ディーラー入庫の際に、現行型118i(5ドアハッチバック)に乗る機会がありましたので、インプレを書いてみたいと思います。
じつは、旧型も含め1シリーズに乗るのは今回が初めて。BMWエンスーを自称しながら、エントリーグレードに乗ったこともなくBMWについてアレコレ語っていたことがお恥ずかしい限りです。
ここで、1シリーズについて簡単におさらい。
以前はハッチバックとクーペがラインナップされていた1は、クーペが2シリーズとして独立し、ステーションワゴンのアクティブツアラー(5人乗り)とグランツアラー(7人乗り)も2シリーズの位置づけでデビュー。
従って、現行1シリーズは5ドアハッチバック(本国では3ドアも設定)のみ3グレード(+デザインライン&Mスポーツ設定あり)とシンプルな構成。
・118i(FR・直列4気筒ターボ:136PS)
2,980,000円~
・120i(FR・直列4気筒ターボ:177PS)
4,050,000円~
・M135i(FR・直列6気筒ターボ:326PS)
5,780,000円
上記の価格構成をあらためて眺めてみると、118iと120iで100万円以上の価格差があり、BMWが118iを新規顧客開拓のための戦略的モデルと位置づけているであろうことが推測される。
現行1シリーズは2世代目の後期モデルに当たり、LCI(ライフサイクルインパルス:いわゆるマイナーチェンジ)によって大幅なエクステリアの変更を受け、前期型の「ブサカワ」顔から、イマドキのBMW顔に変更。
同時にテールライトもスクエア型から凡庸な横長型に変わり初代から続いてきた1シリーズのデザインアイコンは消滅。
万人受けするであろう洗練されたエクステリアは、逆に言えば個性が薄く、特にフロントマスクはBMWの他のシリーズと見分けがつきにくくなったのも確か。個人的には、アウディみたいな金太郎飴にはなってほしくないのだけれど。
試乗した個体は、最廉価グレードの118i(グレードはStyle)で、足回りは前後とも205/55R16のブリヂストンTURANZA_ER300(ランフラット)を履く。
このタイヤは、静粛性でブリヂストンの最高峰とされるREGNO(レグノ)の弟分という位置づけで、グリップと静粛性、省燃費性能を高次元でバランスさせている。
最廉価グレードにもきちんと走行性能を重視したタイヤを履かせるBMWのポリシーが伝わってくるようで嬉しい。
さて、走り出す前に内装や運転環境の検分。
200万円台(素の場合)で買えるBMWってどうよ、という若干意地悪な先入観を持って乗り込む。
シート調整こそ手動(オプションでメモリー&ヒーター付電動パワーシートの設定あり)だけど、シート上下・前後・ステアリングのチルト&テレスコの調整幅は広く、ポジション決めに苦労することはない。
シート自体もサイドサポートは頼りないが、サイズ、厚みも十分、硬すぎず柔らか過ぎないちょうどよい按配で、長時間乗っても疲れることはなさそう。
シートベルトの圧迫感が少なく、装着していることを忘れそうなくらい快適なのは地味に嬉しいポイント。じつは、シートベルトに関してはM3ではちょっと窮屈に感じています。
インテリアも最廉価グレードだからといって安っぽさは微塵もなく、レバーやスイッチ類も、いつものBMWの運転環境の仕立ての文法に従って丁寧に作られている。
BMWが得意でない、件(くだん)のカップホルダーはどこだろうと探したら、左右のドアポケットにありました。
訂正。ドアポケットにコーヒーを入れた紙コップは置けない。ここはペットボトル専用。ぴったり収まるし取り出しやすい。
カップホルダーは、センターコンソールの根元にありました。蓋のようにはまっている小物入れを外してカップを入れるようになっているらしい。
外した小物入れは行き場を失い、結局コンソールBOXに押し込むしかない。やはり車内のユーティリティに関しては、国産車に一日の長がある。
後席にも座ってみました。バックレスト(背もたれ)は少し立ち気味だけど座面長もフットスペースも十分で窮屈という感じはなく、3人掛けのシートなのに体が包み込まれるような不思議な感覚。
また、後席は前席よりも座面を高く採ってあるので、前方視界も確保されている。
あえて後席の難を言えば、FRのためシャフトを通すセンタートンネルが床面を高く貫いていて、5人乗車の際は真ん中の人は足の置き場に苦労するだろう。また、後席のセンターアームレストは装備されていない。
しかし、4人までであれば日常使用で困らない快適な空間が確保されている。
あらためて運転席に座って運転環境を検分。前方視界は、ボンネット天面がわずかに見える程度だが、ノーズが極端に長いわけではないので見切りや駐車で苦労することはなさそう。
革巻きのステアリングも、程よい太さで握りやすい。これがMスポーツになると径がひと回り太くなるので、自分にとっては却って握りづらくなってしまう。わがままを言えば、握りの径を選択できれば良いのに。
珍しく、運転環境に小さな難点を発見。
自分のポジションにシートを合わせると、計器盤のセンターに表示されるインフォメーションディスプレイの最下段部分が隠れて見えなくなってしまう。ハンドルのチルト調整でも修正不可でした。
ちょうどマルチ表示になっている部分で、平均燃費・航続距離・外気温・時刻などを切り換えて表示しているので、いちいち頭を動かさないと見えないのはかなり不便。もったいないなぁ。
やっとエンジンを掛けるところまできました。長くなってしまったので、続きは次回に。