〓長文です!BMW及びクルマに興味の薄い方は、スルーしてくださいね(^^ゞ〓
ディーラーの担当さんから、デリバリーが開始されたばかりの新型M4展示(期間限定)の案内をいただいたので出撃してきました。(写真撮影とSNSへの掲載は許可をいただいています)
【新旧モデル比較】
展示車の紹介の前に、新旧M4のスペックをおさらい。
僕のF82_M4と、新型G82_M4を、6速MT同士で比較してみます。
外形寸法
F82:4685×1870×1395mm(全長・全幅・全高)
G82:4805×1885×1395mm
全長で120mm長くなり、幅は15mmワイドになっています。
エンジン型式とスペック
F82:S55B30A・431PS(7300rpm)/56.1kgm(1850-5500rpm)
G82:S58B30B・480PS(6250rpm)/56.1kgm(2650-6130rpm)
コンペティションでない素のM4は、50馬力近くパワーアップしているにもかかわらず、最大トルクは据え置き。
最高出力と最大トルクを発揮するエンジン回転数を見ると、先代が低回転からトルクを出し高回転まで回すタイプであるのに対し、新型はパワーバンドが上のほうに移り、最大回転数が抑えられていることが読み取れます。
この違いが実際のドライブフィールにどのような違いをもたらすのか興味津々。
車重と価格です。(F82は自分のM4の販売当時価格)
F82:1,610kg・1,182万円
G82:1,710kg・1,298万円
車重がなんと100kgも増加し、価格も116万円アップ。
同じMTモデルで100kgの増加はちょっと看過できない。
M440ixDriveの試乗記でも書きましたが、重量増加の一因はシャシー(車台)の変更とサイズアップにあることに間違いないと思いますが、どうもそれだけではなさそうです。
ひとつは、電子デバイス(3眼カメラや自動運転関連など)の重畳による付加装備の増加。
そして、驚いたのは今回の展示車検分で確認できた、ボンネットフードがアルミ(F82)からスチールへ変更されていたことです。
量産エンジンを積むMパフォーマンスモデルと違い、仮にも堂々とMを名乗るならば、軽量化は最重要課題であるはず。
にもかかわらず、重量増加に直結するボンネットフードのスチール化は何とも理解できない。まさか純正アフターパーツでアルミやカーボン出したりしませんよね?
【展示車両(2台)検分】
展示車は2台あり、いずれもコンペティション。ハンドルは右・左で、トランスミッションはどちらも8速ATです。
左ハンドルの個体はアルピンホワイト、右はサンパウロ・イエローといういずれも標準のソリッドカラー。
足回りは今回から全車種前後異型ホイールとなり、展示車はいずれもオプションの
フロント275/35R19・リア285/30R20
で、タイヤの銘柄はMICHELINのPilot Super Sport(非ランフラット)を履いていました。
フロントのタイヤ幅は僕のM4のリアと同じ。こんなに前が太くてちゃんと曲がってくれるのかな、と不安になる。
あと、余計な心配だけど、タイヤ交換はめっちゃお金がかかりそう。ディーラーで4本変えたら30~40万円以上するかも・・
2台の展示車の違いは、白のほうがディーラーさんが自社で登録した、いずれは試乗あるいは販売される個体であるのに対し、黄色のほうはオプションをこれでもかと満載したいわゆるメーカーのデモカーであること。
デモカーに装着されたオプションは、担当さんから説明を聞いても多すぎて覚えきれなかったけれど、100万円以上するMカーボンセラミックブレーキ、カーボンバケットシート、特注の内装色、オプションのホイールなど、少なくとも総額200万円以上。
最長550m先まで照射できるというレーザーライトは、コンペティションには標準で付くみたいです。
コンペティション(ATしか選べない)は、510PS/66.3kgmへと性能アップしていているけれど、車両本体価格は素のM4から+50万円というバーゲン(?)プライス。
ちなみに先代F82のMTとDCTモデルの価格差は52万円。性能アップとレーザーライトはおまけなのか?
どうしてもMTモデルに乗りたい僕のような人間には悲しすぎる( ノД`)シクシク…
とりあえずこの黄色いデモカーと同じものに乗りたいと思ったら、少なくとも1600万円以上は必要ということは判明しました。
乗りたいとは全然思わないけど、一介のサラリーマンが買える金額ではない。
【エクステリア】
外観の印象です。
お店に着いた時、黄色のほうが外(駐車場)に、白は室内に展示されてあったのですが、白を最初に真横から見た時、8シリーズと間違えました。
ルーフラインからトランクリッドに至るライン(とりわけトランクリッドの傾斜)が旧型よりなだらかになり、8シリーズと相似形に見えたのです。
あれほど嫌悪しか感じなかった「ブタ鼻」巨大グリルも、度々ネット等で目にする機会も多く、実車を眼の前にしても依然のような強烈な違和感はない。右に停めた自分のM4の方がカッコイイと思うのは親バカだからでしょう。
写真では真っ黒で判別できないけど、M440iのメッシュグリルと異なり、デザインが水平のフィンタイプになっていて、触ると光沢仕上げの樹脂であることが分かる。申し訳ないけど、1300万円超のクルマの顔(グリル)としてチープな感じは否めない。
ボディの造形は基本的にG22系4シリーズと変わりませんが、前後のフェンダー周りは、横にぐっと張り出していてスポーツモデルらしい力強さを感じさせます
ボンネットのガンダムを思わせるような凸凹は、賛否が分かれるところだろう。僕はあまり好きじゃない。
M3・M4のアイコンのひとつでもあったパワードーム(ボンネットフード中央の盛り上がり)がなくなったのも残念。
さまざまな角度から眺めた時、キャラクターラインの粘土細工から切り出したような仕上げ方は、E60やE90のチーフデザイナーだったクリス・バングル氏の仕事にちょっと似ているかな、と感じました。
ボンネットのほかに、「うーん・・」と思ったのが、テールランプを含むリア全体の造形。
とても複雑な面で構成されているのだけれど、結局それで何を表現したかったのかが全く伝わってこない。
僕のM4と並べて見比べてみても、新型は後ろと下にいくほど絞られていて、踏ん張り感というかリアの足元が頼りなく見えてしまいます。
僕はフロントマスクだけでなく後ろから見たデザインも無意識に「顔」に見えてしまうんですが、新型の後ろは、ぜんぜんキリっとしてない。
ちなみに、僕が乗ったBMWの中でリアのデザインが一番好きなのはE92_M3クーペ(後期・コンペティション 愛称:蜜柑号)です。
スポーティさとエレガントさを兼ね備えていて、特にテールランプの光り方が好きでした。(写真なくてすみません)
そういえば、新型では前後トレッド(車輪間の距離)が変更されていて、次のようになっています。
F82:フロント1580mm・リア1605mm
G82:フロント1615mm・リア1605mm
リアは変更ないけれど、フロントのトレッドが35mmも拡大。
これが何を意図したものなのか、素人の僕には分からない。
だけど一般的には、リアよりフロントのトレッドを拡げることは、直進方向の安定性の重視だといわれています。
【M4は何をめざしているのか?】
以前僕は、M3がE92でV8を搭載したのはスポーツカーからGT(グランドツーリング)カーの方向にシフトしたんじゃないかとブログに書きましたが、F82で直6に戻してその流れを止めたのだと思っていました。
でも、今回のG82_M4については、ボンネットフードのスチール化も厭わない100kgもの車重の増加や、上記の前トレッドの拡大などを目の当たりにするにつけ、BMWはM3・M4をどのような位置づけとして売りたいのかさっぱりわからくなりました。
以前はBMWのモデルバリエーションも少なく、Mモデルは価格面も含めて「孤高の存在」でした。
しかし現在は、5シリーズやXシリーズのMパフォーマンスモデルをはじめとしてM3・M4の価格を上回る標準モデルはもはや珍しくもなんともなく、Mは「特別な存在」ではなくなりつつあります。
M3・M4を愛し、これからも乗り続けたいと思う僕にはちょっと寂しい。
【エンジンをかけてみた】
今回のディーラー訪問で唯一、心をときめかせた瞬間がありました。
それは、担当さんのご厚意で、屋内駐車場に展示されたM4コンペのエンジンをかけさせてもらった時。
エンジンがかかった瞬間は紛れもなく僕のと同じ直6ツインターボの音だなと思ったのですが、M-Driveモードの設定画面を開いてエンジンをSport+モードにすると、排気音が一段高くなると同時に、アクセルを煽った時のレスポンスもはっきりと良くなったのです。
センターコンソールには、排気系のフラップの開閉ボタンも追加されていました。(大人の玩具か!)
「レスポンスが良くなる」と表現してしまいましたが、要は踏んだアクセルを離した時、回転数が落ちるのが早いということ。
エンジンにもさまざまな電子デバイスが介在する中で、エンジン回転を落とすのをより早くすることは、ECU(エンジンコンピュータ)をいじってできるような容易なものではない。
展示車はATだったけど、このエンジンをマニュアルで操ったら少なくともシフト操作は楽しいものになるに違いないと直感しました。
【エンジンルーム】
蛇足ですが、エンジンをかけた状態でボンネットを開けてエンジンルームを覗かせてもらいました。(写真撮るの忘れた~)
ほとんどが樹脂カバーで覆われていて、どこに何が収まっているのかパッと見てもわからない。
かなり残念だったのは、F82でエンジンルームの「華」だったリアルカーボン(ブーメラン型)のストラットブレース(タワーバー)が、三本の角型スチール棒を三角形に組み合わせてボルトで留めただけの武骨で味気ないものに変わっていたこと。
剛性を上げるには必要十分で、コスト上昇を抑えるためかもしれないけど、率直に言えば「夢がないなぁ」って思います。
Mはいつ誰がクルマのどこを見ても、憧れの存在であってほしいと思うのは僕だけなのかもしれないけど。
【まとめと感謝】
おそらく、今回発売されたG80系M3・M4が、純ガソリンエンジンモデルとして世に出される最後のM3・M4になる。
先日発表されたばかりのBEV、i4やiXをはじめ、BMWも他メーカーと同様に全車種EV化をめざしているのは間違いないし、モデル周期で予測すれば次のフルモデルチェンジの2028年を待たずしてこのM4が販売終了になる可能性だってないとはいえない。
それでも、ボルボやジャガー、あまつさえBMWミニでさえ、近い将来の全車種EV化を宣言する中で、通常モデルにはあるマイルドハイブリッドさえ搭載せず、またM5やM8のようなxDrive(四駆)しか選べない状態でもなく、運転を心から楽しむには必須のFRやマニュアルトランスミッションモデルもちゃんとラインナップしてくれたことには心から拍手を送りたい。
さらに、マニュアル車の割合がことさら低い日本で、左右マニュアル仕様(コンペティションはATのみ)の正規導入に踏み切ってくれたBMWジャパンさんには、本当に感謝しかありません。
担当さんによれば、いずれは試乗もできるようになるとのこと。その際はぜひ、エンジン特性の違いや、心躍ったエンジンレスポンスが実際どうなのかを体感してみたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。