語り掛ける。獣の仮面達はガソリンスタンドの一家だった。「俺の兄貴、それから兄貴のワンちゃんだ」と瓶詰の何かを手に取るチマンゴ。傍には左足を失くしたエリカが拘束されている。彼女は残った右足をワイヤーで固定され、左足と同じようにチェーンソーで切断される。
*ナチョとヴィッキーは、エアロビクスを見て自慰をしていた変態男に捕まっている。ヴィッキーは椅子に拘束され、ナチョは檻の中。猿轡で口を塞がれて嗚咽する2人。変態男はナチョに向かって排尿、その後、檻から引き摺り出して腹部を切り裂く。零れるナチョの内臓。続いて変態男はヴィッキーを犯す。
*ディエゴと男が食肉処理場に到着、二手に分かれて警戒しながら侵入する。男はエペクエンに関するスクラップを見付ける。『巨人症の子供救助されず』との新聞記事の見出し。その近くには無数の財布が積み重なっている。獣の仮面達の犠牲者のものだろう。その中から見覚えがある1つを手に取る男。財布を開くと懐かしい笑顔の写真が挟まっている。男はライフルの銃口を咥えようとするが、悲鳴が聞こえてそちらに向かう。両足のないエリカと彼女の足に齧り付くチマンゴ。食べ残した足は肉挽き機に投入する。その様子を見詰める男の背後に、獣の仮面が立つ。
*一方ディエゴはヴィッキーを発見、彼女を犯している変態男に背後から斧を突き立てる。ヴィッキーを解放するが彼女は茫然自失の状態だ。どうにか支えて歩き、ひとまず座らせて動かないように言い聞かせる。ディエゴは近付いて来た獣の仮面に刃を突き刺すが、仮面を外すとそれは口を塞がれた男だった。捕まって腕の自由も奪われ、仮面を被せられていたのだ。狼狽している内にヴィッキーを人質に取られ、背後から殴打される。
*意識を取り戻すと、ヴィッキーやエリカ共々食卓を囲んでいるディエゴ。とは言え椅子に拘束されている状態だ。傍には意識のないカーラも居る。老女が「夕食の時間だよ、チマンゴの手作りだ」と言う。獣の仮面を被ったままのティトと言う男が「この役立たず」と老女に叱責されている。虚ろな様子で水を欲しがるエリカに「飲ませてあげるよ、大事なお客様だ。それに私達の貴重な食料源だからね」と言う老女。エリカの口に強引に水を流し込み、ミートパイも押し込む。嗚咽するヴィッキー。「美味しいかい?材料を教えてやろうか」「それは[自家製]の肉で作ったミートパイだ」下卑た笑い声を上げる老女とチマンゴ。彼等はエペクエンに接近した人々を捕まえては食べているらしい。泣き続けていたヴィッキーは割れた瓶を掴み、自分の喉を切り裂く。ディエゴはどうにか拘束を解いて血塗れの夕食から逃げ出す。
*追って来たティトと揉み合いになるディエゴ。弾みで仮面が外れると、奇形の顔が露わになる。ティトが怯んだ隙に繰り返し殴打していると、カーラがやって来て「殺さないで、ティトは分かってないの。おばあちゃんの言う通りにして」と懇願する。「君のおばあちゃんなのか?何故俺達を殺すんだ?」と困惑して問い掛けると「全てを失った私達を助けてくれる人は誰も居なかった」と嗤う。理不尽と思える答えに呻いているとティトが立ち上がり、ディエゴの首を締め上げる。カーラはティトを止めてディエゴを解放させると、その目を覗き込み「許して」と言うと顎の下から頭部へ向けてナイフを突き刺す。
*ドライブする2人の男。彼等は途中でヒッチハイカーの女を乗せる。ギターを抱えたその女、カーラの目的地はエペクエン。彼女の希望は新しい獲物と共に帰郷する事だ。

■雑感・メモ等
*映画『ブラッド・インフェルノ』

*レンタルにて鑑賞
*アルゼンチン製スラッシャー・ホラー

*冒頭にはニュース番組の音声らしきものが挿入され、本編終了後には映像付きでニュース番組の一部が流れる。

*水没した町ヴィラ・エペクエンで実際に撮影しているようで、その風景は間違いなく見所。塩湖であるが故に廃墟に塩が積もっているらしく、町の残骸が白く染まっている感じ。その光景には凄味があって畏怖の念を抱いてしまった。調べてみると住民が1人だけエペクエンに戻って暮らしているとの話もあって興味深い。
*だからこそ、どうしてそんな場所でこんな映画を撮ってしまったのかと残念無念。食肉処理場・殺人鬼一家・奇形・狂気のディナー…と言った見慣れた要素が繰り出される。エピソードやその繋ぎ方は粗雑で、オチも含めて新味はない。あとブーツを履いたままの足を肉挽き機に投入するのは良くない。(食肉処理場については本当にあの外観で残っている模様。保存状態・周囲に建物が少ない・印象的と言う条件が揃っているから使いたくなる気持ちは分かる。使い方は間違ってると思うけど。)
*説明不足で確定要素がないと思ったからネタバレには記載しなかったけど、男とカーラは何かしら関係があると思われる。6人がガソリンスタンドに立ち寄った際に老女から何処から来たのかと問われて「首都から来た」と答えると「首都にはオルガと言ういとこが居たが、次々に男と寝て既婚者とも関係を持った。彼女はやがて湖で発見された」と話す。そしてカーラに向かって「あんたはいとこにそっくりだ、驚いたよ」と言う。一方男はミカエラ・レイヴァと言う行方不明の女性を探しているらしい。終盤にカーラがディエゴを刺した時には[実はカーラの事は、老女もチマンゴも大事に扱っていた]と言う主旨の映像が挿入される。これは老女の孫で一家の一員なら理解出来るけど、その途中にガソリンスタンドで行方不明者のチラシを眺めるカーラの姿や男の映像も入る。ここから先は想像するしかないけど、男にとってミカエラは妻か恋人または姉や妹辺りかなと。「いとこのオルガ」は実は老女の主観でのミカエラについての話だったのかもしれない。家族から離れて暮らしていたミカエラを殺害して、その娘カーラを育てたのかも。(チマンゴは兄を瓶詰にしてたようだから、家族なら無条件に団結してると言う訳でもなさそう。)単に餌食にした女の子供を育てる事にした可能性もあるけど、全く無関係な子供なら食べちゃうかなと思ったり。
*変態男と言う呼称はエンドロールの役名[Pervertido]から。検索すると変態・痴漢等の意味があるようなので。男の方は役名[senor X]だからX氏と言う感じ?