先日、仕事上のことで、同じフロアにいる他部署の人間にいきなり怒鳴り込まれるという事態が起こりました。ターゲットになったのはピンポイントで僕一人で、目の前で大声を出されて本当に怖かった。
相手は、僕の前で喚き散らすだけでは足りなかったらしく、15メートルほど離れた自分の席に戻ってからもまだ大きな声を出していました。
仕事のやり方を巡って見解や意見の相違が生じることは日常どこでもあり得ることだから、お互いに考えを出し合って、意見の一致をめざすなり、妥協点(落としどころ)を探るなりする必要がある。
でも、自分の思い通りにいかなかったり、こちらの提案が気に入らないからといって、殴り込みのような勢いで駆け込んできていきなり大声を出されると、話し合いすらできない。
僕は頭の中が真っ白になり、しばらく自分の机に突っ伏して動けませんでした。周囲の人たちも、突然の出来事に呆然としている。
そんな状況の中で、「○○君、こちらへおいで」と静かに手招きしてくれた人がいました。
その人は、僕の上の上に当たる上司で、フロアの一角に専用の部屋を持っています。そこに招き入れられドアを閉め、最初に「大変だったね、きつかっただろう」と優しく声をかけてくれました。
そして、なぜこんな事態になったのか、僕がどう感じているのかを丁寧に聞いてくれ、そして、「今は相手と顔を合わせたくないだろうから、好きなだけここにいなさい」と言ってくれました。
僕は、そのことで、真っ白になっていた頭が徐々に正常に戻り、気持ちが少しずつ落ち着いていくのがわかりました。しばらくその部屋で休ませてもらった後、お礼を言って部屋を出たとき僕が思ったこと。
このひとは、本当に善いひとなんだなって。文字にしてしまうとなんだか上から目線みたいな感じで嫌なんですが、僕は心から感謝と尊敬の気持ちを抱きました。
また、仕事をする上でとても頼りになる上司もいます。人によって感じ方やとらえ方は異なると思うけど、僕自身が考える「頼れる上司」の条件は3つあります。
ひとつは、考え方に一本筋が通っていて、ブレない人。上や外から何らかの圧力をかけられても、それに屈することなく堂々と意見を主張する姿は、めっちゃ頼もしく感じます。
でもそんな人はむしろ少数で、朝令暮改ではないけれど、以前はこう言ってたのに簡単に外圧に屈したり日和ったりしていつの間にか平気な顔して違うことを言う人が結構多い。下っ端の僕らは「前と違うじゃん」って愚痴をこぼしたくなります。
もうひとつは、逃げない人。トラブル等に遭遇したときに、いつの間にかいなくなる人は論外としても、出るべき時に何だかんだ言い訳して表に立たなかったり、都合が悪くなると部下に責任を押し付けようとする人もこれまた少なくない。
三つめは、気分や機嫌によって部下が顔色を窺わなくていい人。できるだけ急いで先に進めたいのに、「今日はボスの機嫌が悪いから相談するのをやめておこう」と断念したことが何度も。
もちろん、大なり小なり(相談する)タイミングってものはあると思うけど、毎日ボスの顔色を窺って部下がピリピリしているような職場は健全とはいえない。
今のところ、「善い人」で「頼りになる」と思える上司には、残念ながらまだ巡り合えていません。これから先、そんな人の下で働くチャンスがあれば。
そういう僕自身はたぶん、いずれの条件も満たせない。だから自分では、人の上に立つ仕事は無理だと思っています。希望する人だけが昇任試験を受けて上がっていくシステムを、うちも早く導入してほしい。
件(くだん)の怒鳴り込んできた人は、僕がいない間に「さっきは大声を上げてすみませんでした」と上司とともに謝りにきたそうです。いったい誰に対して謝ったのかな。
病んでいるのは誰なんだろう。時々、そう思います。