やっぱり君じゃなきゃダメだ | M3遣いのブログ

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ライカではなく、BMWのほうです(^^ゞ
日々想うことをまったりと・・・

とある事情で蜜柑号(E92_M3 Competition)をディーラー入庫することになり、しばらく代車を借りることに。


複数ある車種の中から僕が選んだのは、プレミオ(4ドアセダン)。


蜜柑号を預けた2泊3日の間にちょこちょこと乗り回し、今どきの「ニッポンのお父さんのためのセダン」を楽しむ。


自分には子どもがいないからお父さんではないけれど、年齢的には「プレミオ」世代のド真ん中に入るだろう。


トヨタプレミオ(グレードは1.5F)。


まずびっくりしたのは、エンジンの静粛性。コンフォートアクセスでキーをポケットに入れたままエンジンスタートスイッチを押すと、小さな始動音がしてエンジンがかかるけど、振動は皆無。


アイドリング音も、窓を閉め切っていたら無音。よく、オジさんとかが、すでにエンジンかかってるのにイグニッションを二度回しして、「ギギーッ」って鳴って笑っちゃうけど、そうしたい気持ちもわかる。笑ってごめんね。


トランスミッションはCVTで、普通に発進してタコメーター見ていると、回転数は1,200rpm付近をキープしたまま車速だけが徐々に上がっていく。流行りの「ECO」ランプもついていて、否が応でもエコ運転を意識させられる。


乗り心地も超快適で、路面不整の処理も優秀。Webカタログで確認したら、サスペンション形式は前マクファーソンストラット、後トーションビームで、このクラスの車としてはごく一般的な設えだけど、高級車種にも見劣りしない快適な乗り心地を実現しているのはさすが世界のトヨタ。


・・・と持ち上げておいて、やっぱムリ!と思うところも。


ひとつは、シートポジション。車高はそれほど高くない(1,475mm)のに、座面高(ヒップポイント)が異常に高い。なので、セダンなのにまるでミニバンに乗っているような運転姿勢を強要される。


しかし、ステアリングはほぼ垂直に切り立っているし、フットペダルも奥にあるのでどうにも中途半端。バックレスト(背もたれ)を起こすと、足が届かない。逆にシートを倒して合わせようとすると、ステアをテレスコで手前いっぱいに出しても手が遠くなってしまう。とうとう3日間のあいだ、ポジションをカチッと決めることができずに終わってしまった。


もうひとつは、納得できないエンジンの味つけ。プレミオのエンジンは、1,500cc直4で109PS・13.9kgmと、このクラスの車としては非力なほう。しかし車重は1,200kgしかないので、本来は全くの「カメ」ではないはず。


でも、実際には、運転中何度も降りて後ろから押してあげたくなった。狭い道から大通りへ出るとき、「これはM3じゃないんだから~」と何度も言い聞かせながら出るタイミングをはかる。


後続車と、いつもの距離の倍くらいの余裕を持って出た、はずなのに後ろからあっという間に追いつかれて「ビーッ」とホーンを鳴らされてしまった。


こっちは緊急回避ばりにアクセルをベタ踏みしてるのに、プレミオちゃんはツンとすましたまま、通常と変わらずゆっくりのんびり、ジワジワと速度を上げていくのみ。


その理由は、カタログを検分してCVTのギア比を確認した時に判明。プレミオのCVTのギア比は、
2.480~0.396
なんじゃ、こりゃ?
ちなみに、蜜柑号のギア比は、
1速4.055 2速2.396・・・6速0.872


つまりプレミオは、常に2速相当で発進して、高速域ではM3の半分以下のギア比(ほぼコースティングに近い)で動かそうとしている。


こんな変ちくりんなギア比を採用するのも、エンジンの回転を極力上げないようにするため。つまり、踏んでもパワーを出させずにいかに燃費を稼ぐか、という超燃費指向の仕上げ。


こんなカメみたいな車しか作らない日本のメーカーだけを責めるわけにはいかないだろう。こうせざるを得ないのも、車を買う人がやけに燃費(しかもカタログ値)を気にしてしまうから。


でも、せめてベタ踏みしたときくらいは、ちゃんと回転上げてほしい。いざという時、本当に危ない。


というわけで、無事蜜柑号が戻ってきて、収まりのいいシートに身を委ね、あらためてこう思う僕でした。


「蜜柑、やっぱり、君じゃなきゃだめだ。」