メイズ・オブ・タイム 時間渦からの脱出 | m-memo

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ネタバレだらけの映画メモ。

忘れ易いので自分用にメモしてます。
ネタバレ部分は詳細を記載することもあれば、
二言三言のこともあります。

 

■あらすじ
エイミーは、車の渋滞にはまっていたが、突如その場で意識が飛んでしまう。次の瞬間彼女は、巨大ハリケーンが接近している病院の精神科病室で意識が戻る。その病院では、今まさに危険な人体実験を施術している所であり、彼女を含め患者全員に身の危険が迫っていた。彼女は何とか彼らを救おうと行動を起こすが、数分後ここでも意識を失ってしまう。次の瞬間、再び渋滞中の車の中で目を覚ます。そんな現象がなぜか何度も続く…。彼女の身に起こっていることは一体何か?そして最後に判明した衝撃の真実とは?!(メーカーサイトより)

■ネタバレ
*ぼんやりとした意識の中、医療スタッフの声が聞こえる。自分はストレッチャーに乗せられているようだ。「エイミー・バレット、30歳。玉突き事故に遭い、昨夜当院に到着。頭部に外傷、第7・第8肋骨の骨折で肺挫傷も」別のスタッフが、移動中に声を掛けてくる。「先生、早く避難しろとの命令です。他の棟では既に退去を」どうやら酷い嵐が迫っているようだ。女医は頷いてから会話を続ける。「身分証によると患者は看護学生です」「人手が欲しいのに残念だわ。優秀かもしれないのに」
*渋滞に巻き込まれているエイミー、視界にあるのは動かない車ばかり。助手席には雑誌と携帯電話が置かれている。世界は暗転し、彼女が目を覚ますと病院の個室。ベッドの上の自分以外には誰も居ない。繋がれたチューブを外すと、点滴スタンドを掴んで部屋の外へ。照明が明滅し、同じ緊急放送が繰り返されている。『最寄りの出口から順次避難を開始。患者の皆さまは病室で待機してください。スタッフが誘導を行います。これは録音放送です。伝達番号235』カテゴリー5のハリケーン・シビルが接近中らしい。最大10mの高潮が予想されている。背後を女性が横切るが、エイミーが振り向くと既に姿は消えている。
*部屋へ戻って暫くは大人しくしているが、職員が現れる気配はない。エイミーは自分の服を見付けて病衣を脱ごうとする。点滴の針を忘れて動いたために腕が痛む。携帯電話には母親から『交通事故に遭ったと聞いたわ、無事なの?』とのメッセージが残されている。折り返そうとしても回線混雑で繋がらない。動き易い服装で改めて院内を彷徨う。部屋に居る女性には気付かずに通り過ぎるエイミー。突き当りのドアには鍵が掛かっていて、廊下を戻って来るともう女性の姿はない。
*やがてエイミーは精神科病棟へ。この病棟でも外へ繋がるドアは開かず、携帯電話も不通。無防備な足に、廊下に転がった注射器が突き刺さる。痛みに呻いていると、近くの部屋から初めて録音ではない声がする。「オフィーリア、睡眠は?」「家の方がよく眠れる」「まだ退院は出来ない」
*黄色い壁紙の部屋を覗くと、医師と女性患者が居る。オフィーリアと言う患者は病衣姿で、象のぬいぐるみを抱えている。エイミーは気付いていなかったが、時々彼女の傍に居たのはこのオフィーリアだ。「ハリケーンが接近してるから避難しないと」と声を掛けても、2人は何も反応しない。オフィーリアは膝の上でトランプを捲り「2・3・5…235って?何か意味がある筈」と言う。「手術を検討すべきかな」「どうして?」「改善しないからだ」エイミーは諦めてその部屋を離れる。
*患者の靴の保管場所で、自分の物を見付ける。これで安心して歩く事が出来る。廊下で神父に会うが、話し掛けてもやはり反応がない。車椅子の患者に付き添う看護師2人も、エイミーを無視して通り過ぎる。誰も彼女に返事をしない。困惑して院内を歩き続けると、ドアが開け放たれた状態で手術中の部屋がある。そして母親からの着信。『無事なの?避難したわよね?』留守電に残されるメッセージ。掛け直しても繋がらない。前触れなく鼻血が流れて不安が募る。不安定だった照明が、廊下の端から順に消えていく。そして世界が暗転する。
*気が付けば車の中、渋滞に巻き込まれているエイミー。腕時計を見ると、1時32分から33分へ。そして目を開くと再び病院の個室に居る。2回目。鼻血は出ていない。また点滴の針を忘れて動いたために腕が痛む。先刻は終始無視されたが、今回は着替えて部屋を出るなり看護師が「部屋へ戻ってください」と声を掛けてくる。注射器を手に、エイミーに迫る2人の看護師。背後を巨漢の男性スタッフが塞ぐ。不穏な空気を感じ取り、横手に逃れて走るエイミー。『精神科病棟ではお静かに』とのアナウンスが聞こえてくる。その放送の伝達番号は[113]。オフィーリアは象を取り上げられて、電極に繋がれている。
*暗い部屋に身を隠していたエイミーだが、照明が点く。先刻目にした部屋だろうか、手術が始まる。男性患者の腹部が切り開かれて、内臓が無造作に掴み出される。弄り回され引き千切られる臓物。これは本当に手術なのか。戸惑いながらもエイミーは、ワゴンの上から医療用のこぎりを掴む。慎重に歩いていたが蛍光灯の破裂に驚いた拍子に、無防備な足に硝子が突き刺さる。消耗品保管室で手早く応急処置をして、再び廊下へ。点滅する照明の下で、オフィーリアの姿が不規則に浮かぶ。
*待合室には保安官ライアンと露出度の高い青い服を着た美女ジェンが居る。ジェンは事故後の受診、ライアンはその付き添いだ。「目撃調書を取ったらお望みの場所へ送るよ」「お腹が空いたわ」「署に行く途中で何か食おう」親し気な様子の2人。そこへエイミーが辿り着き、ライアンはのこぎりを見て警戒する。誤解を解こうと「ここの人達、変なの」と言うが上手く説明出来ないエイミー。
*そこへオフィーリアを診ていた医師が注射器を手にやって来る。エイミーに向かって「彼等は想像上の友人か?独創的で素晴らしい」と医師が言う。ライアンもその言動を不審に思い、3人で逃げ出す。靴置場がある部屋に入り、キャビネットで扉を塞いで篭城。追い掛けてきた医師は、ドア越しに「私が治そう、電気痙攣療法は長年成果を出している」と叫ぶ。エイミーは靴を掴み、3人で別の出入口から廊下へ逃れる。
*院内では携帯電話も無線も繋がらず、応援は頼めない。エイミーは止めるが、廊下で看護師に声を掛けるライアン。無言で注射器を手にする看護師に銃口を向けると、別のスタッフが加わり押さえ込まれる。腹部を切られるが彼は必死に抵抗し、3人で逃げ出す。病室に逃げ込んで手当てしようとしていると、スタッフが雪崩れ込みライアンとジェンに襲い掛かる。間一髪で逃げるエイミーだったが、眩暈がして立っていられない。鼻血が流れて、世界が暗転する。
*気が付けば車の中、渋滞に巻き込まれているエイミー。腕時計の時間は1時13分。そして目を開くと病院の個室に居る。3回目。繰り返す時間に慣れてきたエイミーは、今度は忘れずに点滴の針を抜いてから着替える。廊下へ出ると、看護師の目を盗んで靴を確保。不安定な照明の下のオフィーリア。
*消耗品保管室を通り掛かると、腕を掴まれて部屋へと引き込まれる。部屋にはライアンとジェンが居て「エイミー」と名前を呼ばれる。「今度は私を知ってるの?」「何度目だ?」「何の話?」「ループの回数だ」ループしているのは自分だけではないのだ。ライアンは「ここで死んでしまうと、永久に閉じ込められる」と言う。過去最大のハリケーンが政府の機密実験場であるミラー基地を通過して、この場所に影響しているようだ。ライアンとジェンは毎回引き離されていると言う。
*今度こそ脱出しようと3人で移動を始めるが、潜んでいたスタッフにライアンが襲撃されてしまう。残された2人で逃げるが、ジェンは「彼が居ないと助からない」と泣き崩れる。それぞれ1人で逃げようとした事もあるが、それでは必ず最初に戻ってしまうのだと。どうにか彼女を励まし、手を取り合って歩き出すエイミー。不安定な照明の下のオフィーリア、廊下には無残に腹を裂かれた病衣姿の死体。
*大きな通気口を見付けてそこへ入り込む2人。幾らか安堵して思わず泣き出すエイミーを、今度はジェンが慰める。「家に帰ったらテレビゲームでもしましょ」「テレビゲーム?」派手な印象のジェンには似合わない単語にエイミーは驚くが「私は1人でよくやるのよ、外で遊ぶより好きでね。ライアンもピザを持ってやって来るわ」と笑う。エイミーの涙を拭って「ナイロフトなら化粧崩れしないわよ」と言うジェンに「モデルになれば?」と笑い返すエイミー。
*通気口は不気味な部屋に繋がっている。棚に無造作に肉が並んだ薄暗い空間。そこから何処かへ行けないかと通気口を這い出すが、ジェンがスタッフに囚われる。そしてエイミーは眩暈と鼻血に見舞われて、世界が暗転する。
*気が付けば車の中、渋滞に巻き込まれているエイミー。ドアは開かない。携帯で通報して「湾岸病院に居るの、外へ出られない。嵐の前に助けて」と訴えるが、無情にも電話は切れる。そして目を開くと病院の個室に居る。4回目。着替えて廊下で緊急放送を眺めていると、ジェンが現れて「行くわよ」と前置きなく腕を掴む。2人で廊下を進んでいると電話が鳴り、ライアンが『もう一度やり直してくれ、奴等が僕に何かを…』と言う。
*最初からやり直す方法は分からず、2人はライアンを探そうとする。不安定な照明の下、階段でオフィーリアと擦れ違う。その先には、血塗れで空っぽの新生児ベッドが並ぶ部屋。更に進むと、診察台の上で開頭されたライアンが居た。脳にはチューブが挿し込まれていて、切除されたのかトレイの上には肉片がある。それでも彼を助けようとジェンは必死になるが、この状態で逃げるのは困難だろう。エイミーが戸惑っているとスタッフが到着し、ジェンが拘束される。逃げ出したエイミーも眩暈で走れず、鼻血が流れて世界が暗転する。
*気が付けば車の中、渋滞に巻き込まれているエイミー。直ぐに携帯で「湾岸病院に居るの。嵐が来るわ、助けて」と訴えるが、やはり途中で電話は切れる。そして目を開くと病院の個室に居る。5回目。エイミーは抽斗を探り、医療用ナイフを掴んで部屋の外へ。彼女の傍で立ち尽くし、泣き顔のオフィーリア。何かの気配を感じてエイミーがそちらを向いても、もう誰も居ない。看護師に見付かり駆け出すと、途中でライアンのバッジを拾う。ライアンは近くの部屋に居るが、全身包帯だらけで動けそうにない。医師はライアンの足を、治療と言うよりは傷付けているように見える。
*医師に気付かれて逃げ出すと、今度はジェンの悲鳴が聞こえてくる。「私は妊婦じゃないわ」と泣き叫ぶジェン。彼女も拘束されて、股間に医療器具を挿入されている。為す術もなくその場を離れるエイミー。携帯電話はやはり繋がらず、眩暈がして座り込む。オフィーリアが近付いて、象のぬいぐるみをこちらに差し出す。エイミーが初めて見た時にはオフィーリアは反応せず、オフィーリアが姿を見せた時にはエイミーは気付かなかった。向き合うのはこれが初めてだ。しかしそこで世界が暗転する。
*気が付けば車の中、渋滞に巻き込まれているエイミー。ドアはやはり開かない。今度は母親に電話してみるが、繋がらずに6回目。点滴の針を抜いて、服を着替えて医療用ナイフを掴む。今回は先ずライアンに出会う。制服ではなく病衣姿で怯えていて、エイミーの事を知らない様子だ。彼はエイミーに部屋番号を尋ねる。彼女は覚えていない。「いつから病院に居る?」「覚えてないわ、昨夜かしら」「嵐が始まった時か」
*2人は備品保管室で、武器になりそうな物を探す。今まで詳しく知らなかったが、ライアンは「麻薬取引を目撃したジェンを保護したが、署に向かう途中で玉突き事故に遭った」と話す。3人は同じ事故が原因でこの病院へやって来たのだ。驚いた事に彼は「それから4年経った」と続ける。「恐らくミラー基地で何かが起きた。そこへ嵐が来て、この辺りの時間軸に異常が生じた」スタッフに発見されてライアンは捕まり、駆け出すエイミー。部屋の隅に居るオフィーリアには気付かない。
*『精神科病棟ではお静かに』とのアナウンス。辿り着いた部屋で端末を操作しようとしても、パスワードが分からない。電話が鳴り、ライアンとジェンの会話が聞こえる。自分の居場所が分からないジェンに『通気口に向かって叫べ』と指示するライアン。エイミーにもジェンの声が聞こえる。それは敵にも届き、ジェンの居場所が知られてしまう。『愛してるわ、ライアン』と言う声。それが途切れるとエイミーは鼻血を流し、世界が暗転する。
*気が付けば車の中、渋滞に巻き込まれているエイミー。直ぐに携帯で母親に電話をする。繋がった途端に「助けて」と捲し立てるが、反応がないまま時間切れで7回目。着替えて部屋の外へ出る。廊下に居たライアンはまたエイミーを憶えていない。しかしループは繰り返しているようだ。彼は「嵐の目が反復させてるんだ」と言う。「一度でも死んだか?君が死ねば永遠にこのままになる。ジェンも必要だ、来た時と同じ人数でなきゃ元に戻れない。エネルギー保存の法則だ。ミラー基地の量子研究室をハリケーンが襲ってダメージを与えた。基地では時間のパラドックスを作る実験をしていたんだ。最早時間は直線じゃない。ここで目覚めるのが来年でも2日前でも有り得る。永遠にその繰り返しだ」
*2人は診療台に拘束されているジェンを見付ける。ライアンは消火器で窓を壊そうとするが、部屋の中には巨漢のスタッフが居て救出は困難だろう。已む無くその場を離れる2人。エイミーはまた電極に繋がれているオフィーリアを見る。廊下を移動していると、ライアンが「数字を教えてくれ、何年も待ってたんだ」と言う。「覚えてる数字は?」「病室は235号室よ」1つ前のループでも聞かれたため、今回は確認しておいた。「それから133と132」「精神科病棟の僕とジェンの部屋だ。脱出には番号が必要なんだ」話しながら、エイミーは眩暈に襲われる。「またリセットされる、次で最後かもしれない。リセットの度にループの間隔が短くなってる。嵐が通過する前に脱出しないと…」そう話しているライアンの姿がぼやけて歪む。倒れるエイミーの視界に、象のぬいぐるみを抱えてこちらを見下ろすオフィーリアが居る。そして世界が暗転する。
*気が付けば車の中、渋滞に巻き込まれているエイミー。諦めずに携帯で通報して「今から起きる事故で保安官と…」と話し始めるが、状況を打開出来ぬまま8回目。着替えて周囲の様子を窺っていると、背後に虚ろな病衣姿の女が佇む。オフィーリアではなくジェンだ。憔悴してやつれた姿が痛々しい。エイミーの事は知らない様子だ。「番号が要る」と彼女も言う。「知ってる事は全部ライアンに伝えたわ」「彼に会ったの?離れて随分経つのよ」「あなたを探してる」「次に会ったら愛してると伝えて」ジェンの手を握ると「自分で言って」と答えて一緒に歩き出す。
*足許が覚束ないジェンを支えて進むエイミー。電話を取ろうとした僅かな隙に、ジェンはスタッフに連れ去られてしまう。掴み損なった受話器からライアンの声がする。『この病院へ連れて来て悪かった。最後まで頑張ろう。決して君を見捨てない。君が好きだ』その言葉はジェンに届いていない。転倒するエイミー。確かにループの間隔が早くなっているようだ。そして世界が暗転する。
*気が付けば車の中、渋滞に巻き込まれているエイミー。また911へ電話をする。「1組の男女と湾岸病院に閉じ込められてる。助けを寄越して」伝わったかどうかは分からない。ベッドの上、9回目。着替えて廊下へ飛び出すと、以前は無視された神父に肩を掴まれる。「悪霊に耳を貸すな」と。そこへライアンが助けに入る。今回はエイミーを憶えており、久し振りの制服姿だ。ジェンとはまた別行動で、身を隠しながら電話を掛ける。1人で怯えているジェンを元気付けようと「新車を買ったからドライブに行こう」と言うライアン。しかし彼女の居場所の手掛かりがないまま、電話は切れる。
*「嵐がポータルを開いたのかも。まるで地獄だ、600回以上は惨殺された」とライアンは言う。エイミーはまだ殺されていない。彼は「僕かジェンが死ぬ前の、最初の段階なら逃げられる」とも話す。エイミーが最初に2人に出会った、待合室なら可能性がある。しかしそこに戻る度に記憶もリセットされてしまうのだ。
*手掛かりを求めて2人はエイミーの病室へ。留守電には母親からのメッセージが入っている。『連絡して、あの子に続いてあなたまで失えないわ』回線混雑で返事は出来ない。ベッドの上には、今までのループにはなかった紙が投げ出されている。シビル高校から、同窓会員更新の連絡書類。そこでまたリセットが始まる。「早過ぎるわ」「次こそ成功させる、番号を探すんだ」そして世界が暗転する。
*気が付けば車の中、渋滞に巻き込まれているエイミー。車内の書類を探ったり、携帯を手にしたりしてもそれらしい数字は見当たらない。また病室になって10回目。エイミーは着替えて待合室に向かう。2人は最初と同じ会話をしているが、エイミーの事は見えていない様子だ。スタッフもエイミーを気に掛けない。早くも眩暈が起きて蹲ると、オフィーリアがやって来る。彼女だけがエイミーを認識しているようだ。差し出される象のぬいぐるみ。鼻血が流れて、世界が暗転する。
*気が付けば車の中、渋滞に巻き込まれているエイミー。携帯で通報して「湾岸病院に居るの。外に出られない、助けて」と訴えるが徒労に終わる。車載ラジオのチューナーは94.5を表示している。「945」と呟きながら個室で目を開く。11回目。着替えて部屋の外へ。病衣姿ではないが、エイミーを憶えていないジェンが居る。ライアンとはもう離れ離れになっている。無警戒にスタッフに声を掛けようとするジェンを説き伏せて、2人で隠れる。
*何処かに945号室がないかと探し始める2人。曲がり角でオフィーリアと遭遇して驚くが、害はないだろう。そのまま遣り過ごして先を急ぐと、早くもリセットの気配がする。座り込むエイミー、心配そうな表情のジェンが見える。彼女の背後から巨漢のスタッフが迫り、頭部に袋を被せる。連れさられるジェンの姿が霞んで、世界が暗転する。
*気が付けば車の中、渋滞に巻き込まれているエイミー。携帯で通報して「湾岸病院に居る。殺人鬼が居るの、助けて」と訴えてみる。そして病室で12回目。着替えて廊下を走って医療用ナイフを掴む。病衣姿でも制服姿でもなく、スタッフの服を着たライアンと合流する。「945号室かも」と伝えるとそれは精神科病棟の裏、感染病棟にあると言う。2人で駆け出すが、精神科病棟に入ろうとするとライアンは足を止める。「僕は行けない、ここにはジェンの魂がある。永遠の苦痛を受けているんだ」遠回りをして945号室を目指そうとすると、廊下の奥にオフィーリアの姿が見える。そちらに気を取られていると、先に進んでいたライアンが拘束されて叫ぶ。「罠だった、945じゃない。もう嵐が通過する、恐らくチャンスはあと1回だ。番号を見付けろ」倒れて鼻血を流すエイミーに、オフィーリアが象のぬいぐるみを差し出す。そして世界が暗転する。
*気が付けば車の中、渋滞に巻き込まれているエイミー。眼前の車のナンバープレートには[PSY113]の表示。精神科病棟の伝達番号と同じ数字。車両に貼られたシビル高校のステッカーには『嵐のように進め』と書かれていて、緊急放送で見慣れたハリケーンのマークも添えられている。エイミーは「113」と呟いて、病室のベッドで跳ね起きる。13回目。着替えて廊下を走って医療用ナイフを掴むと、丁度看護師がやって来たため迷わず突き刺す。再び走り出すとオフィーリアが佇んでいるが、追手が迫っているため構っていられない。
*駆け込んだ暗い部屋。そこにはライアンが拘束されていた。向かい合う部屋にはジェンが運ばれて来るが、彼女はこちらに気付かない。そして治療台に拘束され、苦痛を与えられ続ける。実験なのか拷問なのか。ライアンは手足だけではなく、頭部も固定されている。大きな窓越しに、この光景を強制的に見せるためだろう。身体を切り付けられ或いは電極に繋がれ、次第に生気を失うジェン。スノーノイズのモニタに「ライアン?」と話し掛ける。椅子に座って項垂れる姿が、一瞬ぬいぐるみを抱えたオフィーリアに見える。
*部屋からスタッフが姿を消すとエイミーはライアンの拘束を解き、2人でジェンを抱えて逃げ出す。背後からスタッフ達が迫るが、どうにか113号室へ辿り着く3人。脱出口を探すと、入って来たのとは別のドアの向こうが明るく輝いている。光へ飛び込むジェン、ライアンも続く。いつの間にか現れたオフィーリアを振り返りながら、エイミーも光の中へ。
*病院の個室に居るエイミー。「支度は出来た?」とスタッフが優しく話し掛けてくる。「何の支度?」「退院のよ。帰りたくない?」笑い掛けられて「勿論退院するわ」と答える。病院のスタッフはそれぞれの業務に従事していて、追い掛けられる事も奇妙な治療の様子もない。扉は開放されており、エイミーは難なく外へ出る。空は明るく晴れていて、母の車が迎えに来ている。
*車の中、ラジオのニュースは『ハリケーン・シビルは、都市部を抜けると急速に勢いを失いました』と伝えている。車は自宅へ戻り、エイミーは次第に日常に戻る。幾らか落ち着いた頃、母は「あなたには助けが必要よ。妹の事で辛いのは分かるけど、あなたまで失えないわ」と言う。妹の名前はオフィーリア。何かがある度に、象のぬいぐるみでエイミーを慰めていた。母がエイミーを強く抱き締める。
*オフィーリアは湾岸病院の精神科治療センターに入院していた。医師との面談で、腹違いの姉エイミーの事を「大好きよ」と話す。気持ちが沈みがちな姉も精神科病院に通っている。「家の方がよく眠れる」と訴えるオフィーリア。長期入院でも症状が改善しないため、医師は手術を決定する。その夜、過量服薬によってオフィーリアは命を落とす。
*母の抱き締める力が強過ぎて息が苦しい。思わず蹲り、気が付けば病院の個室に居るエイミー。通常出入りするのとは別のドアを開けても、光輝く脱出口はない。仕方なくベッドに戻り、読み慣れた雑誌を取り出す。保安官募集の告知頁には、制服姿のライアンが掲載されている。ページを捲ると『落ちないマスカラ、ナイロフト』の広告のジェン。2人はエイミーのお気に入りで、貼り付けた付箋には勝手に付けた名前とハートマークが書かれている。全てはエイミーの妄想だったのだ。別のページには医学校の広告があり、医療用ナイフが附属している。それとも、これも妄想だろうか。
*ナイフを握ったエイミーは部屋の外へ。巨漢のスタッフの喉を背後から切り裂く。笑みを浮かべるエイミーに、看護師やスタッフが駆け寄ろうとする。エイミーは鋭い眼光で、逃げる事なくそちらへ向かって走り出す。

■雑感・メモ等
*映画『メイズ・オブ・タイム 時間渦からの脱出』

*レンタルにて鑑賞
*タイムループ系妄想ホラー

*結局全てが妄想なのに長々書いてしまったけど、中盤までは割と楽しかったんだよねこれ。
*サスペンス寄りな作品は多いものの、こんなにホラー味が強いループ系は珍しい気がする。1回のループが短めで、テンポ良く見易い。周囲の状況は毎回何かしら違っていて[繰り返して学習]する要素は薄い。学習はループものの面白味だったりもするけど、この映画のテンポや雰囲気からするとその要素は薄めで正解だと思う。他にもそんな設定の作品はあるけど、ループしているのが主人公だけではなく「時間は直線じゃない」と言い出す辺りは盛り上がる。
*だから妄想オチはとても残念。上手く決着出来ずに妄想にしてしまったような風情。「脱出のためには数字が必要」と言う部分は何故その結論に達したのか不明だから、そのまま終わったら違和感があったとは思う。でもループの原因についてはそれなりに語られているし、強引で雑な締め方でも良いから最後は3人が再会して「今度ビデオゲームしましょ」「ピザを食べながらね」なんて感じで終わって欲しかったよ。
*主演はお馴染みダニエル・ハリス。冒頭病室で目覚める割には随分化粧が濃いなと思ったんだけど、本人40歳で役柄30歳のせい?ループ中でも特に役立ってなかったから、看護学生と言う妄想設定自体が不要だった気も。或いは30歳と言う部分も含めて妄想とか?
*1回目と2回目の車内では、腕時計は1:32から1:33になる。それでエイミーは7回目に「133と132」て言うんだと思うけど(他にもこの数字出てきたのかな)3回目の腕時計は何故か1:13なんだよね。脱出する部屋番号はこの時間と同じ113。まあ全部妄想だけど。
*前方の車のナンバープレートも113で、PSYはPSYCHIATRICの頭3文字?エイミーの車のプレートも多分1回だけ映るけど[N78/8BY]、これには意味はなさそうかな。
*ネタバレに書いた以外にも、幾つか不穏な患者の姿や奇妙な手術の様子が挿入される。スチールラックに直接肉片や内臓的なの置くのは使い難そう。エイミーが周囲から視認されてないみたいなパターンはどう言う意味合いなの。まあ全部妄想だけど。
*原題の『Inoperable』は[動作不能]、腫瘍等が[手術不能]との意味もあるみたい。
*車の助手席に置かれた雑誌と最後に病室で取り出す雑誌は同じ表紙。雑誌から医療用ナイフを取り出すのは妄想じゃなくて付録みたいなものかと思ったんだけど、医学校の広告に果たしてそんなの付けるのかどうかは分からない。