ちょうど桜が満開の季節でもあり、プチドライブ(おひとりさま)も含めて代車の118d(Style)を堪能しました。
2回にわたる試乗記にも書きましたが、BMWが誇るクリーンディーゼルエンジンの力強いトルクと必要十分な加速性能、FRならではの素直なハンドリング、リッター15kmを超える低燃費など、代車としては何の不満もなかったのですが・・
日が経つにつれて、ハンドルを握る僕の中に何かモヤモヤしたものが少しずつ溜まっていく感覚が。
最初はよく分からなかったのですが、代車最終日になってようやく、それが何なのか判明しました。
トランスミッション、です。
118dのそれは、ZF製の8速トルコンATで、ギアの繋がりが極めてスムーズでマニュアル変速(ロックアップ付)も俊敏にこなす。
専門家からの評価も高く、現在各メーカーに供給されているATとしては間違いなく3本の指に入るだろう。
だけど、いくら優秀なATでも、僕がいま何速で走りたいのかを読み取って変速してはくれない。
アクセルワークの微妙なさじ加減で、キックダウン(ギアを落とす)して欲しいのか、ギアをキープしたまま穏やかに加速して欲しいのか。さまざまな角度の勾配(上りも下りも)で何速を選択するのか。
そこに、僕のイメージや意図と違う選択をされる度に、やはり少なからずストレスを感じます。
もちろん、ECU(エンジン制御コンピュータ)にも学習機能があって、ドライバーの好みや癖を分析して自動変速に生かす機能はあるけれど、到底そこですべてカバーできるわけではない。
マニュアル操作に切り替えたとしても、所詮はシーケンシャル(順送り)で、MTのように発進加速の際に低いギアでグーッと引っ張って間を飛ばしていきなり6速巡航とかできないし、同じギアをキープしたくても、パワーバンドを外すと強制的に適正ギアに戻されてしまう。
また、MTでは当たり前(ほぼ無意識)にやっている惰性走行(クラッチを切ってコースティングすること)ができないのも、僕にとってはストレス要素のひとつ。(ATでのニュートラル走行は推奨されていない)
つまり、運転の重要な要素であるギアの選択にほとんど自由がないんです。
AT車のマニュアルモードは、幾つもの足かせをはめられた「疑似マニュアル」であって、制約のない真の「手動」ではない。
そのことが、僕のモヤモヤの原因でした。
ようやく愛車が戻って来て、車と対話しながら意のままに操る自由を満喫しています。
「自分で決める」
運転にあたって、このことの楽しさ、ありがたさをあらためて実感できた、今回のディーラー入庫でした。
仕事では、自分で決められないことだらけでストレスが溜まりまくっていますが、せめて大好きな運転くらいは自分で決めて主体的に楽しみたい。
この週末、どうか良いお天気に恵まれますように。