BMWアルピナ D3ビターボ 試乗記(その1) | M3遣いのブログ

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ディーラーでALPINA(アルピナ)のディーゼルモデル、D3 Bi-Turbo(ビターボ)に試乗する機会をいただきましたのでレポートします。

 

ALPINAはBMWの公認チューニングメーカーで、年間総生産台数はわずか千数百台(エンジンを含め主に手作業で組み立てるため)と極めて少なく、全ての個体には車種ごとのシリアルナンバーを刻印したプレートが貼られています。

 

愛車M4の出自である、M GmbHと比較されることも多いのですが、Mが速さと俊敏さを追求したスポーツ志向であるのに対し、アルピナはエンジンを磨き上げ、パワーよりもトルク(力強さ)を極限まで引き出した上質な加速に定評があります。

 

そのチューニング手法は、ECU(エンジンコンピュータ)のマッピングをいじったり、ターボのブースト圧を闇雲に上げてドーピングしたりするような安易な方法とは対極にある。

 

BMW基準車ではコストの関係から難しいさらなる品質向上、例えばポート面をさらに磨き上げて極限までフリクションロス(摩擦損失)を減らしたりする職人技のような要素技術の積み重ねによって、強大なトルクと極上の加速を生み出しているのです。

 

その結果、力強く滑らかな加速がどこまでも続き、最終的な巡航速度はどのモデルも300km/h前後(B5以上だと320km/h超え!)に到達し、Mモデルに勝るとも劣らないパフォーマンスを発揮する。

 

疾走する新幹線と同じ時速300kmを臨む領域では、空気抵抗が文字通り壁となって立ちはだかることを知っているだけに、見た目なんの変哲もない箱型乗用車のBMWアルピナが、空気を切り裂くようなデザインのスーパーカー達と最高速を競い合うという構図は、驚きと同時に痛快でもあります。

 

その空力のマジックの秘密は、実はボディ上面ではなく底面(床)の造形にあることを、BMWのメカニックの人に教わりました。

 
 
前置きが長くなりました。まずは今回の試乗車の基本スペックから。
 
 
エンジンはディーゼルの直列6気筒ツインターボで、最高出力350PS・最大トルクはなんと71.4kgm(M4の実に25%増し)。
 
試乗した個体は左ハンドルの8速トルコンAT仕様。MTも自由に選択できるアチラ(欧州)が羨ましい。
 
アシは、フロント245/35R19、リア265/35R19の標準仕様。エアバルブが見えないアルピナ伝統の20本スポークホイールがさりげなく存在感を主張する。
 
車重は1,660kgで、6気筒ガソリンモデルのBMW340iと全く同じ。カタログ燃費は17.0km/lで、軽油の安さを加味すればこの動力性能でこの燃費は非常に魅力的。
 
ちなみにお値段のほうは、試乗車のD3ビターボリムジン(4ドアセダン)が、10,310,000円(税込)ナリ。
 
基準車の現行3シリーズ(F30系)には直6ディーゼルのラインナップがないので、ガソリンのフラッグシップモデル340iMスポーツ(326PS・45.9kgm)と比較すると、340iは8,500,000円と、プラス181万円の差。
 
ただし、アルピナは結構オプション装備が多いので、同じ仕様に揃えると価格差はもっと拡がるだろう。中古車になると、オプション分の価格への反映度は相対的に下がるので、お買得感はそれなりにあるのだけれど。
 
じつは、僕がアルピナを運転するのは、ガソリン・ディーゼルを含め今回が初めて。遠い将来の選択肢に入る可能性があるクルマとして、ぜひ一度は乗ってみたかったので、試乗の機会を設けてくれたディーラーの担当さんに感謝です。
 
 
さて、ようやく試乗記の本題に。
 
今回の試乗はディーラーさんのご厚意で高速メインで長めに走れたので、アルピナの流儀の一端を垣間見ることはできたと思います。
 
すでにエンジンがかかっているクルマのそばに立つと、カラカラというかゴロゴロというディーゼル特有のエンジン音が聞こえるけれど、アイドル音はかなり低く抑えられていて、118dや320dなどの4気筒ディーゼルよりも耳障り感は少ない。
 
乗り込んでポジションを合わせ、担当さんを助手席に市街地へと乗り出す。
 
しばらく転がしてみて最初に感じたことは、ステアリングの重さ。
 
M4には3段階の切換機能が付いていますが、僕は普段一番軽いConfortを多用しています。それでも結構重いんですけど(笑)
 
今回試乗したアルピナはM4の一番重いSport+モードよりもまだ重い。
 
あえて表現すれば、「重厚」「どっしり」・・かな。スポーツを追求するMに比べアルピナは、基本性能を磨き上げたうえで上質なGT(グランドツーリング)カーを標榜していると思うので、ステアの味付けとしてはこれで正解なのだろう。
 
アルピナにステアの硬軟切換は付いていないので、もし自分が毎日乗るとすればちょっと疲れるかなと思いました。
 
街乗りレベルの速度でのエンジン音はほとんど聞こえず、6気筒のスムーズさもあってディーゼルに乗っているという感覚は薄い。
 
ZF製8速ATの躾も優秀で、市街地ではわずか1,000回転でも一番上の8速をキープしてくれる。
 
(続きは次回に)