先月末に、あれほど可愛がって大事にしていた愛車E46_M3を手放した私。
果たして、次のクルマは・・・
たぶん誰も興味はないと思うけど、自分自身のために今回の愛車変更の経緯をちゃんと記録しておこうと思います。
発端は、1通のメールからだった。今思えば、そのメールが、あの印象的な書き出しで始まっていなければ、もしかしたら今回の買い替えはなかったかもしれない。
そう、思えるほど、実にシンプルで唐突な書き出しのメールだった。それは・・・
「おもしろすぎる車が入荷しました!」
時期は、暮れも押し詰まった昨年末。送信者は、ディーラーの私の担当さん。
担当さんは、珍しい車種・グレードや、私のたっての希望である左ハンドルorMT(マニュアル)のクルマが入荷すると、これまでにもまめにメールで情報を送ってくれていた。
「おもしろすぎる・・・」のメールも、年末の営業最終日にもかかわらず、わざわざ他の拠点まで出かけて自分で撮った写真を急ぎ送ってくれたもの。
写真をひと目見て、このクルマが何かがわかった。なぜなら、この印象的なファイアオレンジのボディカラーは、このグレードにしかない専用色だから。
M3(E92) Coupe Competition(クーペ コンペティション)
日本語表記すると舌を噛みそうなこの車種は、2010年秋にプレス発表され、2011年春から日本でのデリバリーが開始された、いわゆるM3の“特別仕様車”。
コンペティション(競争・競技)という名からもわかるとおり、少し前に世界限定150台で発売されたM3_GTS(後席の代わりにロールケージと消火器が載る、ほぼサーキット専用車)の市販モデルという位置づけ。
ノーマルM3との違いは、
・ファイアオレンジの専用ボディカラー
・マットブラックの専用アルミ(BBS供給の鍛造1ピース)
・カーボンリアウイング
・カーボンドアミラーカバー
・カーボン内装トリム
・Mドライブパッケージ(電動ランバーサポート&サイサポートを含む)
・コンペティション専用電子制御メニュー(DSCやEDCなど)
など
価格は、ノーマルM3+1,450,000円と、これだけで車が1台買えそうな金額。
発表された2010年秋、僕はすでに人生初めてのBMW車(E90_320iセダン)に乗っていて、すぐにBMWの大ファンになり、片っ端からBMWに関する情報を集めまくっていた時期だったから、当然このコンペティションの情報もリアルタイムで知っていた。
当時、このクルマのプレスリリースやカタログをWebで見ながら、「いつか、俺もこんなクルマに乗れるんかいな・・・でも、やっぱり一生無理だろうなー」と溜息をついていたのを覚えている。
何よりも「カッコイイ、欲しい!」と思っていたのが、専用の純正鍛造アルミホイール(Yスポーク359M)。当時乗っていた320iセダンに装着できないか本気で検討したけど、フロント9.0J・リア10.0J(ノーマル比各+0.5J)という巨大なリム幅を見て断念。
これはあくまで個人的な推測だけど、このクルマはおそらく、全国で数十台程度しか登録されていないんじゃないかと思う。少なくとも自分は、今まで走っているこのクルマを見かけたことはない。
日本でこれのデリバリーが開始された2011年は、E9X系としての3シリーズのモデル末期に近く、ぼちぼち次期F30系3シリーズの情報も出始めていた頃だった。
したがって、M3も当然近い将来F系のリリースが予測されており、新型がまもなく発表されるのをわかっていながら、あえて新車で10,000,000円以上するM3を買う人はそう多くはなかっただろうと思う。加えて、この鮮烈なファイアオレンジのボディカラーと、プラス145万円のオプション価格。
そんな希少なコンペティションが、ディーラーに中古で入荷したと知って、心はちょっとざわざわ。
急いでネットで、同じ車種の中古車市場を調べてみる。全国で数台がアップされてはいるものの、ディーラー車はゼロ。加えて、市場に出ているタマはすべてDCT(要はオートマ)で、マニュアルは1台もない。
しかし、人間というものは何かが欲しいと思ってもそれが叶いそうにないとき、あきらめるための自分への言い訳をたくさん考える。
今回の私もそう。
マニュアルだけど、右だし。
オレンジ色なんて、限定色じゃなけりゃ、ぜーーったい、選ばないし。
何より、高すぎて買えないし。
(つづく)