スモーク | m-memo

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ネタバレだらけの映画メモ。

忘れ易いので自分用にメモしてます。
ネタバレ部分は詳細を記載することもあれば、
二言三言のこともあります。

 

■あらすじ

看護師のアナは、休暇から自宅へ戻るために深夜バスに乗っていた。乗客はアナの他にもう1人。フレディと名乗るその男は、アナの近所に住む漫画家だった。その時、大きな衝撃と共にバスに何かが激突。アナが意識を取り戻すと、自宅のベッドの上だった。外に出ると人の気配は無く、街の住人、動物、虫、あらゆる生き物が街から忽然と姿を消していた。街をさまようアナは、フレディの姿を見つける。そして2人は協力して街から出ようとするが、謎の大きな黒煙が四方から街を呑み込もうとしていた。アナたちは、意を決して煙の中に足を踏み入れるが…(メーカーサイトより)

■ネタバレ
*同じ夜行バスに乗り合わせたアナとフレディ。2人きりの乗客だったが、偶然にも同じパールのキャノン通り在住だった。看護師のアナは318番地、「昼は街の映画館で映写技師、夜は漫画を描くアーティスト」だと言うフレディは310番地。フレディは親近感を抱いてお茶に誘うが、アナは(フレディが描いてくれたコミック調の似顔絵も含めて)微妙な反応を返す。
*2人の会話が途切れた時、バスが強い衝撃を受ける。意識を失ったアナは幼い頃の夢を見る。伯母に自作の劇を見せる自分の姿。

*夢から覚めると、時刻は朝9時を回っている。急いで跳ね起きて準備をしていると、脇毛が長く伸びていて驚く。いつもきちんと処理しているのに。車を飛ばして勤務している病院へ。

*慌ててやって来たために気付かなかったが、我に返ると周囲には全く人影がなく、携帯電話も繋がらない。病院に居るのは自分だけのようだ。こんな事は有り得ない。必死に人を探していると、微かに話し声がする。

*モニタルームに入ってみても誰も居らず、機械越しに音声が漏れているだけだった。何かを記録中で、日付は2012年3月13日になっている。
*病院の外にも一切人の気配はない。不安で押し潰されそうになるが為す術もなく、自宅で眠りにつくアナ。

*真夜中に何かの音が聞こえる事に気付いて、ベッドを出て通りを進む。ある家から明かりが漏れ、大きな音で音楽が鳴っている。そこはバスで一緒だったフレディの家だった。彼も他の人間が見付けられず、静寂に堪え兼ねて大音量で曲を流していたのだ。

*2人は連れ立ってパール警察署へ行くがここも無人で、無線や電話も反応がない。テレビも映らず、他の街の様子も分からない。フレディは拳銃と警官のバッジを持って行く事にする。
*夜が明け、2人は別の町を目指して車に乗る。しかし町の外れにやって来ると、得体の知れない黒い煙が壁のように立ち塞がっていた。煙に触れたフレディはただ「戻ろう」と言う。近付き過ぎると車も動かなくなるようだ。

*別の道を進むが、やはり煙が壁となっている。しかもよく見てみると、煙は徐々にこちら側に移動しているようだ。高いビルの屋上から見渡してみると、四方がその状態だと分かり愕然とする。
*町を車で走っていると、アナが[パウエルのレストラン]を見付ける。それは子供の頃にあったが今はもうない店だ。やがて中から暖かそうな光が漏れてくる。足を踏み入れると、ここだけは大勢の人達が居た。しかし話し掛けても、誰も反応しない。人々には2人が見えておらず、声も届かないらしい。

*アナは店の中で、少女の頃の自分と伯母に遭遇する。伯母はもう死んでいる。それは思い出の中の光景で、11歳の誕生日に伯母がペンダントをくれた日の出来事だった。伯母の身体に触れようとした時、人々の姿は消えてしまう。
*店を出て、バスで出会った後の事を話す2人。フレディは髭が長く伸びていたのだと言う。髭ではないにしろアナも同じだ。人々は何処に消えたのか?あの[暗闇]から避難したのかもしれない。

*2人は煙について改めて調べてみる事にする。1時間で進む距離は128m。全て呑み込まれるまでには64時間…3日もない。
*2人は無人のスーパーで必要な物を調達する。地下からなら逃げられるかもしれない。しかしこの街に地下鉄はなく、下水道を歩くなら何kmもある。

*「私達、もう死んでいるのかも」と言うアナ。フレディも「それも考えたが確信は持てない」と言う。異次元の世界にでも迷い込んだのかもしれない。でもそれなら他の動物も、虫の1匹も居ないのは何故なのか。
*アナはふと思い出し、病院の機器をフレディに見せる。まだ録音を継続しているようだ。巻き戻してみて内容を確認する。誰かの病室での医師の会話のようで、生命維持装置を外す相談をしているらしい。「あと3日様子を見よう、3月17日の木曜まで」「可哀想に…最後のチャンスだ。頑張るんだ、アナ」自分の事を話しているのだと知って、アナは衝撃を受ける。
*2人は昏睡状態の患者の病室へ行く。ベッドには人は居ないように見えるが、機器は接続されている。あるベッドの表示を見ながらアナの脈拍を計ると、ベッドのものと完全に一致する。見えないが、アナが今このベッドで昏睡状態だと言う事だ。

*同様に姿は見えないが、フレディのベッドも判明する。今日は3月14日と言う事らしい。バスに乗った日からは2ヶ月経過している。それで体毛が伸びていたのだろう。信じ難い話だが、3日後にはアナの生命維持装置が外されしまい、彼女には死が訪れると考えられる。だからあの[暗闇]が3日後に全てを呑み込んでしまうのだ。
*何が出来るか分からないが、暗闇に入るしかない。近付くと体調が悪くなり、機械も動かなくなる。長居は出来ない。「僕の傍を離れないで」「望み通りね」「どう言う意味?」「バスで私を口説いてた」「君が変わり者だって気付くまではね」
*暗闇に足を踏み入れると強風が吹き荒れ、歩く事も困難な程だ。しかし微かな光が見えて先に進むと、頑強な石の扉が現れた。扉の周囲には風も吹いていない。小さな覗き窓があり、そこから光が漏れている。「見た事がある」と呟くフレディ。

*足下には無数の鍵がある。フレディは1つを拾い上げると鍵穴に差してみる。しかし間違っていたようで、鍵は吐き出されて地面に落ちた。「残りは5000個か」と呟くフレディ。
*アナは扉の傍にある鎖に気付く。辿って行ってもその先は暗闇で、何が繋がれているのかは分からない。しかし大きな咆哮が聞こえ、2人は慌てて逃げ出す。姿は見えないが巨大な怪物が追って来るようだ。

*車まで走ると、怪物も暗闇から外へ出たのか鎖がフレディの足に絡まる。フレディはどうにか鎖から脱して落とした銃を拾い、2人は必死で逃げ出す。
*事態に進展はなく、自分の死が迫る事で焦燥を隠せないアナ。「もう直ぐ死ぬかもしれない。それなのに私の魂を託せるのは…」「言えよ、[漫画オタク]?」「…[知らない人]よ」2人は銃砲店に行き武器を追加した後、フレディの実家へ。裏手には川がある。道路ではなく川なら暗闇を進めるかもしれない。
*ガレージでボートの準備していると、フレディが母屋の灯りに気付く。パウエルのレストランの時と同様に、暖かい光が溢れている。繰り広げられる光景はフレディと、フィルと言う義父との会話だ。

*野球に興味がなく[死後の世界]と言う漫画を描いているフレディに、寂し気な表情のフィル。しかしトラブルを起こして外出禁止になったフレディを、カーニバルに行かせてやると約束してくれる。「興味があるのは漫画だけ。逃げ道だったんだ…今もだけどね」懐かしい記憶に多少の悔恨も混じり、涙を流すフレディ。
*2人は船に乗って川を下る。「好きなジャンルは?」「ホラー漫画だよ。異世界とか超自然の話が好きだった。[続く]で終わるヤツ」「それって残酷よね」「僕は最高の終わり方だと思うよ。まだ終わりじゃないって意味だから」「…私の子供の頃の夢は、脚本家になる事だった」「どうして諦めたの?」「才能がなくて」
*アナは延命治療を拒否している。母親代わりだった伯母が事故で意識不明になり、そのまま晩年を病院のベッドで過ごした事が嫌だったのだ。しかしそのために今、命の期限が迫る事態になっている。辛い伯母の思い出を聞いてしまった事に対して「すまない」と詫びるフレディ。やがて船が暗闇の境界まで到達するが、やはり川からでも抜け道はなく、暗闇が覆い被さるように迫って来る。
*昨日まではお互いの家に戻ったが、今日は「一緒に居よう」とフレディが提案。2人はアナの家で一緒に過ごす。ソファで眠りながら、ふと思い付いて自宅に戻るフレディ。古い手書きの漫画を持ち帰ってアナに見せる。その最後の頁には、暗闇の中で見たのとそっくりな扉が描かれていた。フレディがその漫画を描いたのは1992年8月23日。アナが伯母とレストランに行った日でもある。そしてその日の夜は、2人はそれぞれカーニバルに出掛けていた。
*カーニバル会場だった広場へ行ってみると、レストランやフレディの実家の時のように懐かしい光景が再現される。それぞれ自分の少年少女時代の姿を追う2人。途中で肩がぶつかり、幼い2人の視線が交差する。バスで初めて出会ったと思ったが、知らずに擦れ違っていたのだ。
*フレディはその後、仲間達と[呪われた家]へ。アナは体調が悪そうな伯母と帰宅し、自分が作った劇を[上演]した。当時の事を思い出し「ロウソクを近くに置いたせいで事故が起きた。伯母を殺した原因は私だった」と言うアナ。フレディはアナを落ち着かせて詳しく話を聞こうとするが、怪物の雄叫びが聞こえて慌てて駆け出す。
*学校へ逃げ込んで机の下に身を潜める2人。そのまま遣り過ごそうかと思ったが、フレディが隙間から覗くと怪物が鍵を持っているのが見える。隠れたまま発砲すると、どうにか弾が当たったらしい。その場は何とか事なきを得たが、怪物に致命傷は与えていないだろう。
*帰宅したアナは、古いノートを取り出す。少女の頃に劇の脚本を書いていたものだ。それをフレディに差し出して「怪物の正体が分かったかも」と告げる。アナが書いていたのは騎士の冒険譚だ。フレディが「その大きな怪物は人間に襲い掛かり…」と読み上げる。フレディの[漫画の扉]とアナの[劇の怪物]とが、暗闇の中に出現しているらしい。劇では騎士が怪物を倒すが、ここに騎士は居ない。扉の鍵を開けるには、怪物を自力で何とかしなくてはならない。
*フレディは延命治療を拒んでいないが、アナは元の世界に戻れなければ死んでしまう。暗闇はもう、あと数時間で全てを呑み込む距離だ。2人は精肉やマネキンを餌に、手製の爆弾で怪物を待ち伏せる。やがて鎖に繋がれた怪物が現れて、まんまと餌に近付いた。離れた場所から銃で着火し、上手く爆発に巻き込んだと思ったが、近付いてみると怪物の死体はない。逆に爆発で鎖が切れてしまい、怪物が自由になってしまったと分かる。
*車でその場を離れた後、アナは半ば諦めたような様子で、地下室のある建物に隠れようと提案する。しかしフレディは、アナを連れて再び外へ出る。もう安全な場所は少ない。2人はまだ照明の点いている映画館へ。しかし程なくしてその場所も暗くなる。

*怪物に追い立てられて次は教会へ。怪物も教会には易々とは入れないのか、暫くは小康状態になる。「あのバスは何の帰り?」「休暇よ」「1人で?」「悪くないわ」「お互い独り身か」「…バスでの態度、謝るわ」「お茶に行くより親しくなれた。…戻れなくてもこれだけは伝えたい」フレディが言葉を発しかけた時、アナが激しく苦しみ出した。現実で死を目前にしているせいなのかもしれない。
*窓から覗くと、教会の外では怪物が待ち受けている。フレディは「君を死なせはしない」と言うと、銃を手に外へ出て行く。疲弊した身体を無理矢理動かして自分も外へ出ると、怪物がフレディを引き摺って遠ざかるところだった。泣き崩れるアナ。それでも彼女は立ち上がると、せめて武器にしようとモップの柄を折って握る。

*覚束ない足取りで、嘗て住んでいた伯母の家へと辿り着くアナ。暖かい光の中、カーニバルから帰った11歳の自分と伯母が劇を演じている。髭が長く太っちょのダンバリー王と、騎士の物語だ。隠れ家に辿り着き、騎士がいよいよ怪物を倒す場面になる。

*アナの家の外には、少年時代のフレディ達がやって来る。「この家は南北戦争の頃は病院で、戦死者の霊が今も彷徨っている」と噂話をする少年達。フレディ達の言う[呪われた家]とはアナの家だったのだ。

*フレディは「玄関の飾りに当てて、霊を驚かしてやる」と言うと、小石を拾い上げて放り投げる。しかし石は外れて、開いていた窓の中へ。そして床に置かれていたロウソクにぶつかり、転がったロウソクから伯母の身体へと引火した。アナが外を見ると、少年の頃のフレディの茫然とした表情が見える。仲間達に促されて逃げて行くフレディ。
*伯母の事故の真相を知ったアナ。そこに「すまない」と声が聞こえる。「知らなかったんだ」と言いながら倒れるフレディ。怪物から逃げてきたのか、身体は傷だらけで血塗れだ。「やっと分かった、だから僕らはここへ…」「フレディ、死なないで」フレディを掻き抱くアナがふと顔を上げると、そこには怪物が居た。

*フレディの身体を横たえて立ち上がると、怪物に近付きその目を見据えるアナ。「あんたなんか怖くないわ」怪物が襲い掛かるが教会から持ち帰ったモップの柄で怪物の身体を突き刺す。崩れ落ちた怪物の身体から扉の鍵を取り出すが、暗闇は直ぐそこまで迫っており、アナの家の窓からも煙が入り込んでくる。暗闇に包み込まれるアナとフレディ。
*気が付くとアナは扉の前に居た。怪物から取り出した鍵を扉に差し込む。しかしそれだけでは扉は開かない。フレディの掌から血が1雫がふわりと浮かび上がると、扉へと吸い込まれる。フレディの扉を開くには、彼の存在の証が必要なのかもしれない。アナは未だ意識のないフレディの手を取り、扉に翳す。すると遂に扉が開いた。
*現実の世界、病院のベッドで意識を取り戻すアナ。重い身体を引き摺ってフレディが居る筈のベッドへ向かう。しかしそこには見知らぬ老人が居た。あの世界の最後ではフレディには意識がなかった。

*退院後、不安を抱えてフレディの家を訪ねるアナ。女性が出てきて戸惑うが、彼女はフレディのヘルパーだった。フレディにはあの世界での記憶がないらしく、アナについて「バスで出会った女性」としか覚えていない。しかしヘルパーによれば、彼には夢の鮮明な記憶があるらしい。

*ヘルパーが、最近彼が描いた絵を見せてくれる。バスの中・録音を聞いたモニタルーム・暗闇の前で立ち尽くした時・扉の前…全て2人一緒に居る姿だ。そしてコミック調の、最初に描いてくれたアナ。笑顔を浮かべ「彼の傍に居たい」とアナは言う。ヘルパーは不思議がり「出会いは?」と問い掛ける。「近所で育ったの」
*フレディは自分が描いた漫画についても記憶が曖昧らしい。「バスの前にも会った?」「ある意味ね」「何処かで見た気がする」アナは笑みを浮かべ、ファイルに挟んだ最初の絵を見せる。「これ私よ、分かる?」フレディはその絵を描いた時の事を思い出す。そして教会で彼女に伝えようとした事を、それに連なる[夢]の出来事を。「思い出した?」「…だいぶね」2人は笑顔で見詰め合い、キスをする。

■雑感・メモ等
*映画『スモーク』

*レンタルにて鑑賞

*狭間の世界のファンタジーホラー
*エンドロール前半はフレディが描いたコミック調。エンドロールが全て終わった後に、バスに乗るアナとフレディの映像あり。今度のバスには乗客が沢山乗っている。漫画を読むフレディに凭れて、安心し切って眠るアナ。そんなアナを見て笑みを浮かべるフレディ。
*死後の世界或いは生と死の狭間の世界を描いた作品は色々とあるけど、比較的早い段階で「私達、もう死んでいるのかも」と言及するのは好印象。(延々焦らされるのは遠慮したい。)

*ホラーとして見れば刺激が弱めで物足りない。ファンタジー寄りで、全体的に優しい世界。音楽はちょっと大袈裟な感じ。
*あのタイミングで何故2人が[目覚めた]のか、アナも疑問を口にしていたけど結局不明だったような。その時に医師が方針を決めたのかなと思ったけど(昏睡状態ではあるけどその会話を聞いて、あの世界に導かれたとか)それより少しだけタイミングが早い?

*時間の経過を脇毛で知ると言うのは初めて見たパターン。
*最初に見た時は怪物を倒した武器の正体が分からず、何かを教会から持ち帰ってたから十字架と言う体で書いてた。でも改めて見てみたら物置的なところで何かの柄を折ってるのね。(モップじゃなくてデッキブラシかもしれないけど。)銃は駄目だったのにそれで倒せるのか?て吃驚したんだけど、アナの怪物だからアナが作り出した武器なら倒せると言う事なのかな。

*アナは自分で「脚本の才能がない」と言ってたけど、怪物は割と可愛いと思う。
*川の場面では何故断念したのかよく分からない。2人でボートで会話していて、それが終わったら次の瞬間には車で家まで戻ってる。もう少し説明が欲しい。
*罠を張った時は腕が悪くてアナが銃を引っ手繰って発砲、カーニバルの射的では(邪魔をされたとは言え)悉く外してアナの家でも石を外すフレディ。そして1番駄目なものに当たる…あの過失は相当重いよね。逃げ出してるし、アナは自分のせいだと考えていたし。だからこそアナの危機に立ち会う事になったのかもしれないけど。

*2人が逃げ込む映画館で上映しているのは、同名タイトルの何かではなくあの『狩人の夜』リバイバルで良いのかな。
*レンタル開始の頃に見てネタバレも概ねまとめてあったんだけど、何故かフレディの名前を半分くらいジェイソンて書いてあって自分で困惑した。(勝手に『フレディVSジェイソン』)